事業の経過及びその成果

 当連結会計年度は、2020年4月、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出により、企業活動の制限や外出自粛が要請され、経済活動が著しく停滞しました。その後、感染者数の増加が落ち着きをみせたことから、緊急事態宣言は一旦解除されましたが、感染者数が再び増加傾向に転じたことにより、2回目の緊急事態宣言が2021年1月に発出されました。有効な対策の一つとされているワクチン接種も、国内では当面の間は感染リスクのある医療従事者や重症化リスクの高い高齢者を対象とする予定であり、世界的にはワクチン接種率が高く感染拡大が落ち着きをみせている地域がある一方で、変異株の発生や感染拡大がなお続いている地域があることから、我が国経済に対する不透明感はなおも続いている状況です。
 このような情勢のもと、当連結会計年度の業績は、売上高13,217百万円(前期比17.7%増)、営業損失2,888百万円(前連結会計年度は営業損失1,198百万円)、経常損失2,893百万円(前連結会計年度は経常損失1,231百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,974百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失5,173百万円)となりました。

 セグメント業績の概要は、以下のとおりであります。
 なお、各セグメントの売上高の金額は、セグメント間の内部売上高を含めない数値を記載しております。当社グループの報告セグメントは、業績評価、事業戦略の構築、経営資源の配分等を行ううえで重要性の高い区分を基に決定しており、「エネルギー関連事業」、「自動車関連事業」、「感染症対策関連事業」、「金融関連事業」及び「その他事業」の5つで構成されております。

(エネルギー関連事業)

 エネルギー関連事業においては、電力小売事業と省エネコンサルティング事業を展開しており、提供するソリューションを拡大することで、両事業のシナジー効果が得られております。具体的には、電力小売事業の顧客に対して省エネコンサルティングの提案や省エネルギー関連機器設備の販売、またその逆として、省エネコンサルティング事業の顧客に対して電力需給契約の提案やエネルギー管理システムの販売を行っております。
 電力小売事業においては、当社は2015年12月に小売電気事業者として登録を受け、2016年2月から高圧・特別高圧電力需要家向けに、2018年3月からは低圧電力需要家向けに、沖縄及び離島を除く日本全国で電力小売供給を行ってきたことにより、当社の販売電力量は、2020年12月には46,517千kWh(高圧・特別高圧43,708千kWh、低圧2,810千kWh)に達しました。当社では、日本で唯一の卸電力取引市場を開設・運営する一般社団法人日本卸電力取引所(以下「JEPX」という)から主として電力調達を行うとともに、旧一般電気事業者(2016年4月施行の電気事業法の改正前の電気事業者の分類で、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の10電力会社)からの常時バックアップや、旧一般電気事業者及び発電事業者との相対取引等により電力調達を行ってきました。特に直近は、JEPXにおける取引価格が、前日スポット市場のシステムプライス(月間単純平均)が2019年4月から2020年11月までは4.18円/kWhから10.25円/kWhの間で推移(特に2020年4月から2020年11月までは4.18円/kWhから7.04円/kWhで推移)と、価格の変動はあるものの比較的安定して推移していたことから、もっぱらJEPXから電力を調達してまいりました。
 そのような状況下で、2020年12月中旬から2021年1月下旬にかけてJEPXにおける電力取引価格が急激に高騰する事象(2020年12月1日~同月14日のスポット市場のシステムプライス(単純平均)が6.28円/kWhであったのに対し、同月15日に9.73円/kWh(1日平均)となり、以降上昇し続け、システムプライス(1日平均)が2021年1月13日に154.57円/kWh、コマ毎のシステムプライスが同月15日に過去最高値251.00円/kWhを記録した)が生じました。
 冷気が厳しい冬場は電力の調達価格が高騰する傾向にあることから、2021年1月の調達電力については、当社においても、必要量の大半を固定価格により相対取引で調達するとともに、電力先物取引の活用により取引価格変動のリスクヘッジを行いました。しかしながら、あまりにも異常な電力価格の高騰が一定期間続いたことにより、2020年12月と2021年1月のインバランス料金(接続供給等において計画電力量に対し同時同量を達成できない場合に発生する差分(インバランス)に対する料金で、その単価は一般送配電事業託送供給等約款に基づきJEPXにおける市場価格に連動して算出される)が2,701百万円となりました。このインバランス料金その他JEPXにおける価格高騰への対応費用の発生により、利益は前連結会計年度を大きく下回ることになりました。
 しかしながら、高圧・特別高圧の料金プランでは、この価格高騰の対応費用の一部について需要家から一定期間の間に回収することができる設計となっているため、来期以降の経営成績ではプラスに働く見込みであります。
 省エネコンサルティング事業におきましては、引き続きエネマネ事業者として省エネルギー設備・システム等の提案を行うとともに、省エネルギーに係る投資に対して交付される補助金申請支援を行いました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大により企業の省エネルギー投資が控えられたこともあり、売上高及び利益とも前年度を下回りました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は7,361百万円(前期比19.8%増)、セグメント損失(営業損失)2,148百万円(前連結会計年度は営業利益449百万円)となりました。

