第5回定時株主総会 招集ご通知 証券コード : 3289
東急不動産ホールディングス株式会社 当連結会計年度における我が国経済は、企業収益の改善が続くなかで、堅調な雇用・所得環境を背景に個人消費にも持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復が継続いたしました。
不動産業におきましては、オフィスビル市場は、企業の業容拡大による需給の逼迫などから、賃料水準は緩やかな上昇傾向が継続いたしました。不動産投資市場は、良好な資金調達環境のもとで投資家の物件取得意欲は引き続き強く、厳しい物件取得競争が続いております。また、分譲住宅市場は、政策支援や低金利の継続を背景に需要は底堅いものの、建設コストや地価の高騰などから販売価格が高止まりとなり、立地や利便性による販売状況の二極化が見られました。
このような事業環境のもと、当社グループは、当期を初年度とする「Value Frontier 2020 価値を創造し続ける企業グループへ STAGE2『中期経営計画2017-2020』」の基本方針である「関与アセット拡大」及び「新たな需要創出」のもと、3つの成長戦略に取り組んでまいりました。
【3つの成長戦略】
①ライフスタイル提案型の街づくり
②循環型再投資事業の領域拡大
③ストックの活用強化
当連結会計年度は、売上高は8,661億26百万円(前期比7.1%増)、営業利益は775億19百万円(前期比5.9%増)、経常利益は686億91百万円(前期比8.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は351億85百万円(前期比11.6%増)となりました。都市事業セグメントにおける投資家向けビル等売却収益の増加に加え、仲介事業セグメントの好調等により増収増益となりました。
次に各事業についてご報告申しあげます。
都市事業におきましては、東急不動産㈱は、関与アセットの拡大に向けて、渋谷や竹芝における再開発を推進するとともに、循環型再投資事業の領域拡大として、インフラ・インダストリー関連施設の開発などにも取り組んでまいりました。
当期は、オフィスの需給が逼迫する中で、既存の賃貸物件が引き続き高い稼働率を維持し、収益に貢献いたしました。
広域渋谷圏においては、渋谷駅周辺の再開発事業が進捗したほか、ノルウェー中央銀行の日本国内初のローカルパートナーとして選定を受け、同行不動産投資部門との共同出資により稼働商業施設5物件を新たに取得するなど、圏内における一層のプレゼンス強化に注力いたしました。
インフラ・インダストリー関連施設では、全国で太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー事業を本格展開したほか、物流施設のブランド名を「LOGI’Q(ロジック)」と定め、開発を加速するなど、事業規模の拡大に取り組んでまいりました。
東急住宅リース㈱では、オーナーさま向けご相談窓口「アセットコンサルティングデスク」の設置や専用サイト「OwnerBox」の提供、賃貸契約専用の電子契約サービス「IMAoS」の一部利用開始など、お客さまサービスの充実と収益力強化・事業拡大に取り組んでまいりました。当期は、「文京グリーンコートビュータワー本駒込」(東京都文京区)等の管理受注などにより、賃貸住宅管理戸数が増加いたしました。
住宅事業におきましては、東急不動産㈱は、引き続き住宅ブランド「BRANZ(ブランズ)」の浸透に取り組むほか、都心、複合再開発、新たな事業領域への展開などに注力し、付加価値の創出による事業規模拡大を図ってまいりました。
当期は、分譲マンションとして、「ブランズ横浜」(横浜市)、「ブランズ渋谷常盤松」(東京都渋谷区)、「ブランズタワー御堂筋本町」(大阪市)、「ブランズタワー・ウェリス心斎橋SOUTH」(大阪市)等を売上に計上いたしました。
また、新たに「次の社会を担う学生たちへ、安心安全な住環境とともに、新しいライフスタイルを提案する住まい」をコンセプトに、㈱学生情報センターとのシナジーを活かして学生レジデンス事業の展開を開始し、本年1月には第一弾プロジェクト「キャンパスヴィレッジ椎名町」(東京都豊島区)が竣工いたしました。今後も順次、開発を進めてまいります。
以上の結果、住宅事業の売上高は1,235億38百万円(前期比13.8%増)となりましたが、前期に高採算物件を計上した反動により粗利益率が低下したことなどから、営業利益は75億95百万円(前期比21.4%減)となりました。
管理事業におきましては、㈱東急コミュニティーは、マンション管理において受注の拡大に努めるとともに、専有部サービスの強化によるお客さま満足度の向上と付帯収益の拡大にも取り組んでまいりました。
ビル管理では、公的な複合施設や空港施設など事業領域の拡大を見据えた運営力強化に向け、人材の確保・育成に注力いたしました。
当期は、「渋谷区文化総合センター大和田」(東京都渋谷区)、「八木駅南市有地活用事業」(奈良県橿原市)、「武田グローバル本社」(東京都中央区)等の管理を開始いたしました。なお、本年4月には「仙台空港旅客ターミナルビル」(宮城県名取市)の管理を開始しており、引き続き受託物件の拡大を図ってまいります。
また、昨年10月には、グループのリフォーム事業を集約した㈱東急Re・デザインが営業を開始しております。経営資源の集約による基盤整備を行い、ストックの活用強化に向けて事業拡大を図ってまいります。
以上の結果、管理事業の売上高は1,609億48百万円(前期比8.3%増)、営業利益は82億12百万円(前期比1.6%増)となりました。
