事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における世界経済は、高インフレ率が継続し、西欧諸国を中心としたエネルギー価格の高騰等による景気の低迷が見られた一方で、中国のゼロコロナ政策の解除等に伴い、サービス産業で景気の回復が見られました。
 また、日本経済は、世界の動向と同様にサービス産業による設備投資が加速し、脱炭素やデジタル化に関する投資が継続して増加したものの、海外経済鈍化の影響により、業界・部門によって投資機運にばらつきが見られました。
 このような経済環境の中、当社グループでは中期3ヵ年計画「GP2023」に基づく施策に取り組んだ結果、2023年3月期連結業績は、売上高452億23百万円(前年同期比13.1%増)、営業利益33億26百万円(同28.9%増)、経常利益37億48百万円(同25.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益27億63百万円(同34.7%増)となりました。

 セグメントごとの業績は、次のとおりであります。当社グループは、顧客の属する業界ごとに業績管理を行っており、「鉄鋼」「自動車」「電子・半導体」「ゴム・タイヤ」「工作機械」「高機能材」「環境」及び「紙パルプ」の8業界を報告セグメントとしております。

(鉄鋼業界)
 同業界では、世界最大の粗鋼生産国である中国での生産量が前年同期比プラスとなり、地域差はあるものの世界全体では前年同期比微減の生産量となりました。日本の動向としては、自動車生産の回復が遅れ、物価高・利上げ等による海外鋼材需要の低下の影響もあり、粗鋼生産量は減少しました。
 当社グループにおきましては、整備部門だけでなく操業部門への営業活動に注力した結果、製鋼操業用特殊重機や安全対策用の柵及び取付治具、熱延工程向け特殊バルブの売上が伸びたほか、海外製鉄所の台風被害復旧向け機材販売も売上増加に寄与しました。
 この結果、鉄鋼業界向け全体としての売上高は122億32百万円(前年同期比8.0%増)となりました。

(自動車業界)
 同業界では、世界の動向として、中国でのガソリン車は減産していますが新エネルギー車は大幅な増加が見られるなど生産部門に変化が見られ、世界的に自動車生産は回復傾向にあります。日本の動向としては、車載用半導体供給不足の影響は改善されてきており、コロナ禍前の水準に近い生産台数に戻りつつあります。
 当社グループにおきましては、CASE市場で注目されている電池やモーター分野への営業・提案活動に注力した結果、電池製造工程に対し当社オリジナル品である脱泡機の販売が増加したことや、モーター製造工程向け自動化案件の受注などが売上増加に貢献しました。
 この結果、自動車業界向け全体としての売上高は94億46百万円(前年同期比18.0%増)となりました。

(電子・半導体業界)
 同業界では、世界及び日本の動向として、メモリー半導体市場で投資の抑制が見られましたが、自動車用パワー半導体への投資が伸びるなど、需要部門において温度差が見られました。半導体製造装置関連で前年に見られた需要の高まりに鈍化が見られ、売上は減少傾向で推移しました。
 当社グループにおきましては、設備・保全部門に対する営業活動に注力した結果、半導体後工程向けに当社オリジナル品であるフラックス洗浄装置の販売が増加したことや、半導体エッチング装置向けの部材の受注が増加したことなどが売上の伸長に寄与しました。
 この結果、電子・半導体業界向け全体としての売上高は68億77百万円(前年同期比17.7%増)となりました。

(ゴム・タイヤ業界)
 同業界では、世界の動向として、中国での自動車減産に伴う需要の減少や欧州での暖冬による交換用タイヤの需要の減少などが見られました。
 当社グループにおきましては、前期に続き開発案件のフォローや新規案件、設備投資に関する営業活動に注力した結果、当社グループ会社のオリジナル品であるバルブ・タイヤ関連機器及び断熱板の販売が国内・国外問わず好調であったことにより売上が増加しました。
 この結果、ゴム・タイヤ業界向け全体としての売上高は33億94百万円(前年同期比26.9%増)となりました。

(工作機械業界)
 同業界では、産業界におけるコロナ禍からの回復に伴い受注は堅調に推移していましたが、世界的な金利高などにより設備投資が鈍化し、需要は減少傾向にあります。
 当社グループにおきましては、工作機械の複合化、自動化の要求に対し営業・開発に注力した結果、当社オリジナル品であるロータリージョイントの売上が継続して増加したことに加え、周辺機器の需要も高まりました。また濾過装置メーカーや加工機メーカー向けにポンプ類の販売が増加しております。
 この結果、工作機械業界向け全体としての売上高は24億36百万円(前年同期比30.0%増)となりました。

(高機能材業界)
 同業界では、基礎製品となるエチレンの製造が減少傾向にあるなど、世界経済の減速や需要の低下の影響を受けています。
 当社グループにおきましては、高機能フィルム業界、医薬・化粧品分野の開拓に注力した結果、原料供給用のタンクの新設案件やそれに付随するポンプ類の受注等により売上が増加しました。
 この結果、高機能材業界向け全体としての売上高は19億73百万円(前年同期比13.6%増)となりました。

(環境業界)
 同業界では、国内工場の新設や増設における水ビジネスや地球温暖化対策案件について、継続して伸長しており、環境業界全体を牽引しています。
 当社グループにおきましては、近年重要視されている環境産業・水ビジネスへの深耕に注力した結果、水処理プラント向けポンプ等の機器や省エネに関するインバーター類の販売、焼却設備向けの環境対策品の販売が売上の増加に寄与しました。
 この結果、環境業界向け全体としての売上高は20億94百万円(前年同期比7.7%増)となりました。

(紙パルプ業界)
 同業界では、物価高騰によるコスト抑制で需要が減少し、紙・板紙の生産及び出荷量は依然として低迷しております。
 当社グループにおきましては、最先端のバイオマス素材であるCNF分野やケミカル素材分野、エネルギー分野への商材開発に注力した結果、CNF分野向け装置の受注等で売上を伸ばしましたが、原動機類が非更新時期であったこと等による落ち込みを埋めるまでには至りませんでした。
 この結果、紙パルプ業界向け全体としての売上高は7億89百万円(前年同期比8.6%減)となりました。

 海外売上高について地域別にみてみると、アジアが35億96百万円、欧州が5億64百万円、北米が9億37百万円、その他の地域が25百万円となっており、合計51億23百万円で連結売上高全体の11.3%を占めております。

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2023/06/22 11:00:00 +0900
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