対処すべき課題

 中長期的な当社の経営戦略として、2021年2月25日に策定した「中期経営計画2025」において、以下の3項目を重点施策といたしました。

1.事業ポートフォリオの転換
 新たな成長事業を「電子」「健康」「環境」と位置づけ、連結売上高比率50%以上を目指します。化成品・セメント事業は効率化を進め、安定的に収益を確保いたします。
 当連結会計年度において、「電子」分野では、台湾で電子工業用高純度イソプロピルアルコール製造・販売会社である台塑徳山精密化學股份有限公司の本格稼働を開始し、韓国ではSK Geo Centric Co., Ltd.との合弁であるSTAC Co., Ltd.の建設を進めております。さらに、先進技術事業化センター内に、パワー半導体や高出力LED用絶縁放熱基板、半導体製造装置用の部材に用いられる窒化アルミニウムフィラーの量産検討設備を本格稼働させました。同フィラーは従来品より樹脂の熱伝導率を大きく向上させるため、電子デバイスにおける高い放熱効果が期待されます。
 「健康」分野では、鹿島工場内に新棟を建設し、歯科充填用コンポジットレジン・CAD/CAMハイブリッドレジンブロック等の製造能力を強化いたします。製品の混練・充填・包装などの製造能力を従来比約2倍に向上させ、国内外の旺盛な需要への対応を進めてまいります。
 「環境」分野では、廃石膏ボードリサイクル事業の国内3番目の拠点として、北海道室蘭市に新工場を建設中です。住宅の壁や天井等の耐火材として広く普及している石膏ボードは、リフォームや解体により廃棄量が年々増加しており、また廃棄処分が難しいことから、リサイクルへの期待が高まっています。当社グループは、この事業を通じて引き続き循環型社会の構築に貢献してまいります。

2.地球温暖化防止への貢献
 世界的な環境意識の高まりを受け、当社は「2050年度カーボンニュートラル達成」を目標として掲げました。その達成のために原燃料の脱炭素化、環境貢献製品の開発・実装及び水素やアンモニアなどの次世代エネルギーの技術開発の加速、事業化を目指します。また、徳山製造所内のプロセス改善に取り組むとともに、国内外のバイオマス燃料の開発・利活用を推進し、2030年度にCO総排出量を30%削減(2019年度比)することを実現します。
 当連結会計年度において、経済産業省・資源エネルギー庁が公募する「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金(コンビナートの水素、燃料アンモニア等供給拠点化に向けた支援事業)」へ「周南コンビナートアンモニア供給拠点整備基本検討事業」を4社で共同提案し、補助事業者に採択されました。本事業では、2030年までに周南コンビナートにおける年間100万トン超のカーボンフリーアンモニア供給体制を確立することを目的に、出光興産株式会社徳山事業所の貯蔵施設を周南コンビナートにおけるアンモニアの共通供給拠点として整備し、周南コンビナート各社(需要側)へのアンモニア供給のためのインフラ検討を行います。今後、実装置でのアンモニア燃焼実証等の様々な取り組みを通し、周南地区における国内初のアンモニアサプライチェーンの構築を推進します。

3.CSR経営の推進
 当社は、持続可能な未来を社会とともに築く活動を継続的に行い、社会課題の解決に貢献し、多様なステークホルダーからの信頼を高め、企業価値の向上を目指すことをCSR経営の基本理念としています。その実現に向けて、CSR経営に関わる社会的な課題を抽出しマテリアリティ(重要な取り組み課題)として、以下の10項目を特定し各課題の解決に取り組んでいます。
 当社は「人権尊重」をあらゆる事業活動の基本に据え、企業としての人権尊重責任を果たすため、「トクヤマグループ行動憲章」のもと、『トクヤマグループ人権方針』を策定しました。トクヤマグループの存在意義である「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客とともに創造する」を実現するには人権の尊重が欠かせません。今後は、人権デュー・ディリジェンスの実施や救済・苦情処理のしくみの充実、そしてこれらの情報の開示に取り組んでまいります。
 また、「心と体の健康推進」については、従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを実現するために、経営トップである社長が健康経営統括責任者を務め、健康経営を推進した結果、昨年に続いて「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されるとともに、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄2023」(全49社)に初めて選定されました。今後も経営トップのコミットメントのもとで、健康経営の取り組みを進めてまいります。

トクヤマのマテリアリティ

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2023/06/23 12:00:00 +0900
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