事業の経過及び成果

① 事業概況
 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大による中国でのロックダウンの影響、ウクライナ情勢の深刻化に起因する資源価格・原材料価格の高騰、世界的な半導体不足、欧米各国の利上げ政策による為替相場の急変など、先行きの不透明感が一段と強まりました。当社グループにおける影響としては、受注の減少、調達部材の高騰などが顕著に現れました。

② 受注高の概況
 当社グループの受注環境は、中国における製造業の設備投資の鈍化、最先端半導体の設備投資の一巡による新規投資の抑制などの影響を受け、お客様の需要動向懸念により、先々の注文を手控える動きがみられ、全般的に厳しい状況となりました。また、これらを主因とした受注減少に加え、お客様からの旺盛な先行発注により高水準であった前期の受注高の反動を受け、連結受注高は前期比41.2%減少の557億60百万円となりました。

③ 売上高の概況
 一方、連結売上高は、前期の高水準な受注による期初の豊富な受注残高に支えられたことに加え、国内では期中において実施した有明工場の増産投資、欧米の海外拠点におきましても前期から取り組んでまいりました生産能力の増強施策が奏功し、前期比25.3%増加の715億27百万円となりました。

④ 用途別売上高の概況
 用途別の売上高の動向は、産業用ロボット向けは、EV関連の設備投資拡大など高度な自動化投資に加え、慢性的な人手不足を補うための協働ロボットの需要拡大が進み、大幅に増加しました。半導体製造装置向けも、特に最先端分野において、世界的に設備投資意欲が旺盛だった影響から売上高は大幅に増加しました。
 また、先進医療用途(手術支援ロボット関連)は、新たなプレイヤーからの採用も含め、確実に需要が拡大し、売上高が増加しました。
 車載用途は、半導体不足によりお客様での生産調整は継続されているものの、売上高は徐々に増加しました。

⑤ 利益の概況
 損益面につきましては、生産能力増強投資を実施したことにより、減価償却費が増加したことに加え、製造部門の増員などにより製造費用が増加しました。また、物流費高騰と増収による運送費増加に加え、研究開発費などを積み増したことにより、販売費及び一般管理費も増加しました。このように費用は増加したものの、売上高の増加による増益効果が上回ったことにより、営業利益は前期比17.0%増加の102億24百万円となりました。また、営業利益の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比14.3%増加の75億95百万円となりました。

⑥ 事業上の取り組みの概況
 2022年度は、中期経営計画(2021年度~2023年度)の2年目として、当該計画に掲げた各施策に取り組んでまいりました。
 営業面におきましては、コロナ禍で定着したWeb活用による営業スタイルに加え、制限されていた対面営業を本格的に再開し、お客様ごとの課題解決に対しさらなるスピード感をもって、受注の獲得に取り組んでまいりました。また、展示会におきましては、初めての試みとして、モーションコントロール基幹部品の主要メーカ3社(THK様、SMC様、当社)によるプライベート展示会「メカトロニクスショー」を8月に開催いたしました。各社一体となった強みのアピールにより、多くの集客と中身の濃い商談につながる機会となりました。
 研究開発面におきましては、当社主力製品である波動歯車装置(ハーモニックドライブ®)の進化を図るとともに、外部研究機関との共同研究にも力を入れ、次世代のモーションコントロールに必要となり得る要素開発と製品化に取り組んでまいりました。メカトロニクス分野におきましても、次世代ドライバー(制御機器)のソフトウェア開発に、外部リソースも投入し力を注いでまいりました。また、今後の当社主力製品である「超軽量ユニットULWシリーズ」が、搭載装置の軽量化・省力化実現が評価され、「2022年グッドデザイン賞」を受賞いたしました。
 生産面におきましては、今後の当社製品の需要増加を見据え、前中期経営計画に策定したグループ全体の生産能力拡大計画を着実に実行してまいりました。有明工場に総額65億円の設備投資を実行し、2022年10月より量産稼働を開始しました。新たに構築した生産体制は、自動化・省人化を積極的に講じた生産ラインであり、従来比2倍以上の高い生産性を実現いたしました。これにより、納期の適正化を早期に実現いたしました。2022年10月以降の国内月産能力は従来比46.7%増となり、産業機械向けで月産13万台、車載向けで月産9万台、合計で月産22万台体制となりました。また、生産管理・工程管理機能のデジタル化促進により、各種工程データの「見える化」を実施し、生産性のみならず品質面の向上も図っております。
 また、前年度より着手してまいりました、長野県駒ケ根市へのメカトロニクス製品の生産拠点の移転は、2022年6月に完了し、新たに社名を株式会社ハーモニックウィンベル(当社子会社)とし稼働を開始いたしました。
 海外生産拠点であるドイツ、アメリカの子会社においても、需要増加を見据えた生産能力増強を実施しました。また、各地域のお客様向けの現地生産製品の拡大をすべく、グループの生産効率の最大化を念頭に、製品の生産移管を実施しています。
 品質面におきましては、工程データのデジタル化による品質管理体制の強化を進めてまいりました。また、当社グループの海外生産拠点との連携にも力を注ぎ、生産移管拡大に伴う「世界共通品質」の維持・改善を継続してまいりました。
 サステナビリティ活動の取り組みでは、2022年4月より「安曇野の水でつくったCO2フリー電気」を導入し、有明工場の電力を再生エネルギー100%に切り替え、電力使用によるCO2排出量はゼロとなりました。また、使用済みの紙を社内で再生した100%再生紙を再利用することで、地球環境を守る取り組みを進めております。


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2023/06/21 11:00:00 +0900
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