株主のみなさまへ

混迷を極める情勢の中、経営計画「Denka Value-Up」の成長ビジョン、成長戦略にもとづき、引き続きメガトレンドを視野においたスペシャリティー化を推進するとともに、コロナ後の経済構造の変化も踏まえ、着実に同計画を前進させてまいります。

 株主のみなさまにおかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申しあげます。当社の第161回定時株主総会招集ご通知をお届けするにあたり、ひとことご挨拶を申しあげます。

2020年5月

代表取締役社長
社長執行役員

山本 学

 2019年度は、国内では、個人消費の伸び悩みや輸出の減少に加え、年明け以降には新型コロナウイルス感染症の影響により景気が大幅に下押しされるなど、厳しい状況となりました。世界経済は、緩やかな回復が続いておりましたが、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題の長期化に加え、2020年に入り感染症の世界的大流行により中国や欧米を中心に経済活動が停滞し、急速に減速しました。化学工業界におきましても、ナフサ等の原材料価格は下落しましたが、期後半には国内外で需要が低迷し、企業収益は減少しました。
 このような経済環境のもとで、当社グループは、企業理念“ The Denka Value ”を実現すべく、経営計画「Denka Value-Up」の成長ビジョン、成長戦略にもとづき、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。
 この結果、当期の業績は、車両電動化関連やヘルスケア分野で販売数量が増加しましたが、一部製品で原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しを行ったこと、および米中貿易摩擦や期後半のコロナ禍による需要減を受けた販売数量の減少があったこともあり、売上高は前期比減収となりました。利益面では、販売数量の減少に加えて、ヘルスケア分野などで将来に向けた先行投資による費用負担が増加したことにより、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも前期比減益となり、目標としていた3期連続の過去最高益の更新は、残念ながら実現することはできませんでした。

 本年度は、5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」の中間年度でありますが、今後の経済情勢は、新型コロナウイルスの動向を含め極めて不透明であり、昨年度以上に厳しい1年となることを覚悟せざるを得ない状況にあります。一方で、「Denka Value-Up」で掲げた諸施策は着実に実行されており、今後も、引き続き、自動車の進化や5Gによる通信システム革命、ヘルスケア分野の高度化などのメガトレンドを視野においたスペシャリティー化を推進するとともに、コロナ後に想定される経済構造の変化も踏まえて、着実に同計画を前進させていく所存です。

 また、既にご説明の通り、4月1日付で2つの大きなグループ再編を行いました。1つは、ヘルスケア事業の強化を目的とするデンカ生研株式会社とデンカの合併、もう1つは、グループ商社機能の最適化を目的とする株式会社アクロス商事と株式会社YKイノアスの合併により、新たに発足した「YKアクロス株式会社」です。これらの再編により、異なる文化・強みを持つ会社が、相互の多様な価値観を前向きに化学反応させることにより、統合によるシナジーを最大化してまいります。

 現在、世界経済は新型コロナウイルスの影響により、まさに未曾有の危機的状況にあります。このような状況下、当社は同ウイルス感染症の簡易検査キットの開発にいち早く着手したほか、本年4月には日本政府の要請を受け、同ウイルス感染症の治療薬として世界中から期待されている、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の原料となるマロン酸ジエチルを供給することを決定しました。まずはこれらを確実に実行し、社会的責任を果たしてまいります。

 当社は、「ESG」を経営の根幹とし、国連のSDGsを、経営計画「Denka Value-Up」実現のための「羅針盤」と位置づけ、その達成に邁進してまいりますので、株主のみなさまにおかれましては、一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。
* 「アビガン」は富士フイルム富山化学株式会社の登録商標です。

2020/06/19 12:00:00 +0900
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