事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における国内株式市場は、新型コロナウイルス感染拡大による世界的景気悪化への懸念から、2月下旬から3月下旬にかけて日経平均株価は大幅に下落しましたが、各国・地域による積極的な財政・金融政策などへの期待から上昇基調に転じました。6月以降は限定的な値動きとなったものの、11月にはワクチン実用化の実現性の高まりなどを受けて世界的に株価は大きく上昇しました。日経平均株価は、前連結会計年度末の23,656円62銭から16.0%上昇して27,444円17銭で当連結会計年度末の取引を終えました。このような市場環境の中、個人投資家の株式等委託売買代金は前連結会計年度と比較して43.5%増加しました。
 外国為替市場においては、年初に1ドル=108円台で推移していたドル円相場は新型コロナウイルス感染拡大への懸念から3月上旬にかけ急速に円高が進み、一時101円台まで下落しましたが、3月下旬には再び111円台まで大きく値を戻しました。その後は、緩やかな円高基調で推移し、当連結会計年度末は1ドル=103円台で取引を終えました。このような相場展開を受けて、国内店頭FXの取引金額は前連結会計年度比で85.0%増と大幅に増加しました。
 暗号資産※市場では、代表的な暗号資産であるビットコインの価格は3月に急落しましたが、4月以降は安定的に上昇して推移しました。10月中旬以降、その価格上昇率は一段と高まり、12月には2017年12月に記録した史上最高値を更新するなど、ビットコインを中心に複数の暗号資産価格のボラティリティが上昇したことで市場は活況を呈しました。また、5月1日に改正資金決済法、改正金融商品取引法が施行され、暗号資産業界の制度整備が大きく進みました。
 このような外部環境の中、当社及び当社の連結子会社(以下、「GMO-FH」という。)は、証券・FX事業において、店頭FXの収益性向上に向けた各施策を着実に進めるとともに、国内シェア拡大に向けたスプレッド縮小施策を展開し、9年連続で年間取引高国内1位を達成しました。店頭FXに次ぐ収益の柱とすべく注力するCFDについては、積極的なプロモーション活動を継続したほか、新たにCFD取引専用のスマホアプリをリリースするなど利便性向上にも取り組み、顧客基盤の拡大を図りました。好調なマーケット環境の後押しも受けて同商品の売買代金・収益はともに大きく伸長しました。
 暗号資産事業においては、改正金融商品取引法の施行と同日の5月1日に同事業を展開するGMOコイン株式会社が第一種金融商品取引業者として登録され、暗号資産関連店頭デリバティブ取引サービスの継続提供が可能となりました。サービスの拡充と利便性向上に向けて、複数のアルトコイン銘柄の取扱開始をはじめ、APIサービスの機能・性能改善、法人口座やつみたて暗号資産サービスの提供開始などに取り組み、顧客基盤が順調に拡大しました。
 海外事業においては、タイ王国でインターネット証券取引サービスを提供するGMO-Z com Securities (Thailand) Limitedが堅調に推移し、2017年11月の営業開始から3年目で通期黒字化を達成しました。
 営業収益は、株式等委託等売買代金の増加等により受入手数料が増加したことに加え、CFD取引、暗号資産取引に係る収益が拡大したことでトレーディング損益が増加し、前連結会計年度比で増収となりました。
 以上の結果、当連結会計年度の営業収益は35,988百万円(前連結会計年度比10.7%増)、純営業収益は33,968百万円(同12.1%増)、営業利益は12,268百万円(同25.7%増)、経常利益は11,806百万円(同21.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,298百万円(同20.2%増)となりました。
※2020年5月1日に施行された改正資金決済法により、「仮想通貨」から「暗号資産」へ呼称が変更されました。


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2021/03/20 16:00:00 +0900
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