当社グループは、当社、連結子会社4社(FCTI, Inc.、PT. ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONAL、株式会社バンク・ビジネスファクトリー、株式会社セブン・ペイメントサービス)及び関連会社3社(株式会社セブン・ペイ、TORANOTEC株式会社、TORANOTEC投信投資顧問株式会社)の計8社で構成され、国内外における各事業を推進しております。国内事業においては、基幹事業であるATMプラットフォーム事業に加え、決済口座事業を行っております。また、海外事業においては米国、インドネシアにてATMサービスを展開しております。
ATMプラットフォーム事業では、セブン&アイHLDGS.のグループ各社(以下、「グループ」という。)のセブン‐イレブン、イトーヨーカドー等の店舗をはじめ、空港や駅、金融機関店舗等にATMを設置し、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、JAバンク、JFマリンバンク、商工組合中央金庫、証券会社、生命保険会社、クレジットカード会社、消費者金融会社等多くの金融機関・事業会社と提携することで、原則24時間365日稼働する利便性の高いATMネットワークを介して多くのお客さまにATMサービスを提供する事業を展開しております。また、決済口座事業では普通預金や定期預金、ローンサービス、海外送金サービス、デビットサービス等の身近で便利な口座サービスを提供しております。
海外における当社連結子会社を通じ、米国、インドネシアにおいて現地の決済ニーズに即したATMサービスを提供する事業を展開しております。
わが国の経済は、個人消費において依然として先行き不透明な状況が続いておりますが、政府の景気対策等の効果もあり所得から支出への前向きな循環メカニズムの働きにより、緩やかに拡大しております。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移し、長期金利から中長期の予想物価上昇率を差引いた実質長期金利も、マイナスで推移しており、金融面では引続き、きわめて飽和した状態にあります。
❶ 国内事業セグメント
・ATMプラットフォーム事業
当連結会計年度も、グループ内外へのATM設置を積極的に推進したこと等により、ATMをご利用いただくお客さまの利便性向上に努めました。当連結会計年度は、更なるATM利用者拡大のため、新たなカテゴリーとして金融機関以外の資金移動業者等との新規提携を積極的に推進したことに加え、2018年5月に銀行口座を介さないで現金が受取れるATM受取(現金受取サービス)、2018年10月には交通系電子マネー及び楽天Edyへのチャージの取扱いを開始しました。このような取組みの結果、当連結会計年度末現在の提携金融機関等は、銀行124行、信用金庫257庫、信用組合127組合、労働金庫13庫、JAバンク1業態、JFマリンバンク1業態、商工組合中央金庫1庫、証券会社11社、生命保険会社7社、その他金融機関等73社の計615社(注)となりました。
ATM設置については、グループ内ではセブン‐イレブン店舗の新規出店に合わせて展開し、堅調に台数を伸ばしました。一方、グループ外ではお客さまのニーズに応える形で交通・流通・観光の各施設への設置を引続き積極的に実施しております。また、南都銀行からの店外ATM設置の広域受託として、2019年3月には、奈良県、大阪府の主要ターミナル駅周辺に「共同運営ATM」を5台同時に設置しました。
以上の取組みの結果、ATM設置台数は25,152台(前連結会計年度末比3.1%増)になりました。また、当連結会計年度のATM1日1台当たりの平均利用件数は92.3件(前連結会計年度比1.9%減)、総利用件数は829百万件(同1.8%増)と推移しました。
・決済口座事業
当連結会計年度末現在、個人のお客さまの預金口座数は"200万口座"を突破し、2,001千口座(前連結会計年度末比9.5%増)となりました。個人向け預金残高は4,346億円(同6.1%増)、ローンサービスの残高は226億円(同0.1%減)、海外送金サービスの当連結会計年度における送金件数は1,144千件(前連結会計年度比6.0%増)となりました。
国内における当社連結子会社の株式会社バンク・ビジネスファクトリー(以下、「BBF」という。)では、当社からの事務受託に加え、決済口座事業で得た知見を活かし、他金融機関等からの事務受託事業を展開しております。近年、マネー・ローンダリングにおける手口の巧妙化は新たな社会課題と認識されており、金融機関等には機動的かつ実効的な対応が求められております。BBFでは事務受託範囲を金融機関等のマネー・ローンダリング対策に拡大し、社会課題解決への貢献を通じ、業容の拡大を図ってまいります。
また、2018年6月、グループと共同出資(当社出資比率30%)で新たに持分法適用関連会社として設立した株式会社セブン・ペイでは、スマートフォンをツールとした新たな決済サービスの提供(2019年7月開始予定)に向けた準備を進めております。
これらの結果、当連結会計年度における国内事業セグメントは、経常収益119,844百万円(前連結会計年度比2.6%増)、経常利益42,794百万円(同1.0%増)となりました。
❷ 海外事業セグメントこれらの結果、当連結会計年度における海外事業セグメントは、経常収益27,547百万円(前連結会計年度比152.5%増)、経常利益△2,018百万円となりました。
❸ 経営成績
当連結会計年度の当社連結業績は、米国でのATM事業本格化による収益が上積みされ、経常収益147,288百万円(前連結会計年度比15.3%増)、経常利益40,714百万円(同6.2%増)となりました。また、当社の海外事業を推進している米国連結子会社FCTI及びインドネシア連結子会社PT.ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONAL(以下、「ATMi」という。)に係る収支が、当初策定した計画を下回って推移したことから、事業計画の見直しを行い、FCTI・ATMi両社に係る固定資産(主にFCTIの株式取得時に発生したのれん)等について減損損失14,830百万円を特別損失として計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益13,236百万円(同47.6%減)となりました。
なお、セブン銀行単体業績は、基幹事業のATMプラットフォーム事業が堅調に推移したことにより、経常収益119,567百万円(前年度比2.5%増)、経常利益43,059百万円(同1.8%増)となりました。また、当社が保有する上記、海外子会社等の株式について実質価額の低下を認識し、関係会社株式評価損21,889百万円を特別損失として計上したことにより、当期純利益14,572百万円(同49.9%減)となりました。
❹ 資産、負債及び純資産の状況
総資産は1,141,926百万円となりました。そのうちATM運営のために必要な現金預け金が780,650百万円と過半を占めております。その他、主に為替決済、日本銀行当座貸越取引等の担保として必要な有価証券が85,639百万円、提携金融機関との一時的な立替金であるATM仮払金が194,910百万円となっております。
負債は929,036百万円となりました。このうち主なものは預金であり、その残高は(譲渡性預金を除く)678,664百万円となっております。このうち、個人向け普通預金残高が294,234百万円、個人向け定期預金残高が140,416百万円となっております。
純資産は212,890百万円となりました。このうち利益剰余金は147,094百万円となっております。