事業の概況

各事業の状況は、次のとおりであります。

(注)

各事業の売上高は、外部顧客に対する売上高に各事業間の内部売上高等を加算して表示しております。

 戸建住宅事業では、事業本部制への移行に際し、事業ミッション「『続く幸せ』を、住まいから」及び、事業ビジョン「LiveStyle Design(リブスタイルデザイン)~家を、帰る場所から『生きる』場所へ~」を策定し、新しいミッション・ビジョンのもとで、お客様の人生に寄り添い、地域に密着した事業展開を推進してまいりました。
 2021年4月に木造とRC造(※)の混構造を採用した当社最高級戸建住宅商品「Wood Residence MARE− 希−(マレ)」を発売するとともに、ウェブサイト上で楽しく簡単に家づくりを体験できる「Lifegenic(ライフジェニック)」や、当社オリジナルのテレワークスタイル「快適ワークプレイス」・「つながりワークピット」、家族で家事をシェアする「家事シェアハウス」など、社会や生活の変化をとらえた多彩な商品と住まい方の提案で、お客様の課題解決と新たな価値の提案に積極的に取組んでおります。
 米国におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響としてサプライチェーンの混乱や行政当局の許認可業務の遅延が発生しておりましたが、戸建住宅の需要は引き続き堅調であること、安定供給に向けた資材調達の強化に注力し影響を最小限に抑えることができていることから、期初計画を上回る業績を達成いたしました。
 以上の結果、当事業の売上高は6,268億8千9百万円(前期比21.5%増)、営業利益は297億8百万円(前期比36.2%増)となりました。

※鉄筋コンクリート造。

 賃貸住宅事業では、ご入居者様に選ばれ、長く住み続けたいと思っていただける住まいをご提供し、オーナー様の資産価値の最大化・長期安定経営に繋がる賃貸住宅経営のご提案とサポートに取組んでおります。感染症防止対策の徹底と社会経済活動の両立が進み、緊急事態宣言の発令等により停滞していた対面営業での提案機会が増える中で、分譲賃貸物件や環境負荷低減につながるZEH-M物件等の販売を推進してまいりました。
 大和リビング株式会社におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響下において、ご入居者様の転居が抑制されたことや、テレワーク等の新しいライフスタイルの浸透に伴いインターネットを標準導入した物件へニーズが高まっていることにより、高い入居率を維持いたしました。また、同社グループの大和リビングケア株式会社におきましては、2021年12月、全国で17棟目となるサービス付き高齢者向け住宅「D-Festa(ディーフェスタ)柏たなか」(千葉県)をオープンいたしました。
 以上の結果、当事業の売上高は1兆291億9千5百万円(前期比4.7%増)、営業利益は943億3千7百万円(前期比3.9%増)となりました。

 マンション事業では、お住まいになられる方々の多彩なライフスタイルに応えるため、ハウスメーカーとして培ってきたノウハウを駆使しながら、長寿命の住まいに欠かせない基本性能や快適性、安全性、管理体制の提供を追求してまいりました。
 駅前大規模複合再開発物件である「プレミストタワーズ札幌苗穂」では、2街区の内、1街区(アクアゲート)が2022年1月に完成し、JR苗穂駅や大型商業施設に直結している利便性の高さと、充実した共用部・併設施設が高く評価され、早期に完売いたしました。また、「プレミスト大濠二丁目」(福岡県)では、大濠公園近接という福岡市内随一の立地に加えて、建物の高断熱化及び高効率・省エネ設備機器を採用することによりZEH-M Oriented認証(※1)を取得、自然や生態系の保全活動を目指したABINC認証(※2)を取得するなど、環境や次世代を見越した仕様が評価され、販売が順調に進捗しております。
 以上の結果、当事業の売上高は3,798億6千5百万円(前期比11.8%増)、営業利益は97億6千2百万円(前期比80.9%増)となりました。

(※1)

断熱性能などの向上とともに、高効率な設備システムの導入により室内環境の質の維持と、省エネルギーを実現し、かつ、再エネを除いて共用部を含むマンション全体での一次エネルギー消費量を20%以上削減したマンション。BELS評価(建築物省エネルギー性能表示制度)にて評価を受けます。

(※2)

「一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」の「いきもの共生事業所推進ガイドライン」を評価基準とし、生物多様性保全に取り組む工場、オフィスビル、商業施設、集合住宅、戸建住宅団地、物流施設等をABINCが評価・認証する第三者認証。

 住宅ストック事業では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化してまいりました。あわせて法人のお客様の事業用資産に向けたメンテナンス提案に注力し、受注拡大を図ってまいりました。
 様々な住まいのニーズにワンストップサービスでお応えする「Livness(リブネス)」では、コロナ禍における営業活動としてオンラインセミナーを実施してまいりました。住宅事業部門においては、全国60拠点のリブネス課を設置し、オーナー様を中心に、住み替えや売却、リノベーションなど様々なご相談に対して、当社グループをあげて対応しております。
 以上の結果、当事業の売上高は1,269億5千5百万円(前期比1.8%増)となりましたが、営業利益は88億7千7百万円(前期比15.0%減)となりました。

