事業の経過及び成果

1. 企業集団の現況

事業分野の概況



 当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動、消費活動の減退により厳しい状況が続きました。段階的な経済活動の再開により景気は持ち直しの動きも見られましたが、緊急事態宣言の再発令等、新型コロナウイルス感染の収束は見通せず、先行き不透明な状況が続いております。
 このような状況下、当社グループにおきましては、「新・第四次中期経営計画」(3ヵ年)の初年度にあたり、「金融機能を持つ事業会社」として、次の10年に向けた強固な事業基盤を確立すべく、以下の「営業基盤の強化」と「経営基盤の強化」に向けた取り組みを推進いたしました。

① 営業基盤の強化

■ 国内リース事業分野

日通商事株式会社のリース事業分社化に伴い、新設会社「日通リース&ファイナンス株式会社」の株式持分の49%を取得いたしました。新設会社は株式持分を当社49%、日本通運株式会社49%、損害保険ジャパン株式会社2%とする3社の共同出資会社であり、当社の持分法適用関連会社となります。今後、日本通運グループが有する信用力、多様な顧客基盤、リース事業のケイパビリティと、当社がパートナー企業との共同事業により培った金融・サービスノウハウを融合させることにより、社会・顧客の発展に役立つ最適なサービスを提供し、社会課題の解決と循環型経済社会の実現への貢献を目指してまいります。 

■ 国内オート事業分野

日本最大規模の車両台数を有するタクシーアプリ「GOタクシー」の運営を手掛ける株式会社Mobility Technologiesと資本業務提携に係る契約を締結いたしました。MaaS、自動運転、スマートシティを見据えた事業パートナーとして更なる協業を展開し、当社グループが持つオートリース・レンタカー機能等も活用し、社会課題の解決に貢献する新たなモビリティサービスの構築を推進してまいります。
株式会社ゼンリンとの協業の更なる推進のため、業務提携契約を締結いたしました。株式会社ゼンリンが保有する地図ソリューションと、当社のオート・ファイナンスサービス等、両社の持つリソースを組み合わせ、社会課題の解決を目的とした新たなソリューションの創出を目指します。具体的には、株式会社ゼンリンが取り組む観光型MaaSや、地図ナビゲーション、デジタルサイネージといったソリューションと、当社が有する多様な金融・サービス機能、オートリース、レンタカーを中心とするモビリティサービス等を掛け合わせることで、人々の新たな移動を創出・最適化し地域の活性化に貢献するMaaSビジネスや、クラウドナビゲーションと連携した安全・安心なモビリティサービス等の分野で事業化を図ります。更に両社で創出したソリューションは、スマートシティ関連やモビリティ領域のDXでの適用を目指し、両社パートナー企業との共創にも取り組んでまいります。

■ スペシャルティ事業分野

NTTアノードエナジー株式会社と2020年3月に締結した基本合意書に基づき、太陽光発電分野における共同事業運営を開始することとなりました。NTTアノードエナジー株式会社と当社は、環境・エネルギー分野におけるアセットビジネスの共同展開等の協業検討を更に進め、環境問題等の社会課題の解決への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指してまいります。
株式会社アドバンテッジパートナーズとの共同投資第一号案件として、株式会社アドバンテッジパートナーズ、株式会社ユーグレナ、当社の3社でコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス株式会社からキューサイ株式会社の全株式を共同取得いたしました。経営改善や事業構造転換に強みを持つ株式会社アドバンテッジパートナーズ、ESG/SDGs領域やデジタル領域に強みを持つベンチャー企業の株式会社ユーグレナ、PMI経験も豊富な当社の3社が密に連携し、キューサイ株式会社の企業価値を向上させ「通信販売を中心とする健康食品/化粧品販売企業」から「ウェルエイジング支援カンパニー」へと進化していくことを目指してまいります。
三菱地所株式会社と当社は、東京駅日本橋口前「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区において、2027年度竣工予定のTorch Tower(トーチタワー)のスーパーラグジュアリーホテルと2,000席級の大規模ホールを、新設特定目的会社を通じて共同取得する予定であります。両社は既にTorch Towerのオフィス部分についても、常盤橋インベストメント特定目的会社を通じて取得しており、世界に誇る日本の新たなシンボルとして、関係権利者の方々と開発を進めてまいります。

