対処すべき課題

 当社グループは、特に規制緩和・法令改正のある事業領域に対して積極的に投資・事業開発を進め、2021年3月期では、エネルギー関連事業、自動車関連事業、感染症対策関連事業、金融関連事業及びその他事業を展開しておりました。2021年4月より、報告セグメントを見直し、エネルギー事業、レジリエンス事業、自動車事業、金融関連事業、その他事業、としております。主な変更点は、これまでの「エネルギー関連事業」から電力小売事業と省エネコンサルティング事業を分離し、電力小売事業を「エネルギー事業」とし、省エネコンサルティング事業と感染症対策関連事業とを統合して、「レジリエンス事業」とするものです。
 この見直しは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が未だ収まることなく、また、従来の常識がそのまま通用しないことが当然と思える社会が到来したことに起因します。とりわけ2020年12月下旬からの電力卸市場における取引価格の異常な高騰は、これまでの想定をはるかに超えるものであったため、当社における電力小売事業の運営について、より機動的な意思決定を行うことができるよう、組織や事業のあり方の見直しを促すものとなりました。また、当社グループが推進しているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の観点からも、レジリエンス(環境の変化や突然の混乱、危機に際し、繁栄・存続するための適応能力・回復力・強靭性)を高める必要があるとの認識のもと、蓄電池をはじめとするエネルギー使用合理化につながる商材や防災・減災につながる商材を取り扱う省エネコンサルティング事業と感染症対策関連事業を統合し一体で事業運営するほうが効率的であるとの判断から、レジリエンス事業とすることとしました。なお、蓄電池をはじめとするエネルギー関連商材は、電力小売事業との関連性もあるため、エネルギー事業とレジリエンス事業のシナジーはこれまで以上に高めてまいります。さらに、すべての事業において、ブロックチェーン、AI、IoT等の技術の応用を進めてまいります。これまでもそうであったように、当社グループは、社会の変化に合わせて事業内容を進化させ、適切に事業収益を創出できるよう、ビジネスモデルや組織体制を変化させてまいります。
 なお、新型コロナウイルス感染症の影響として、変異株の流行やワクチン接種率の推移等によっては、企業活動や個人の消費活動に制約がかけられ、事業分野での電力使用量の変動、企業における新規投資の抑制のほか、個人の消費活動のさらなる変化などが生じる可能性があります。また、新規の有効な感染防止対策等の登場も期待される中、これまでの対策が陳腐化することもありえます。新型コロナウイルス感染症に関するリスクは、当面の間継続することが想定されます。当社グループとしては、「ポスト・コロナ時代」に向け、新しい価値観に沿ったビジネスモデルの創出・提供、新しい働き方の実現に取り組んでまいります。

(1)エネルギー事業における課題
 電力小売事業では、2020年12月から2021年1月にかけて発生した電力卸市場での取引価格の異常な高騰を踏まえ、電力調達における相対電源比率の見直し、電力先物取引の活用等により、天候、燃料供給状況等の変化に伴う電力調達価格の変動リスクの低減を図ります。これらの取組みの結果、通年での粗利率が低下する可能性がありますが、電力調達でのキャッシュ・フローの平準化、需要家の電気料金負担の変動の抑制等にもつながり、当社にもメリットがあると考えております。一方で、需要逼迫期においても電力使用量の変動が少ない業種のうち一定の粗利が見込めるものを重点カテゴリーとして選定し、これらの業種に特化した電力プランを提供するなどにより、電力小売事業全体として粗利の確保に努めてまいります。
 また、当社の強みの一つである全国に構築された代理店網の更なる強化及び活用を通じて、高圧需要家の開拓を推し進めるとともに、プランの充実・強化をはじめ、リミックスでんきの認知度を上げるための諸施策を講じ、低圧需要家のさらなる獲得に努めてまいります。
 電力小売事業を含む電力業界は、発送電分離、次世代スマートメーター制度、容量市場の導入、2050年カーボン・ニュートラルへの挑戦、電源の脱炭素化、再生可能エネルギー発電の活用、分散型エネルギー源(DER:Distributed Energy Resources)の取込みなど、大きな制度改革とそれによる新ビジネス模索という業界再編の時期に入っているともいわれます。当社としましては、このような事業環境のもと、SDGsを推進しつつ、新たな収益機会を創出し、適正な水準の収益及びキャッシュ・フローの確保を図るべく、事業運営してまいります。

