a. 連結経営成績の概況
(注)「調整額」調整後の数値を記載しているため、各セグメントの金額合計と一致していません。
当連結会計年度の売上収益は3兆4,295億円(前連結会計年度比19.4%増)となりました。主にHRテクノロジー事業、マッチング&ソリューション事業、人材派遣事業すべてで売上収益が増加しました。為替によるプラス影響2,867億円を控除した売上収益は前連結会計年度比9.4%増となりました。
当連結会計年度の営業利益は3,443億円(前連結会計年度比9.1%減)となりました。これは主に、HRテクノロジー事業においてセグメント従業員の約15%にあたる2,400名程度の人員削減に伴う費用176億円、オフィス統合に伴う使用権資産及び有形固定資産の減損損失139億円、マッチング&ソリューション事業においてソフトウエアを中心とした減損損失93億円、人材派遣事業においてソフトウエアを中心とした減損損失33億円及びのれんの減損損失44億円を計上したことによるものです。
当連結会計年度の税引前利益は3,677億円(前連結会計年度比3.9%減)となりました。
当連結会計年度の当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益はそれぞれ2,716億円(前連結会計年度比8.8%減)、2,697億円(前連結会計年度比9.1%減)となりました。
当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは、HRテクノロジー事業及びマッチング&ソリューション事業において長期戦略の実現に向けた投資を実施したことから、15.9%(前連結会計年度は17.8%)、調整後EBITDAは5,450億円(前連結会計年度比6.5%増)、調整後EPSは199.35円(前連結会計年度比5.5%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、調整後EBITDAと調整後EPSの調整項目をそれぞれ変更しました。調整後EBITDAの調整項目に株式報酬費用を加算し、調整後EPSの調整項目から企業結合に伴い生じた無形資産の償却費を除外しています。これに伴い、本事業報告における調整後EBITDA及び調整後EPSはすべて新計算式を適用しています。
当連結会計年度の研究開発費は1,689億円となりました。主な内訳は、新プロダクトの開発や新しいテクノロジーを活用した既存プロダクトの改善に係るエンジニア及びテクノロジー開発担当者の人件費であり、その大半はHRテクノロジー事業に関連するものです。
b. セグメント別業績の概況
● オンライン求人マッチングプラットフォームを通じて求人広告や採用ソリューションサービスをグローバルに提供
当連結会計年度の売上収益は29.6%増の1兆1,161億円、米ドルベース売上収益(注)は7.7%増となりました。上半期には世界的に強い採用需要が継続したことで、Indeed及びGlassdoorが提供する求人広告を中心とした採用ソリューションサービスに対する需要が増加しましたが、下半期には世界的に採用需要の平準化が進み、労働市場の需給の乖離が緩和しました。
当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは30.7%となり、前連結会計年度の37.5%から低下しました。調整後EBITDAは5.9%増の3,423億円となりました。経営戦略の1つであるSimplify Hiringの実現に向け、上半期に積極的な新しい商品やテクノロジーの開発に関わる人材の採用活動を実施したものの、事業環境の変化に鑑み、下半期には採用の一時停止、広告宣伝費をはじめとする費用の大幅な削減を実施しました。
● 販促領域:主に日本国内にて、住宅、美容、旅行、結婚、飲食及びその他の各事業分野に合わせた、マッチングプラットフォームを通じた企業クライアントの集客支援サービス及び経営・業務効率の改善を支援するSaaSを提供
● 人材領域:主に日本国内にて、当社グループが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディア、人材紹介サービスを通じて、個人ユーザーの求職活動及び企業クライアントの採用活動を支援するサービスを提供
(注)「その他/消去」調整後の数値を記載しているため、各セグメントの金額合計と一致していません。
当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比15.5%増の7,606億円となりました。
販促領域の売上収益は前連結会計年度比13.9%増となりました。これは合計で同領域の売上収益の50%以上を占める住宅及び美容分野が堅調であったこと、また住宅、美容、旅行、結婚、飲食、すべての分野において前連結会計年度比で増収となったことによるものです。
人材領域では、日本国内における採用活動の回復傾向が続き、売上収益は前連結会計年度比19.3%増となりました。飲食業や販売業の求人広告割合が高いアルバイトやパート向け求人広告サービスは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響を受けた前連結会計年度と比較して採用需要が回復し、増収となりました。
人材紹介サービスにおいては、一部の企業クライアントで採用に慎重になっている傾向が見られましたが、当該サービスを活用する多くの業種で人材需要の高まりが見られ前連結会計年度比増収となりました。
当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは、14.4%と前連結会計年度比で減少し、調整後EBITDAは6.8%増の1,098億円となりました。将来の成長を見据えた戦略的なマーケティング活動やSaaS分野への投資を積極的に実施しました。
Air ビジネスツールズを中心としたSaaSでは、Airペイを中心にアカウント獲得が進み、2023年3月末時点でAirペイのアカウント数は前年同期末比40.2%増の約39.4万件、そのうちAir ビジネスツールズの他のソリューションを併用しているアカウント数は約22.6万件となりました。
● 日本:国内における人材派遣サービスを提供
● 欧州、米国及び豪州:欧州、米国及び豪州等における人材派遣サービスを提供
欧州、米国、豪州の各売上収益は、欧州、米国及び豪州における子会社の所在地で分解しています。
当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比15.0%増の1兆5,852億円となり、為替によるプラス影響を控除した場合の売上収益は前連結会計年度比7.8%増となりました。
日本の売上収益は、人材派遣需要が引き続き増加したことで稼働人数が前年同期の水準を上回ったことにより、前連結会計年度比で13.1%増となりました。
欧州、米国及び豪州においては、前連結会計年度比で売上収益は16.5%増、また為替によるプラス影響を控除した場合の売上収益は前連結会計年度比3.7%増となりました。これは主に人材派遣需要が引き続き増加したことによるものですが、2022年3月期に存在した新型コロナウイルス感染症に関連する需要は減少しました。また、不透明な経済環境の見通しにより、当第4四半期から人材派遣需要全体も成長鈍化の傾向が見られはじめました。
当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは6.5%となり、前連結会計年度の6.8%から減少したものの、調整後EBITDAは9.6%増の1,022億円となりました。
日本においては、派遣スタッフ募集費の増加によりコストが上昇したことで、調整後EBITDAマージンは昨年と比較して減少し、8.2%となりました。欧州、米国及び豪州においては、調整後EBITDAマージンは5.2%となりました。
a. HRテクノロジー事業
当連結会計年度の設備投資は、諸設備の拡充等に伴い、349億円の資産の受入を実施しました。なお、重要な設備の除却又は売却はありません。
b. マッチング&ソリューション事業
当連結会計年度の設備投資は、ソフトウエアの開発・取得等に伴い、579億円の資産の受入を実施しました。なお、重要な設備の除却又は売却はありません。
c. 人材派遣事業
当連結会計年度の設備投資は、リース契約の更新等に伴う使用権資産の増加や、諸設備の拡充等に伴い、192億円の資産の受入を実施しました。なお、重要な設備の除却又は売却はありません。
d. 全社共通
重要な設備の取得及び除却又は売却はありません。