事業の経過および成果

〈全般の状況〉
 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの収束の見通しが不透明なものの、ワクチン接種が進んだことで社会活動の正常化が進み、総じて前年度の歴史的な景気後退から回復を遂げました。一方で、半導体などの部材不足の長期化、インフレの進行、さらに2022年に入ってからのウクライナ危機などを受け、世界経済の先行きに対する懸念が一層強まりました。
 半導体市場においては、巣ごもり需要の継続や社会のデジタル化の進展により、データセンター、AI、パソコン関連の半導体需要が堅調に推移しました。また5Gスマートフォンの性能進化や販売台数の伸びに呼応し、スマートフォン向け半導体の高機能化や需要拡大が進みました。加えて、コロナ禍からの経済回復とあいまって自動車、産業機器、民生機器向けの半導体不足が顕著となったことで、多様な半導体に対して生産能力を増強するための投資が積極的に進められました。
 こうした半導体市場の活況を受け、半導体試験装置に対する需要も拡大が続きました。とりわけデータセンターやスマートフォン向けのハイエンドSoC半導体に対し先端技術投資が促進されたことで、SoC半導体用試験装置市場が力強く成長しました。
 このような環境下で、当社は、強みとする幅広い製品ポートフォリオとグローバル販売・サポート網を活かし、拡大する半導体試験装置需要を着実に取り込みました。一方で半導体などの不足が広範なサプライチェーンに影響を及ぼす中、当社の部材調達環境も過去に例のない厳しい状況が継続しました。
 これらの結果、当連結会計年度における受注高は7,003億円(前期比2.1倍)、売上高は4,169億円(同33.3%増)、営業利益は1,147億円(同62.2%増)、税引前利益は1,163億円(同67.1%増)、当期利益は873億円(同25.1%増)となりました。部材調達に制約が生じた中でも、連結会計年度におけるそれぞれの過去最高額をいずれも更新しました。なお当期利益における前期比増加率が緩やかであるのは、前年度において、日本での繰越欠損金使用および繰延税金資産約100億円の計上に伴う税金費用の減少があったことによります。当連結会計年度の平均為替レートは米ドルが112 円(前期106 円)、ユーロが130 円(同123円)、海外売上比率は96.1%(同95.5%)でした。


〈部門別の状況〉
(半導体・部品テストシステム事業部門)
 当部門では、SoC半導体用試験装置がアプリケーション・プロセッサやHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)デバイスなどハイエンドSoC半導体において一段の微細化や性能向上が計画されていること、半導体不足に対する供給能力拡大投資が推進されていることを背景に、受注高が大きく伸長しました。メモリ半導体用試験装置も、メモリ半導体の高性能化が継続する中で堅調に受注高を伸ばしました。一方、売上高については、半導体不足などにより供給リードタイムの長期化を余儀なくされましたが、SoC半導体用試験装置の販売がハイエンドSoC半導体向けを中心に増加しました。
 以上により、当部門の受注高は5,375億円(前期比2.4倍)、売上高は2,889億円(同39.4%増)、セグメント利益は1,057億円(同71.5%増)となりました。

(メカトロニクス関連事業部門)
 当部門では、半導体試験装置に対する顧客の旺盛な投資意欲やEUV露光技術の採用拡大を背景に、デバイス・インタフェース製品、テスト・ハンドラ、ナノテクノロジー製品の受注がそれぞれ伸長しました。販売面においては、製品ミックスが改善し、当セグメントの収益性向上に寄与しました。
 以上により、当部門の受注高は586億円(前期比39.2%増)、売上高は423億円(同5.7%増)、セグメント利益は61億円(同23.1%増)となりました。

(サービス他部門)
 当部門では、堅調なデータセンター投資やスマートフォンの高性能化を背景に、システムレベルテスト製品の需要が大幅に伸長しました。また当社製品の設置台数が拡大する中、保守サービスの需要も高水準に推移しました。
 以上により、当部門の受注高は1,043億円(前期比66.9%増)、売上高は858億円(同28.5%増)、セグメント利益は178億円(同71.0%増)となりました。

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2022/06/24 12:00:00 +0900
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