対処すべき課題

これまでの取り組み

 当社グループは、創業以来、小売・フィンテック一体の独自のビジネスモデルを、時代やお客さまのニーズの変化にあわせて、革新・進化させてまいりました。前中期経営計画につきましては、前記のとおり主要3KPI(EPS、ROE、ROIC)は大幅に計画未達となりました。
 一方で、長期視点でLTV(生涯利益)を重視する経営をすすめ、フィンテック主導の成長へのシフト、小売の「定借化」など、事業構造の変革、および高い利益成長を継続できる収益構造への転換を実現しました。また、「めざすべきバランスシート」に向けた資本政策が着実に進捗した結果、収益力向上と資本コスト低減の両面から企業価値創造が実現し、安定的にROICがWACCを、ROEが資本コストを上回る構造が完成しつつあります。
 また、2019年には、2050年に向けた長期ビジョンを策定し、ビジネスを通じ持続的な社会、地球環境の実現に向けて「将来世代」を加えた6つのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」をめざす「共創サステナビリティ経営」をすすめ、DJSIワールド小売分野世界1位など、高い評価をいただきました。

(小売)

 従来の百貨店型から家賃収入を主とするショッピングセンター型への転換が完了しました。また「売らない店」への進化に向けて、D2Cブランドや飲食・サービステナントなどを導入、未来に向けた店づくりをすすめてきました。
 一方で自主専門店・ECの利益改善は未達となりました。

(フィンテック)

 全国の商業施設やネット、サービス領域での入会を強化したことで、2021年3月末のカード会員数は709万人、5年間で96万人増となりました。
 ショッピングクレジットが業界平均を大きく上回り拡大したことに加え、家賃保証を中心としたサービスも高伸長し、エポスカード総取扱高は5年間で約1.9倍に拡大しました。

(最適資本構成)

 グループの事業構造に見合った「めざすべきバランスシート」の構築を掲げ、営業債権の拡大に対する有利子負債での調達、計画的な営業債権の流動化などの資本政策を通じて、目標としていた総資産1兆円以内、自己資本比率30%前後の最適資本構成を達成しました。

事業環境の変化

 2030年に向けた今後の10年においては、「現役世代から将来世代へ」、「デジタル技術は導入期から展開期へ」、「有形資産から無形資産へ」という3つの大きな転換が起き、社会の世代交代により、デジタル、サステナビリティ、ウェルビーイングといった将来世代の常識に対応できない企業は急速に支持を失うリスクがあります。

今後の方向性

  1. 将来世代との共創を通じて、社会課題の解決と企業価値向上を両立
  2. 店舗とフィンテックを通じて、「オンラインとオフラインを融合するプラットフォーマー」をめざす
  3. 人材、ソフトウェアに加え、新規事業、共創投資への無形投資を拡大、知識創造型企業へと進化
  4. ステークホルダーをボードメンバーに迎え、「利益としあわせの調和」に向けた共創経営を推進

新中期経営計画の策定について

 急速な事業環境の変化が予測される中、前中期経営計画の目標を早期に達成し、さらなる企業価値の向上を実現するため、2026年3月期を最終年度とする5ヵ年の新中期経営計画を策定しました。

<事業戦略>

(グループ事業の全体像)

 小売、フィンテックに「未来投資」を加えた三位一体のビジネスモデルを創出します。未来投資には、共創投資と新規事業投資が含まれます。

(小売)

 コロナによる市況の悪化が懸念される中、これまで取り組んできた百貨店業態のトランスフォーメーションをさらに推進し、新たな成長を実現します。店舗を「オンラインとオフラインの融合」のプラットフォームと位置づけ、EC中心に展開する新規事業がさまざまなイベントを開催し、このイベントが来店動機となる店づくりをすすめます。また、これらのイベントをフィンテックと連携し、丸井の店舗だけでなく全国の商業施設で展開することを視野に、事業化をめざします。

(フィンテック)

 4月からスタートした新カード、新アプリを通じて、UXを飛躍的に高め、LTVのさらなる向上をめざします。また、ゴールドカードに次ぐ第二の柱に成長してきた、アニメに代表されるコンテンツカードなど、「一人ひとりの『好き』を応援する」カードを拡大します。
 リアル店舗中心の会員募集を見直し、ネット入会の比率を高めるほか、拡大が見込まれるEC・ネット関連サービス、家賃などを中心に家計シェア最大化の取り組みを強化することで、5年後の取扱高は2倍の5.3兆円をめざします。
 また、50万人以上のお客さまに再生可能エネルギーをエポスカード払いでご利用いただき、CO2削減とLTV向上の両立に挑戦します。

(未来投資)

 未来投資は、サステナビリティ、ウェルビーイングなどのインパクトと収益の両立をめざしてイノベーションを創出します。新規事業投資は社内からのイノベーション創出、共創投資は社外からのイノベーション導入をめざします。
 新規事業は、ECを中心にメディア、店舗、フィンテックを掛け合わせた独自のビジネスモデルを構築します。
 共創投資は、共創の理念にもとづき、共に成長し価値をつくる取り組みをすすめ、小売・フィンテックへの貢献利益と、ファイナンシャルリターンの両方を追求します。

<資本政策>

 小売は定借化にともない安定化も、自己資本比率は依然として高い水準のため、この余剰資本を再配分し、自己資本比率25%前後を目標にバランスシートの見直しをすすめます。
 また、5年間の基礎営業キャッシュ・フロー2300億円を、未来投資を含めた成長投資に800億円、資本最適化のための自社株取得に500億円、株主還元に1000億円を配分する計画です。


<インパクト>

 2019年に公表した「ビジョン2050」にもとづき、サステナビリティとウェルビーイングに関わる目標を「インパクト」として定義しました。「将来世代の未来を共につくる」「一人ひとりの幸せを共につくる」「共創のプラットフォームをつくる」の3つの目標を達成すべく、主要な取り組み項目を新中期経営計画の主要KPIとして設定します。
 また、ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎えることで、ガバナンス体制を進化させてまいります。

主要KPI

 2026年3月期の目標として、インパクトについては、「CO2排出削減量100万トン以上」「将来世代との共創の取組み150件以上」など6つのKPIの達成をめざします。そして、これらのインパクトを実現することで、EPS200円以上、ROE13%以上、ROIC4%以上を実現します。


 以上のような取り組みを通じて、さらなる企業価値向上につとめてまいります。

 株主の皆さまにおかれましては、今後も変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申しあげます。

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2021/06/25 12:00:00 +0900
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