■ 国際事業分野

環境省及びその執行団体である公益財団法人地球環境センターが募集した「2020年度二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」において、代表事業者として当社が応募した「フィリピン/ショッピングモールにおける2MW太陽光発電システムの導入」と「ミャンマー/7.3MW太陽光発電プロジェクト」の2案件が採択されました。今後も、当社グループの広範な海外ネットワークと付加価値の高い金融・サービス機能を活用し、ASEAN各国におけるJCM事業に積極的に参画するとともに、クリーンエネルギーの普及等社会的意義の高い取り組みを推進してまいります。 
当社の100%子会社であるCSI Leasing,Inc.(以下「CSI」)は、インド共和国に現地法人を設立いたしました。併せて、CSIの100%子会社でITAD(IT Asset Disposition)サービスを提供するEPC社がペルー共和国に新たな法人を設立いたしました。CSIとEPC社は、両社が提供するリースサービス・ITADサービスのグローバル標準化を推進しており、全世界に展開するグローバル案件が拡大しております。競争優位なグローバルベースでのビジネスモデルの確立に向けて、更なる事業の拡充を目指してまいります。

② 経営基盤の強化
〔財務基盤の充実と強化〕

・株式の希薄化やROEを考慮しつつ財務基盤の強化を図り、財務戦略の柔軟性を高めることを目的として、公募形式によるハイブリッド社債(劣後特約付)1,300億円の発行について、2020年6月に決定し7月に実行いたしました。

・三井住友信託銀行株式会社との間で、ローン・マーケット・アソシエーション等が定めたサステナビリティ・リンク・ローン原則に即した「サステナビリティ・リンク・ローン」の融資契約を締結いたしました。当社は、高い専門性と独自性を持つ金融・サービス企業として、事業の成長に挑戦するお客様とともに、環境に配慮した循環型経済社会の実現に取り組んでおります。本件を通じて多様なパートナーとの協働により、太陽光発電事業や二国間クレジット制度(JCM)を通じた低炭素社会及び社会インフラ整備への貢献、またDX推進による技術革新に対応した新事業創出に資する取り組みをより一層強化してまいります。

〔その他経営基盤の強化〕

・従業員自らのキャリア形成を積極的にサポートし、モチベーション向上による従業員エンゲージメントの強化を図るべく、『キャリアチャレンジ制度(社内公募制度)』を導入いたしました。社内各部署が求める人材を公募、従業員は所属する事業分野・部門を超えて、希望部署に応募することが可能となり、引き続き従業員が描くキャリア開発を支援する制度の更なる充実に取り組んでまいります。

・従業員の能動的なチャレンジを積極的にアシストし、クリエーティブな発想で新たなビジネスの創出に取り組む企業風土の醸成を目指して、『TC Biz Challenge(新規事業提案制度)』を導入いたしました。事業性ビジネス推進に向けた自律的な判断能力を有する人材の育成及びポテンシャルを発揮出来る人材の発掘に取り組んでまいります。

・リース事業を基盤に金融・サービスを提供する事業会社として、初めて経済産業省が定める「DX認定制度」に基づく、DX認定事業者の認定を取得いたしました。当社は、「攻めのIT経営銘柄」を改め選定が開始された「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄」に、制度創設以来6年連続で選定される等、これまでDX推進を企業価値向上の成長ドライバーとして捉え、事業を展開してまいりました。2020年度は、「デジタル技術活用によるビジネス変革の推進」を重要テーマとして掲げ、デジタルトランスフォーメーション戦略の構築を担う「DX戦略部」を新設し、今後もデジタル技術活用による先進的なビジネスモデルの創出を推進してまいります。

・金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に、当社は2021年4月に賛同を表明いたしました。当社は、「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて気候変動への対応を重要な課題と認識しており、TCFDへの賛同は当社の気候変動への対応を加速するものとなります。今後ともTCFDの提言に沿って気候変動が当社のビジネスに及ぼす影響の分析を進め、中長期の視点から経営戦略に反映させるとともに、気候関連の適切な情報開示に取り組んでまいります。

 業績につきましては、売上高は前期比335億85百万円(2.9%)増加し1兆2,001億84百万円、売上総利益は同69億47百万円(3.3%)減少し2,009億82百万円となりました。2019年12月に連結子会社化したAviation Capital Group LLCの業績が通期で反映されたことにより売上高は前期比でプラスとなったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因するレジャー等の需要減退によりレンタカー売上が減少したことにより、売上総利益は前期比でマイナスとなりました。
 販売費及び一般管理費は、前期比42億44百万円(3.5%)増加し1,238億27百万円となりました。主な要因は、船舶・航空機関連の債権を中心とした貸倒費用の増加及びAviation CapitalGroup LLC連結子会社化に伴う増加であります。
 営業外損益は、前期比18億29百万円(65.8%)減少し9億50百万円の利益となりました。主な要因は、為替差損の増加であります。
 これらにより、経常利益は前期比130億20百万円(14.3%)減少し781億5百万円となりました。
 また、法人税等は前期比67億97百万円(22.4%)減少し234億87百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は同11億13百万円(13.4%)減少し72億14百万円となりました。
 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比71億57百万円(12.7%)減少し491億45百万円となりました。

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2021/06/28 16:00:00 +0900
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