事業の経過およびその成果

<連結業績>

 当期は、新型コロナウイルスの感染拡大への対応により2ヵ月近く店舗を休業したことや消費者行動の変化などにより小売セグメントの取扱高が減少した一方で、フィンテックセグメントの取扱高については家賃保証やリカーリングを中心に堅調に推移し、グループ総取扱高は2兆9,192億円(前期比1%増)となりました。
 営業利益は、第4四半期において、利息返還損失引当金繰入額を194億円追加計上したことなどにより153億円(前期比63%減)となり、12期ぶりの減益となりました。
 また、親会社株主に帰属する当期純利益は、雇用調整助成金収入を営業外収益に6億円、特別利益に9億円を計上する一方で、休業した店舗の固定費などを「感染症関連費用」として特別損失に77億円計上したことなどにより23億円(前期比91%減)となり、10期ぶりの減益となりました。
 当期を最終年度とする中期経営計画は、前期まで順調に推移していたものの、上記の結果、当社グループのKPIであるEPS(1株当たり当期純利益)、ROE(自己資本当期純利益率)、ROIC(投下資本利益率)はすべて計画未達成となりました。
 当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。
 お客さま・お取引先さまとの契約にもとづく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTV(生涯利益)を重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。
 当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は1,236億円(前期比6%減)となり、売上総利益に占める割合は67.7%(前期差2.4%増)まで高まりました。
 当期末の成約済み繰延収益は3,340億円(前期比5%減)となり、当期の売上総利益の約1.8倍の将来収益が見込まれます。



<新型コロナウイルスの感染拡大への対応と影響および営業利益増減の主な特殊要因>

 マルイ・モディ店舗においては、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、お客さま、お取引先さま、社員の健康と安全を最優先に考え感染拡大を防止するため、2020年4月から5月の緊急事態宣言期間中は食料品売場および一部テナントを除き全店舗を休業しました。
 この未曾有の危機を店舗に出店しているお取引先さまと共に乗り越えるため、休業期間中の家賃・共益費の免除などの施策を実施しました。これにより売上収益が42億円減少しています。店舗休業中の固定費については、小売セグメントで67億円、フィンテックセグメントで5億円を特別損失に振替えています。
 上記に加えて、小売セグメントでは定借変動収入や商品荒利の減少などにより、営業利益が推定で約73億円減少し、フィンテックセグメントではカードキャッシングの取扱高が減少したことなどにより、営業利益が約26億円減少しました。
 またカードキャッシングの利息返還に備えるため、利息返還損失引当金繰入額232億円(前年差187億円増)を計上したことにより、営業利益が187億円減少しました。


<小売セグメント>

 ショッピングセンター(SC)型店舗への転換による収益改善および利益の安定化に続く新たな戦略として、モノを売る店から体験価値を提供する店への転換をすすめています。
 D2C(ダイレクトトゥコンシューマー)ブランドやコンテンツ、サブスクリプションなどのテナント導入を拡大し、体験やエンゲージメントなどアフターデジタル時代のリアル店舗ならではの価値を提供する「売らない店」をめざしています。
 4月期、5月期については新型コロナウイルス感染拡大にともなう店舗休業や外出自粛などにより取扱高が大きく減少しました。その後は、郊外店を中心に回復傾向にあるものの、年間の累計取扱高は減収となりました。これにともない、小売セグメントの営業利益は15億円(前期比85%減)となり、前年を85億円下回りました。

<フィンテックセグメント>

 エポスカードのご利用客数の拡大に向け、マルイ・モディ店舗やネット・サービス領域での新規入会の促進を強化するとともに、アニメコンテンツのコラボレーションカードの発行や、全国の商業施設との提携カードの発行をすすめ、提携施設数は33施設(前期差3施設増)に拡大いたしました。また、利用率・利用額のさらなる向上に向けて、家賃保証やリカーリングなどに取り組み、家計消費におけるシェア最大化をめざしています。
 カード会員数は709万人(前期比2%減)となりましたが、お得意さまづくりを着実にすすめ、プラチナ・ゴールド会員は270万人(前期比8%増)と伸長いたしました。
 取扱高については、ショッピングクレジットは2兆1,860億円(前期比1%増)と前年を上回りました。ECの利用は前期比33%増と伸長しましたが、トラベル・エンターテイメントの利用が前期比46%減と大きく減少しました。家賃保証などのサービス取扱高は4,609億円(前期比30%増)と引き続き大きく拡大いたしました。
 一方で利息返還損失引当金の繰り入れもあり、フィンテックセグメントの営業利益は203億円(前期比47%減)と、9期ぶりの減益となりました。




(2)設備投資の状況

 当期の設備投資は、既存店の売場改装やシステム投資など総額105億53百万円を実施いたしました。

(3)資金調達の状況

 資金調達については、財務の安定性確保を最優先に、調達期間の長期化や返済・償還時期の分散化、調達 手法の多様化などに取り組んでおります。
 当期においては、借入金の返済等に対応し、金融機関からの借入により497億円、社債の発行により200億円を調達いたしました。また、債権流動化による資金調達は50億円増額いたしました。

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2021/06/25 12:00:00 +0900
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