(2)レジリエンス事業における課題
 感染症対策関連事業では、『正しく恐れる』をテーマに、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症対策の商材を幅広く展開してまいります。その中でも、MA-T(Matching Transformation System:要時生成型亜塩素酸イオン水溶液)を原料とした自社ブランドである「すごい水」、「SUGOMIZU」などの商品ラインナップの充実を図ります。
 感染症対策関連事業における取扱い商品やサービスは、人の健康・安全に密接に関連していることから、その広告や販売に関し、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)及び関連法令や広告規制等の適用を受ける場合が考えられます。当社グループでは、商材の企画・開発、広告、販売に際しては、消費者事故等の発生防止に努めるとともに、コンプライアンスを徹底してまいります。
 また、省エネコンサルティング事業では、これまでの事業者向けのエネルギー使用合理化・省エネ関連のソリューションに加え、BCP(事業継続計画)対策や家庭における防災・減災対策として、再生可能エネルギーと蓄電池や発電機の組み合わせなどによる提案を積極的に展開していき、省エネルギーや防災・減災といった一部の効用にとどまらず、レジリエンス向上を促すための取り組みを推進してまいります。
 レジリエンス事業では、これまでの省エネコンサルティング事業における補助金活用等のノウハウを、エネルギー分野だけではなく、環境対策、防災・減災対策、感染症対策等においても応用し、収益獲得の機会の創出・獲得に努めてまいります。

(3)自動車事業における課題
 新型コロナウイルス感染拡大の影響の長期化及びそれに伴う政府の施策、人々の働き方の変化その他による中古車市場への影響は否めないものの、景気等の影響を受けにくいといわれている高級車を主商材とした国内の業者間売買を主軸に、引き続き展開してまいります。
 なお、今後、新車販売について電気自動車(EV)やハイブリッド車に転換するとの方針が示される中、中古車市場への影響はまだ計り知れませんが、充電施設の普及その他環境を踏まえ、適切な対応ができるよう努めてまいります。

(4)金融関連事業における課題
 金融関連事業では、当社連結子会社(孫会社)である株式会社ビットポイントジャパン(以下「BPJ」という)において、利用者に対し、快適かつ安定した取引環境の提供を継続して行ってまいります。具体的には、利用者の利便性をより向上させるため、注文方式の拡充、法定通貨・暗号資産の送受金速度の改善、口座開設申込の改善に取り組みます。また、取扱い暗号資産(国内初新規銘柄を含む)を増やし、ディーリングシステムを改善すること等で収益力を向上させるとともに、マーケティング活動を強化することで、利用者数を増やし、取引量を増加させてまいります。また、利用者の資産を安全に保管・管理するセキュリティの確保・強化は、事業遂行上極めて重要であるとの認識のもと、暗号資産の保管・管理態勢を高水準で維持し改善するべく、努めてまいります。
 さらに、BPJでは、2021年5月10日付で第一種金融商品取引業の登録を受けたこともあり、自己資本規制比率維持の観点からもさらなる自己資本の健全化に努めてまいります。
 また、法令上及び事業遂行上必要とされるリスク管理態勢及びコンプライアンス態勢の拡充を図りつつ、これまで以上に安定した収益を確保できるよう努めてまいります。

(5)経営環境の変化への機動的な対応、これによる事業機会及び収益の追求
 将来にわたる持続的な成長を実現するため、事業規模及び収益の拡大を戦略的に推進する必要があります。当社グループは、市場のニーズやウォンツを的確にとらえ社会・時代の変化に機動的に対応し、既存事業の強化、派生ビジネスへの取組み、新しい発想・視点による新規の事業機会の創出をたえず行ってまいります。さらに、事業ポートフォリオを定期的に見直し、収益力及び効率性の向上を推進し、中長期的な成長基盤の確立を図ってまいります。また、成長を加速するために、その時々の経営環境を鑑み、必要に応じて、海外を含めた他の企業グループとの連携や戦略的な投資を推進してまいります。

(6)内部管理体制の拡充ならびにコンプライアンス及びリスクマネジメントの強化
 当社グループは、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るために、実効的なコーポレート・ガバナンスを実現することを目的として、2017年12月に策定した「コーポレート・ガバナンス基本方針」(2018年12月一部改訂)において、コンプライアンスの徹底及びリスクマネジメントに対し積極的な取り組みを行う姿勢を明確にいたしました。コーポレートガバナンス・コードの改訂その他事業環境の変化に応じて、当社グループにふさわしいコーポレート・ガバナンスの実現に努めてまいります。
 また、引き続き、グループ全体において、継続的な啓発活動及び教育研修を実施し、一人ひとりが高い倫理観を醸成し、良識と責任のある行動をとることのできる企業風土を形成してまいります。

(7)優秀な人財の確保・育成
 当社グループは、中長期的な経営戦略の遂行及び対処すべき課題への取り組みに際して、事業環境の変化に円滑に対応して社会的な価値を創出することのできる優秀な人財の確保・育成が必須であると考えております。業容拡大のもと、意欲のある経験値の高い人財を確保するとともに、持続的な成長を支える人財の育成、個々のパフォーマンスの最大化のため、就業環境の整備・改善に注力してまいります。

(8)ダイバーシティの推進
 当社グループでは、現在、複数の国籍の人財を登用しておりますが、今まで以上に、グローバル化の推進、個性の尊重、人財の経験・スキルの多様性の向上、信頼関係作りの強化に取り組んでまいります。また、取締役だけではなく、執行役員、部長などの経営幹部への女性登用の拡大を推進してまいります。そのために、意欲ある従業員が長期的に活躍し、出産・育児との両立ができるように、テレワーク等を活用した就業環境の整備及び柔軟な人事制度を導入してまいります。

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2021/06/25 11:00:00 +0900
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