仲介事業におきましては、東急リバブル㈱は、引き続き積極的な店舗展開による収益基盤の拡大に注力するとともに、東京都港区のハイグレードマンションに特化した売買仲介の新ブランド「GRANTACT(グランタクト)」を開設し、富裕層向け都心戦略を本格始動させました。また、マンションの売主さま向けに初期費用の持ち出し不要でリフォームを実施し、価値を高めてよりよい条件で売却する機会を創出する「アクティブ売却パッケージ(通称:アクセル君)」などの新サービスにより、お客さま満足度の向上と取引拡大に取り組んでまいりました。
法人等を対象とした大口取引では、企業不動産について、企業価値向上の観点から経営戦略的視点で見直し、投資の効率性を最大限向上させていくCRE戦略の拡がりを踏まえた専門チームを設置するなど、収益拡大を図りました。
以上の結果、仲介事業の売上高は993億49百万円(前期比21.1%増)、営業利益は132億38百万円(前期比17.2%増)となりました。
ウェルネス事業におきましては、東急不動産㈱は、訪日外国人などの旺盛な宿泊需要の取り込みや、シニアマーケットの需要獲得に努め、開発・運営力を活かした事業規模拡大に取り組んでまいりました。
ホテル・リゾート事業においては、会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ」では、昨年10月に初の戸建タイプ施設「東急ハーヴェストクラブ那須Retreat」(栃木県那須郡那須町)を開業したほか、2018年度の開業に向けて「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」(長野県北佐久郡軽井沢町)の工事が進捗いたしました。
パブリックホテルでは、都市型ホテル「東急ステイ」は、引き続き高い稼働率で推移し、客室単価が上昇いたしました。当期は、地方主要都市への店舗展開を開始し、昨年11月に初の地方出店となる「京都両替町通店」(京都市)、また本年4月には「札幌店」(札幌市)を開業したほか、本年2月には東京においても「高輪(泉岳寺駅前)店」(東京都港区)を開業しております。
その他のパブリックホテルとしては、本年4月に日本初進出のヒルトンコレクションブランドホテル「KYUKARUIZAWA KIKYO,Curio Collection by Hilton」(長野県北佐久郡軽井沢町)を開業したほか、2018年度開業予定の「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」(沖縄県国頭郡恩納村)の開発を推進しており、引き続き事業規模の拡大を図ってまいります。
ヘルスケア事業では、昨年7月にシニア住宅の「グランクレール世田谷中町」、9月に介護住宅の「グランクレール世田谷中町ケアレジデンス」(東京都世田谷区)が新規に開業したほか、フィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」においては、昨年4月に「住道店」(大阪府大東市)、6月に「南越谷店」(埼玉県越谷市)を開業しております。
また、福利厚生代行業では、㈱イーウェルは、企業・健康保険組合の福利厚生代行や健康支援サービスの会員数が増加し、収益拡大につながりました。
以上の結果、ウェルネス事業の売上高は970億19百万円(前期比2.8%増)となりましたが、前期における別荘地の売上計上の反動などから営業利益は58億23百万円(前期比23.1%減)となりました。
ハンズ事業におきましては、㈱東急ハンズは、現場力の向上を活動の主眼に、ハンズの強みを打ち出すことで、ファン拡大に努めてまいりました。旗艦店の一つと位置付ける新宿店では、本年3月より「Hi!Tenshu」プロジェクトを始動しております。本プロジェクトでは、店内に靴、コーヒー、眠りなど6つのジャンルの「商店(ショップインショップ)」を新設し、深い造詣を持つスタッフが店主として個性豊かに売り場をプロデュースするとともに、お客さまとの会話を通じて新たな暮らしの楽しみ方をご提案するなど、「モノ」「コト」消費から一歩進んだ、「ヒト(お客さま)」と「ヒト(スタッフ)」のふれあいを重視した売り場作りによる、ハンズならではの価値のご提供に取り組んでまいります。
新規出店としては、昨年4月に「あまがさきキューズモール店」(兵庫県尼崎市)、9月に「千葉店」(千葉市)、本年2月に「アトレ川崎店」(川崎市)を、それぞれ開業いたしました。
なお、本年4月には「国分寺店」(東京都国分寺市)を開業しており、今後も順次店舗展開をしてまいります。
ハンズ事業の売上高は、971億14百万円(前期比0.1%減)、営業利益は4億13百万円(前期比63.0%増)となりました。
海外事業においては、北米で収益不動産の開発・運用を進めたほか、インドネシアでは、大規模な分譲マンションの建設・販売を推進するとともに、新たに日本政府が出資する㈱海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)と共同で、ジャカルタ市内中心部において大規模複合施設開発事業「メガクニンガン プロジェクト」に着手いたしました。
請負工事業では、㈱石勝エクステリアは、造園工事の積極的な営業が奏功し受注が増加した一方、㈱東急ホームズはマンションのリフォーム事業およびビル等関連工事を管理事業セグメントに移管したことから、売上高が減少いたしました。
以上の結果、次世代・関連事業の売上高は416億89百万円(前期比15.9%減)、22億20百万円の営業損失となりました。