当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済萎縮が継続する中で、テレワーク関連をはじめ情報サービスなどの需要が好調であった一方、緊急事態宣言の発令等を受け、宿泊・飲食サービスなどの個人消費関連の業種では景気が低迷しました。輸出は各国生産活動の下振れ、および世界的な自動車需要の急減を受け大幅に減少しましたが、下半期は中国向けを中心に回復基調に転じました。また、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化が懸念されることから、企業の設備投資の動きは慎重姿勢が強まりました。
海外においては、米中貿易摩擦の長期化による景気低迷に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により世界的に経済活動が制限された影響を強く受け、消費需要は急減速しました。中国において製造業は生産稼働が復旧し、政府の経済政策を下支えに景気は回復傾向にあるものの、その他の国においては感染収束時期が見通せない中、再拡大の不安も出てきており予断を許さない状況が続いています。
当社グループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦および諸外国の経済活動停滞により、自動車産業やスマートフォン市場の低迷は継続しました。しかしテレワークの拡大や5G対応に向けたスマートフォン以外の情報通信機器の需要増加等により、電子部品・電子デバイスの需要は好調に推移しました。
その結果、当社グループの売上高は211億92百万円(前連結会計年度比5.1%減)、営業利益は67億99百万円(同8.0%増)、経常利益は69億22百万円(同10.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は47億8百万円(同6.6%増)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
主要な事業内容
国内・海外市場における表面処理薬品の開発・製造・販売、および関連資材の販売
電子分野におきましては、中国では5G基地局や、サーバー、タブレット向けプリント基板、車載用プリント基板、SSD基板などの需要が増加しましたが、スマートフォンの販売台数は減少し、薬品需要は横ばいに推移しました。台湾では5G対応に向けた電子部品に使用される半導体パッケージ基板が増加したことに加え、テレワークの拡大による通信機器向けプリント基板の増加も寄与し、薬品需要は大幅に増加しました。韓国では半導体パッケージ基板の需要は好調に推移しているものの、前連結会計年度に一部のプリント基板メーカーがHDI(高密度配線)基板事業を撤退したことによる減少分が影響し、薬品需要は横ばいに推移しました。
装飾分野におきましては、国内・中国ともに自動車部品メーカーの生産稼働は、新型コロナウイルス感染症の影響からは回復基調にあったものの、上半期の減少分をカバーすることができませんでした。加えて中国では、環境規制の厳格化、米中貿易摩擦の影響による自動車生産台数の低迷が継続し、薬品需要は減少しました。
その結果、薬品事業の売上高は191億47百万円(前連結会計年度比1.1%減)、セグメント利益は77億88百万円(同6.0%増)となりました。
装置事業
主要な事業内容
国内・海外市場における表面処理装置の設計・製造・販売、プラズマ技術を利用したプリント基板洗浄装置の販売、太陽光装置の施工・販売、太陽光発電による売電等
装置事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により自動車部品メーカーの設備投資需要が減少し、売上高、受注高ともに大幅に減少しました。
その結果、売上高は20億35百万円(前連結会計年度比30.7%減)、セグメント損失は1億8百万円(前連結会計年度はセグメント損失8百万円)となりました。新規受注に関しましては、受注高は9億11百万円(前連結会計年度比67.9%減)、受注残高は1億31百万円(同89.1%減)となりました。
主要な事業内容
ワイン製造用ブドウ・苗木の育成・販売等
その他におきましては、売上高9百万円(前連結会計年度比65.3%減)となり、セグメント 損失は57百万円(前連結会計年度はセグメント損失90百万円)となりました。
(注)セグメント利益は、営業利益ベースの数値であります。
❷ 設備投資の状況
当連結会計年度において実施いたしました設備投資の総額は388,649千円で、その主なものは次のとおりであります。
当連結会計年度に取得した主な設備
JCU表面技術(湖北)有限公司 工場・テクニカルセンターの建設 195,122千円
当社 会計・人事給与・販売管理システムのバージョンアップ 37,000千円
当社 総合研究所 実験設備、測定機器の取得 23,153千円
当社 生産本部 生産設備の改修 16,693千円
❸ 資金調達の状況
当期の資金調達は、経常的な資金調達のみで、特に記載すべき事項はありません。