消費環境は、モノからコトへ消費のシフトがさらにすすみ、小売業態ではEC市場の成長が続く中、今後は物販中心のリアル店舗に依存した業態が衰退するリスクも考えられます。
クレジット市場については、2020年のオリンピック・パラリンピック開催に向けて、インフラの整備がすすみ、市場の拡大が見込めるものの、新たなテクノロジーによる金融サービスの革新で、市場が激変する可能性もあります。
当社グループでは、これらの事業環境の変化に対応するため、小売と金融が一体となった独自のビジネスモデルを進化させ、企業価値の向上をめざしております。
小売セグメントにおいては、百貨店型店舗から不動産型店舗への転換、仕入れ契約から定期借家権付き賃貸借契約への切り替えを行うSC・定借化をすすめております。それにより、お客さまニーズの実現と収益の安定化をはかるとともに、ECに軸足を置いた独自のオムニチャネル戦略をすすめております。
フィンテックセグメントにおいては、全国でのエポスカードファン拡大に向け商業施設やコンテンツ系企業との提携を強化し、高い収益性の維持と事業規模の拡大の両立をはかっております。
これらの取組みにより、グループ総取扱高は初めて2兆円を上回る2兆1,894億円(前期比13%増)となりました。売上収益は2,390憶円(前期比1%増)、営業利益は352億円(前期比13%増)9期連続の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は209億円(前期比12%増)7期連続の増益となり、4期ぶりの増収増益となりました。
その結果、EPS(1株当たり当期純利益)が93.2円(前期比16%増、前期差12.9円増)、ROE(自己資本当期純利益率)が7.6%(前期差0.9%増)となり、利益成長と資本政策によりともに計画を達成しました。また、中期経営計画で目標とする企業価値創造に向けた事業構造・資本構造への転換を着実にすすめたことで、ROIC(投下資本利益率)は3.2%(前期差0.1%増)となりました。
小売セグメントにおきましては、当期もSC・定借化は着実に進捗し、当期末のSC・定借化率は、87%(前期末差25%増)となり、計画を上回りました。このSC・定借化の進捗により、従来のアパレル中心の売場構成から、飲食やサービス・雑貨を中心としたライフスタイル型の店づくりがすすみ、客数増につながっております。
また、EC事業はお取引先さまの在庫情報を共有するなど連携を強化したことで、取扱高は前期に比べ伸長いたしました。
営業利益については、プラットフォーム事業は受注環境の悪化などにより前期を下回りましたが、定借化による収益改善等で仕入区画の売上不振を吸収し、店舗・オムニチャネル事業は増益となりました。その結果、小売全体では前期を11億円上回り2期ぶりの増益となりました。
フィンテックセグメントにおきましては、エポスカードのご利用客数の拡大に向け、丸井店舗での入会促進を強化するとともに、商業施設との提携拡大による全国展開をすすめたほか、ECやサービス・コンテンツ関連など成長性の高い分野での企業提携に取組んでおります。
カード会員数は657万人(前期比3%増)となり、とりわけお得意さまづくりを着実にすすめたことにより、プラチナ・ゴールド会員は184万人(前期比17%増)と大きく伸長いたしました。
取扱高はショッピングクレジットが引き続き高伸長し、1兆6,009億円(前期比15%増)となったことに加え、家賃保証などのサービス取扱高が2,251億円(前期比20%増)と順調に拡大いたしました。また、リボ・分割払いの残高はお客さまの利便性向上に取組んだことにより、3,001億円(前期比17%増)と好調に推移いたしました。
以上の結果、フィンテックセグメントの営業利益は303億円(前期差32億円増)、6期連続の増収増益となりました。
(注)関連事業は、店舗内装、広告宣伝、ファッション物流受託、建物等の保守管理等による収入、IT他は情 報システムサービス、不動産賃貸等による収入であります。
設備投資の状況
当期の設備投資は、既存店の売場改装や通販用自動倉庫の導入、情報端末の更新など総額102億50百万円を実施いたしました。
資金調達の状況
資金調達については、財務の安定性確保を最優先に、調達期間の長期化や返済・償還時期の分散化、調達手法の多様化などに取組んでおります。
当期においては、フィンテックセグメントの営業債権の増加や借入金の返済に対応し、金融機関からの借入により660億円、社債の発行により200億円を調達いたしました。また、債権流動化による資金調達は150億円増額いたしました。