(自動車関連事業)

 自動車関連事業においては、中古車販売事業者との中古車売買、及び中古車売買に関するコンサルティング等を行っております。
 中古車売買事業は、業者間売買であることもあり粗利率は低いものの、仕入から販売までの決済回収期間が短いため、資本回転率の高いビジネスを実現しております。当連結会計年度においては、平均販売単価が増加したものの、販売台数が減少し、売上高は微増、利益は減少となりました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は3,945百万円(前期比2.9%増)、セグメント利益(営業利益)19百万円(前期比16.6%減)となりました。

(感染症対策関連事業)

 第3四半期連結会計期間より、新たに感染症対策関連事業を報告セグメントとして開示しております。従来より、当社は、省エネコンサルティング事業のなかで防災減災の一環として、災害時の避難所での空間環境の改善に係る商品など衛生環境改善に係る商品を取り扱ってまいりました。また、旅行関連事業においても、清掃業務の一環として、飛沫や接触感染を防ぐ商品を取り扱ってまいりました。コロナ禍のもと、感染症対策への需要の高まりを受けて、感染症対策関連の商品・ソリューションの提供体制を強化しました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は364百万円、セグメント利益(営業利益)109百万円となりました。

(金融関連事業)

 金融関連事業においては、暗号資産交換業者として登録された株式会社ビットポイントジャパン(以下「BPJ」という)が暗号資産交換所の運営を行っており、現物取引のサービスに加え、暗号資産関連事業として証拠金取引サービス(レバレッジ取引サービス)を提供しております。
 前連結会計年度においては、2019年7月11日、BPJが運営する暗号資産交換所において暗号資産の不正流出(以下「本暗号資産不正流出」という)が発生したため、利用者預かり分の流出暗号資産調達費用、BPJ自己保有分の暗号資産被害額、海外の暗号資産交換所に係る対応費用、不正流出の初期対応や再発防止策等に係る費用が発生したほか、ソフトウェア等の活用状況を精査した結果、固定資産の除却損、固定資産の収益性の低下による減損損失及びBPJが保有する関連会社株式の評価損を計上した結果、前年度において特別損失4,047百万円を計上いたしました。
 当連結会計年度においては、期初こそ、顧客取引が低調だったこともあり、収益を伸ばすことができず、セグメント損益も大きく赤字でしたが、2020年8月の新システム稼働を機に、顧客取引を大幅に増加させることができ、さらに暗号資産価格全体の上昇と国内初の新規暗号資産の取扱いがあいまって、一定のスプレッドが確保できる販売所取引が活発になったことから、本暗号資産不正流出があった前連結会計年度と比して、大幅に収益を改善することができました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は1,283百万円(前期比72.7%増)、セグメント損失(営業損失)260百万円(前連結会計年度は営業損失1,033百万円)となりました。

(その他事業)

 第2四半期連結累計期間まで、旅行関連事業を独立した報告セグメントとしておりましたが、量的にも質的にも重要性が低下したことから、第3四半期連結会計期間より旅行関連事業の損益は「その他事業」に組み入れて開示しております。したがって、当連結会計年度のその他事業には、マーケティングコンサルティング事業の収益や連結子会社である株式会社ジャービスが手掛けてまいりました東京都神楽坂の土地建物の賃貸料及び売却に伴う収益が含まれております。なお、前連結会計年度において、株式会社ジャービスが開発に関与した「an/other TOKYO」の引渡しにより463百万円の売上を計上したこともあり、前連結会計年度と比較して売上高は減少しております。
 以上の結果、当セグメントの売上高は262百万円(前期比48.4%減)、セグメント利益(営業利益)59百万円(前期比87.1%減)となりました。

次の項目へ
2021/06/25 11:00:00 +0900
外部サイトへ移動します 移動 ×

カメラをかざして
QRコードを
読み取ってください

{{ error }}