企業集団が対処すべき課題

 当社グループを取巻く環境は大きく変化しており、また、その変化のスピードも早くなっております。
 国内においては、決済のデジタル化・キャッシュレスの本格化とともに、技術革新を背景とした様々なサービスが登場するなかで、暮らしの中の身近な金融接点としてATMに求められる価値も大きく変化してきております。また、ライフスタイルや価値観の多様化、外国人労働者に関する新制度が実施される等、新たな消費・労働マーケットが生じ、「より近くて便利」な金融サービスのニーズはますます拡大しつつあります。
 一方、巧妙化・高度化が進む金融犯罪やセキュリティへの不安、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、地方都市における金融機関の窓口やATMの削減といった金融接点の機会減少等の社会課題は多様化し深刻さを増してきております。企業も社会を構成する一員として、その解決に対してこれまで以上に真剣に向き合うべき時代を迎えています。

 このような昨今の環境変化を踏まえ、全国25,000台を超えるATMネットワークをはじめとする当社プラットフォームを活用し、提携先、お取引先等のステークホルダーとともに、「安心・安全」な決済インフラを提供し、持続可能な社会に向けた課題解決と企業価値向上、その双方を達成すべく、以下の事業を推進してまいります。

 各事業に対する具体的な取組み及び進捗状況は以下のとおりです。

<国内事業セグメント>
・ATMプラットフォーム事業
 全国25,000台を超えるATMネットワークをプラットフォームと位置づけ、提携先事業者とご利用されるお客さまを増やすための施策を展開してまいります。より多くのお客さまに当社ATMサービスをご利用いただくため、従来の金融機関を中心とした提携先へのサービス提供の充実に加え、銀行口座を介さないで現金を受取れるATM受取(現金受取サービス)、交通系電子マネー等へのチャージ、新たに決済分野へ参入した事業者に向けたサービス等、従来の概念にとらわれないATM利用スタイルを提供してまいりました。引続きATMの新たな価値創造を推進するため、提携先の拡大と新サービスの認知向上に傾注してまいります。
 また、グループ内への着実なATM設置を継続しつつ、金融機関からのATM受託の取組みを一層強化し、ATM設置を引続き積極的に進めてまいります。
 社会構造、お客さまのニーズ・価値観の変化に柔軟に対応した新しいATMの開発導入を進め、新たなATMの価値創造に向け邁進してまいります。

・決済口座事業
 年々、増加する外国人の方から、安心して便利に母国へ送金が出来るサービスとして高い評価を得ている海外送金サービスは2019年4月の改正出入国管理法の施行により、大きな収益機会が見込まれております。今後も海外送金サービスをはじめとした金融サービスを通じて、多文化共生の実現に貢献してまいります。
 また、2018年6月、グループと共同出資(当社出資比率30%)で新たに持分法適用関連会社として設立した株式会社セブン・ペイでは、スマートフォンをツールとしたバーコード決済「7pay(以下、セブン・ペイ。)」のサービスを開始(2019年7月予定)いたします。セブン・ペイを介して、セブン‐イレブンをはじめグループ各社に来店される一日約2,300万人のお客さまと、当社金融サービスとの顧客接点を質・量ともに強化し、「より近くて便利」なグループらしい金融サービスを通じ、お客さまの毎日の暮らしの中に新たな価値を提供してまいります。

 その他、社会が利便性向上かつ多様化する中、すべての人に安心・安全に金融サービスを提供することが銀行にとってますます求められる時代となってきました。増加する外国人の方が日本で安心して暮らせるように、また、新しい決済やサービスを誰もが安心・安全に利用できるように、外部企業との連携も視野に入れながら新たな事業領域として積極的に取組んでまいります。

<海外事業セグメント>
・海外事業
 米国における当社連結子会社のFCTI, Inc.による、米国セブン‐イレブンへのATM設置は2018年3月に計画通り完了し、安定稼働を実現しております。今後は米国セブン‐イレブンとのシナジー効果を追求した新サービスの提供準備等を進め、収益性の向上を目指してまいります。また、当社が有するノウハウを最大限活用し、アジアをはじめとしたセブン‐イレブンが出店する地域への進出にも、引続き積極的に取組んでまいります。

 当社グループでは、創業から、お客さまの声・ニーズに寄り添いながら、安心・安全な金融サービスの提供を通じて、暮らしの利便性を高めてまいりました。引続き、サービスの絶対価値を追求し顧客満足度向上と社会価値の最大化を目指してまいります。
 しかしながら、当社グループを取巻く事業環境は大きく変化しています。これまで以上に社会構造の変化、お客さまのニーズの多様化を敏感に捉え、技術革新の成果をスピーディーに取入れた柔軟な対応が必要な時代を迎えています。このため、すべての事業領域において、「基本の徹底と変化への対応」、即ち守るべき強みはしっかりと維持強化する一方、環境変化に対しては従来のビジネスモデルに拘泥することなく、大胆かつ柔軟に見直しを図り進化を続けてまいります。

 株主の皆さまにおかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2019/06/17 12:00:00 +0900
外部サイトへ移動します 移動 ×