 商業施設事業では、新型コロナウイルス感染症の状況を考慮しながら、テナント企業様の事業戦略やエリアの特性を活かし、ニーズに応じたバリエーション豊富な企画提案を行ってまいりました。特に、大型物件への取組みの強化や、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて当社で土地取得・開発企画・設計施工・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図り、事業を推進してまいりました。
 また、大和情報サービス株式会社とダイワロイヤル株式会社では、更なる事業シナジーの最大化、経営効率化を図ることを目的に、2021年10月1日付で経営統合し、社名を大和ハウスリアルティマネジメント株式会社へ変更いたしました。同社では、海外初出店となる「ロイネットホテルソウル麻浦(マポ)」(大韓民国)を2022年3月にオープンいたしました。さらに、当社が2019年に取得し、同社が運営管理するショッピングセンター「ALPARK(アルパーク)」(広島県)では、大規模改装工事を経て2021年12月に東棟、2022年4月に西棟がリニューアルオープン、2023年4月に全面リニューアルオープン予定であるなど、開発企画・設計施工・運営管理事業におけるグループの経営資源を組み合わせた複合施設開発に取組んでおります。
 しかしながら、開発物件売却の減少等により、当事業の売上高は7,969億2千2百万円(前期比1.4%減)、営業利益は1,148億2千5百万円(前期比6.6%減)となりました。

 事業施設事業では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや不動産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってまいりました。業績を牽引してきた物流施設開発に次ぐ事業の柱とすべく、データセンターブランド「DPDC(ディープロジェクト・データセンター)」を立ち上げた他、「生活インフラ」の整備の一環として、老朽化した公設卸売市場の建替え支援事業第一弾「富山市公設地方卸売市場再整備事業」や日本最大級のサーモンの陸上養殖施設も手掛けてまいりました。
 物流施設関連では、2021年10月に完成した東日本最大(※1)で当社最大の延床面積(322,299㎡)を誇るマルチテナント型物流施設「DPL流山Ⅳ」(千葉県)をはじめ、全国40ヶ所で物流施設を着工するなど、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてまいりました。
 医療介護施設関連では、老朽化し耐震基準を満たしていない建物を持つ病院をターゲットに建替えや移転の提案、さらに、CCRC(※2)やヘルスケアを核とした街づくりを起点とした提案を強化してまいりました。
 株式会社フジタでは、大型タワーマンションや複数の大型物流施設、フィリピンにおけるマニラ首都圏地下鉄の追加工事等を受注したことなどにより、建設受注高は新型コロナウイルス感染症の影響があった前期から大幅に改善いたしました。
 以上の結果、当事業の売上高は1兆1,396億4千万円(前期比15.1%増)、営業利益は1,317億6千9百万円(前期比13.7%増)となりました。

(※1)

当社調べ(1棟単体、竣工ベース)。

(※2)

Continuing Care Retirement Community(コンティニューイング・ケア・リタイアメント・コミュニティ)の略。地域住民や多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができる地域づくりを目指すもの。

 物流事業では、大和物流株式会社におきまして、拠点新設に伴う初期費用の発生や原油価格高騰による燃料費増加の影響もありましたが、主力である建築建材の荷動きの復調により輸送量が増加していることから、業績は堅調に推移しております。
 ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社におきまして、木材や住宅設備商品(給湯器・ビルトインコンロ・温水便座等)で品薄状態が続いていることや、新型コロナウイルス感染症拡大による消費者心理の悪化もあり、厳しい事業環境が続いておりますが、地域に密着した暮らしと住まいのベストパートナーを目指して業容拡大を図っております。
 フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社におきまして、徹底した感染症対策を講じながら運営を続けております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響からフィットネスクラブ会員数(自由に施設利用が可能なコース)の回復には遅れが生じておりますが、スクール会員数(各カリキュラムに沿って通うコース)は以前の水準に戻ってきております。
 アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社におきまして、通期稼働率が前年度をわずかながら上回る結果となりました。インバウンド需要の回復は当面先となる見通しですが、国内宿泊需要では緩やかな回復がみられております。
 しかしながら、環境エネルギー事業における請負工事の減少等により、当事業の売上高は5,018億3千1百万円(前期比1.1%減)、営業利益は25億4千2百万円(前期比76.4%減)となりました。

