対処すべき課題

 今後の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症との戦いのなかで、政府による緊急経済対策の効果が期待されるものの、当面は先行きを見通しにくい事業環境が継続するものと見込まれます。また、グローバル化の進展により、世界経済の変動の影響をより大きく受けるようになってきたことから、パンデミックの長期化による世界経済や金融市場の変動リスク等も想定し、対応を続けていくことが肝要と考えられます。
 このような国難、さらには世界的な危機に直面するなかで、当社グループは、社会の公器としての責任を果たすべく、パンデミックとの戦いにグループを挙げて協力してまいる所存であります。今後も、お客さま、テナントさま、協力会社さま、地域の皆さま、そしてグループ従業員の安全確保、また当社関連施設等からの感染拡大防止を最優先に、従業員の在宅勤務体制の拡充、施設の一時休業や営業体制の縮小など、状況に応じて必要な措置を政府の方針に沿って適時適切に実施してまいります。一方で、多くのお客さまとの接点を有する私どもは、不動産管理やシニア住宅の運営、また再生可能エネルギーの供給や物流施設の運営をはじめ、業務を安定的に継続することで社会的な責任を果たしていく事業も数多く行っており、それらがこの危機的局面におけるグループの強みともなっております。安心な暮らしを守る社会インフラの一翼を担っていることの責任を重く受け止め、従業員の安全に最大限配慮しつつ、また感染拡大防止の観点で一定のご不便をお掛けしてしまうことについてはお客さまにもご理解とご協力をお願いしながら、サービス継続に取り組んでまいります。
 当社グループでは、中期経営計画「Value Frontier 2020 価値を創造し続ける企業グループへ STAGE2『中期経営計画2017-2020』」に基づく成長戦略を推進し、前期まで3期連続で最高益更新を達成するなど、これまで計画は順調に進展してまいりました。しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の影響によって、誠に遺憾ながら、現中期経営計画に掲げております2020年度の目標達成は非常に見通しにくい状況となりました。
 その一方で今回の事態は、在宅勤務の急速な広がりをはじめ、社会全体の価値観を変えるパラダイムシフトの契機になる可能性があるものと認識しております。
 かねて当社グループでは、「住まい方」「働き方」「過ごし方」の垣根が低くなりつつあるなかで、あらゆる生活シーンを融合した新たなライフスタイル創造が今後求められるとの認識に立ち、事業を推進してまいりました。また、働き方改革の進展も併せて見据え、自らその実現にも取り組んでまいりました。一例として、2019年8月に実施した「渋谷ソラスタ」への本社移転では、IoTの活用推進をはじめ様々な施策を行ってまいりましたが、これらの取り組みの一環として整備したモバイルパソコン、Web会議システム等のインフラや在宅勤務制度は、今回の新型コロナウイルス感染症対応においても有効に機能し、一定の制約はあるものの、多くのグループ従業員が在宅勤務体制を採りながら事業活動を継続できております。
 当社グループは創業以来、事業を通じた社会課題の解決に取り組み続けることで、大きく成長を遂げてまいりました。今回の事態につきましても、危機のなかで発生した新たな社会課題と真摯に向き合うことで、変革の中に生まれる新たなビジネスチャンスを見出し、掴んでいくことができると考えております。引き続き、グループの幅広い事業ウイングを活かして未来のライフスタイルを創造し、コロナ後の世界を見据えた新たな成長戦略の策定に取り組んでまいりたいと存じます。
 また当社グループでは、ESGへの対応を重要な経営課題と位置付け推進しております。ガバナンスについては、2019年度より取締役会の実効性評価において、顧問関係のない弁護士による第三者評価を取り入れました。また、深刻度を増す気候変動に対しては、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、気候関連の事業影響に関する情報開示に取り組んでおります。加えて、グループにて「人権方針」と「サステナブル調達方針」を制定し、サプライチェーン全体で公正な取引の徹底、人権の尊重、環境への配慮に取り組むことを定めるなど、引き続き、「サステナビリティビジョン」の理念のもと、一層のESG 経営の推進を図り、持続可能な社会と成長の実現をステークホルダーの皆さまとともにめざしてまいる所存です。
 株主の皆様におかれましては、引き続き倍旧のご支援とご協力を賜りますようお願い申しあげます。

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2020/06/25 12:00:00 +0900
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