2024年度定時株主総会招集ご通知 証券コード : 6324

事業の経過及び成果

① 事業概況
 当連結会計年度における世界経済は、全体としては回復基調ながら、米国トランプ大統領の保護主義政策、中国の不動産不況と内需の低迷、さらには資源価格・原材料価格の高騰など、先行きの不透明感が根強く残りました。

② 受注高の概況
 当社グループの受注環境は、国内では受注の底入れが確認でき、当社製品の在庫が適正化されたお客様からの受注が緩やかながら回復基調となりました。また、ハイエンド志向の中国ローカルロボットメーカーからの受注拡大及び新規のお客様からの案件により、産業用ロボット向けが増加した一方で、車載向けは減少しました。結果として、連結受注高は前期比20.3%増加の530億41百万円となりました。

③ 売上高の概況
 用途別の売上高の動向は、産業用ロボット向けは、主要顧客における在庫調整が進み、お客様の発注が正常化に近づいたことに加え、ハイエンドの中国ローカルロボットメーカー向け及び新規のお客様からの案件獲得により、大幅に増加しました。一方、半導体製造装置向けは、特に最先端分野において、データセンター用途、生成AI関連用途などが需要をけん引したものの、高水準な受注残に支えられた前期に対し、売上高は減少しました。また、車載用途については、お客様の生産調整により売上高は減少しました。
 これらの結果、連結売上高は前期比0.3%減少の556億45百万円となりました。

④ 利益の概況
 損益面につきましては、全社コスト革新プロジェクトを立ち上げ、製造工法や業務効率を中心に全社を挙げて改革を進めました。上半期は産業用ロボット向け、半導体装置向け製品の受注回復のペースが想定より緩やかであったこと、国内生産工場の操業度も低水準であったことから、営業赤字となりました。下半期は受注が回復基調となり、上半期の赤字を打ち消し、通期の営業利益は前期比94.4%減少となったものの6百万円の黒字となりました。また、投資有価証券の売却等で、58億68百万円の特別利益を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は34億73百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失248億6百万円)となりました。

⑤ 事業上の取り組みの概況
 2024年度は、中期経営計画(2024年度〜2026年度)の初年度として、当該計画に掲げた各施策に取り組んでまいりました。
 営業面におきましては、日進月歩で開発が進むAI・ヒト型ロボット関連のお客様との関係構築強化を図りつつ、既存のお客様には課題解決に対し更なるスピード感をもって対応することで、受注の獲得に取り組んでまいりました。同時に製品の値上げにも取り組み、今期は限定的ながら、一定の効果を確認しております。さらに、展示会におきましては、一般的な機械要素部品展だけでなく、航空・宇宙関連の展示会に出展するなど、当社製品の採用機会拡大を図りました。
 研究開発面におきましては、主力製品である波動歯車装置(ハーモニックドライブ®)の進化を図るとともに、外部研究機関との共同研究にも注力し、次世代のモーションコントロールに必要となり得る要素開発と製品化の取り組みを継続しました。特に新規開発案件では、最新の軽量化技術と工法開発を適用した提案を行い、お客様の技術革新に貢献しました。また、メカトロニクス分野におきましては、ACサーボドライバ−HA900Aシリーズを市場導入しました。加えて、他社製品よりも省スペース化を実現する精密遊星減速機タイプのサーボアクチュエーターの開発に注力し、高付加価値メカトロニクス製品の強化・拡大を図りました。
 生産面におきましては、メカトロニクス製品の製造事業を、ハーモニックウィンベル社(連結子会社)へ移管することでグループ全体の効率的な製造拠点の配置、資産の有効活用、事業運営の安定・最適化を図りました。また、全社コスト革新プロジェクトを推進し、調達先の拡大や海外での組み立てによるコストダウンに取り組んでまいりました。さらに、DXソリューションを活用し、製造工程の状態把握や予実管理、打ち手の指示・支援をリアルタイムで管理するため「MES(製造実行システム)」を有明工場(長野県)に導入し、運用を開始するとともに、有明工場のノウハウを他工場に展開することで更なる生産のDX化に取り組んでまいりました。
 海外生産拠点であるドイツ、アメリカの子会社においても、各地域のお客様向けに、現地生産品目を拡大すべく、グループの生産効率の最大化を念頭に、製品の生産移管を実施しました。
 品質面におきましては、各種製造データの「見える化」を大幅に進め、品質管理体制を強化してまいりました。また、グループ各社間の連携にも力を注ぎ、生産移管推進に伴う「世界共通品質」の維持・改善に取り組んでまいりました。
 サステナビリティ活動の取り組みでは、「ハーモニック・ドライブ・システムズグループ人権方針」を策定し、人権尊重への取り組みを進めてまいりました。2023年4月に発足したサステナビリティ委員会では、経営層が自ら積極的にイニシアチブをとり、サステナブルな企業価値創造に取り組んでまいりました。また、トップダウンのみならず、全社員が積極的に参加できる「SDGs提案制度」も定着するなど、グループを挙げたサステナビリティ活動を推進しました。

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2025/06/20 11:00:00 +0900
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