企業集団の部門別受注高及び売上高

(注)
  1. 記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
  2. 各事業部門の区分につきましては、「1.企業集団の現況に関する事項 (6) 主要な事業内容」に記載しております。
  3. 前期繰越高・当期受注高・当期売上高・次期繰越高ともに外部顧客に対する前期繰越高・当期受注高・当期売上高・次期繰越高を表示しております。
  4. CastleRock Communities LLC 及びその子会社が当連結会計年度中に連結子会社となったこと等により、前期繰越高+当期受注高―当期売上高は次期繰越高に一致しません。

(注)
  1. 「売上高」「事業別売上高構成比」は外部顧客に対する売上高を表示しております。
  2. 「営業利益」のグラフ内に記載の調整額には、セグメント間取引消去、のれんの償却額、各セグメントに配賦していない全社費用が含まれております。

設備投資及び資金調達の状況

 当連結会計年度において実施した企業集団の設備投資の総額は、4,258億円であり、その主なものは、事業用地及び賃貸等不動産の取得であります。
 また、当連結会計年度における主な資金調達として、社債500億円の発行及び長期借入金1,812億円の調達を実施いたしました。

対処すべき課題

 今後の社会経済環境の見通しにつきましては、新たな変異株を含めた新型コロナウイルス感染症による長引く経済活動への影響や、深刻化するウクライナ情勢による資源や原材料価格の上昇・金融資本市場の変動・供給面での制約による世界経済の下振れ懸念等、これまでにない不確実な情勢が続いており、社会動向を注視していく必要があります。経済協力開発機構(OECD)は2022年3月、ウクライナ情勢の影響を試算し、世界全体の経済成長率を1ポイント超押し下げ、世界の物価上昇率を2.5ポイント近く押し上げる可能性があると指摘しております。
 当業界におきましては、新設住宅着工戸数・民間非居住建築物で回復の兆しが見られました。一方で資材価格の上昇が引き続き懸念されることから、楽観視できない状況が当面続くと想定されます。中長期でみても国内の世帯数減少による将来的な新設住宅着工戸数の減少、高齢化等による働き手不足に継続して対処していく必要があります。
 このような事業環境を踏まえ、当社グループでは、2022年度を初年度とする5ヶ年計画「大和ハウスグループ第7次中期経営計画」を策定いたしました。当社グループとしては初めて5ヶ年の計画とし、持続的な成長モデルの構築に向けて、「収益モデルの進化」・「経営効率の向上」・「経営基盤の強化」という3つの経営方針と、それらを具現化していくための重点テーマを定めて、着実に実行してまいります。重点テーマの1つである海外事業拡大では、日本の住宅・建設業としてはじめて、海外売上高1兆円、営業利益1,000億円という大きなグローバルビジョンを掲げております。国内事業におきましては、グループのバリューチェーンを最大限活かし、地方中核都市を中心に再開発事業を強化するなど、地域再生に貢献してまいります。最終年度の当社グループ業績目標では、売上高5兆5,000億円、営業利益5,000億円を予定しております。
 また、世界が大きく変動していくなかで、私たちはどんな社会を創っていきたいのか、社会へどんな役割を果たしていくべきなのか、創業者の想いを振り返りながら当社グループの“将来の夢”(パーパス)について、社員をはじめステークホルダーの皆様と対話を重ねてまいりました。第7次中期経営計画のスタートにあたり、「生きる歓びを分かち合える世界の実現に向けて、再生と循環の社会インフラと生活文化を創造する」を当社グループの“将来の夢”(パーパス)として掲げ、新たなステージへ踏み出してまいります。今後も「人・街・暮らしの価値共創グループ」としてあらゆる人々と心をつなぎながら、事業を通じた社会課題の解決に努め、未来の景色を拓いてまいります。
 株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

ご参考

大和ハウスグループ「第7次中期経営計画」の策定

 当社は、2027年3月期を最終年度とする「第7次中期経営計画(2022~2026年度)」を策定いたしました。「第7次中期経営計画」では、「第8次中期経営計画」以降の成長も見据え、企業価値の最大化に向けて「収益モデルの進化」「経営効率の向上」「経営基盤の強化」の3つの経営方針と8つの重点テーマに取組み、「持続的成長モデル」を構築してまいります。


最終年度(2026年度)の目標 ー業績目標・資本政策・株主還元

 売上高5兆5,000億円、営業利益5,000億円、当期純利益3,400億円を目指してまいります。

(注)

営業利益は退職給付数理差異を除く。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

業績目標


資本政策・株主還元


財産及び損益の状況の推移

① 企業集団の財産及び損益の状況の推移

(注)
  1. 売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、総資産、純資産の金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
  2. 当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用しており、当連結会計年度の財産及び損益の状況については、当該会計基準等を適用した後の数値を記載しております。

② 当社の財産及び損益の状況の推移

(注)
  1. 受注高、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、総資産、純資産の金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
  2. 当事業年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用しており、当事業年度の財産及び損益の状況については、当該会計基準等を適用した後の数値を記載しております。

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2022/06/29 12:00:00 +0900
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