第166回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 4062
イビデン株式会社今後の世界経済の見通しにつきましては、米中間の強硬な通商・外交政策に伴う景気の不透明感や、中国の景気減速が世界的に波及することによって、先行きを予測することはますます難しくなっております。また、外国為替市場も、経済及び政策動向の影響により不安定に推移するものと思われます。当社グループにおきましては、これまで構築してまいりましたグローバルな生産体制を機動的かつ柔軟に運用することで、リスクを最小限に留めてまいります。
電子事業
今年度の当社電子事業の各市場におきましては、パソコン市場のマイナス成長及びハイエンドスマートフォン市場の成長鈍化が続くなか、5G及びICTの普及によるデータセンター市場拡大に加えて、AI・車載市場の拡大に伴い、より高機能でファインな電子部品の需要が拡大すると予測されます。従来から当社が強みを持つ最先端分野におけるシェア拡大に加え、昨年11月に決定したICパッケージ基板向けの大型設備投資を確実に立ち上げ、新分野と顧客の拡大に取り組んでまいります。また、併せて市場の変化に対応した生産体制・生産品目の選択と集中を進めてまいります。
(ご参考)持続的成長への課題
5G時代の到来で実現される豊かな社会への貢献を目指す
コモディティ化が進むパソコンやスマートフォンの成長は鈍化する一方、5Gが本格的に普及し、IoTやAI、ICTにより生活、金融、産業など様々な分野での社会課題解決が期待されています。5Gインフラに欠かせないデータセンター、基地局向けや、ICTの進展によるアクセスデバイスの増加、また高度化する車載通信ネットワークなどの高機能でファインな電子部品の需要に確実に対応することで、社会をより豊かに変えるこれらのデジタルイノベーションに積極的に貢献してまいります。
セラミック事業
セラミック事業におきましては、主力のディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)事業の市場は、先進国の乗用車市場を中心にパワートレインの多様化の流れが継続すると予測されます。市場変化への対応として、昨年度、フランスのDPF生産拠点である「イビデンDPFフランス株式会社」の解散を決議いたしましたが、引き続きグローバルで生産体制の最適化・効率化を進めてまいります。一方で、排ガス規制の強化により、新興国の大型車市場においては、今後需要の拡大が見込まれており、伸びる市場にリソースを集中投下することで、事業の構造改革を進めてまいります。また、AFP・FGM事業は、好調な市況を背景に拡大基調にあり、拡販活動を進めることで、セラミック事業の成長ドライバーとしてまいります。
(ご参考)持続的成長への課題
DPF需要は新興国向けにシフト、モビリティ全体では排気系以外に「素材」が新たな機会をもたらす
新興国のDPF需要の確実な取り込みによる成長と併せて、長期の時間軸で多様化していくパワートレイン動向の変化を新たな機会とするため、(株)デンソーと共同で進めているHV・PHV向けの次世代排気システムや、EVに向けては、イビデンのコア技術を応用し「軽量化」「快適性」といった課題を「素材」で解決する製品の提供を目指しております。自動車以外にも航空機エンジンの燃費を飛躍的に向上させる軽量かつ高耐熱のセラミック複合材料製品の開発を進めるなど、新たな成長ドライバーの育成と社会的ニーズを捉え、事業ポートフォリオを柔軟に変化させることで持続的な成長を目指してまいります。
建設・その他事業
建設・その他事業におきましては、国内グループ各社の独自の競争力を持った製品による事業拡大と、電力事業により、当社グループの安定的な収益源としての位置づけを確かなものにしてまいります。
(ご参考)
新製品開発
2017年度に設立した4つの開発センターを軸に、既存のコア技術の進化とオープンイノベーションの積極的活用により、新たな市場・用途に対応した新製品開発を行っています。
<開発領域>
よりクリーンな排気を実現するため、セラミック成形・焼成技術をコアに、高効率・高性能な吸排気システムを開発しています。
取り組み状況
多様なパワートレインに対応したセラミック新製品の量産に向け、パイロットラインの導入を完了し、お客様へのサンプル出荷を開始しています。
<開発領域>
より快適な電気自動車を実現するため、長年培った材料物性コントロール技術をコアに、電気・熱・音を制御する素材・部材を開発しています。
取り組み状況
革新的なソリューションによる軽量化、安全性や電池性能の向上に貢献する新技術を開発し、お客様と上市に向けた評価を開始しています。
<開発領域>
航空機エンジンの燃費を向上させるため、高温セラミック成膜技術・グラファイト製造技術をコアに、航空機エンジン用部材を開発しています。
取り組み状況
燃費を飛躍的に向上させる軽量・高耐熱セラミック複合部材の製造技術を確立し、上市に向けたPR活動を開始しています。
<開発領域>
食と住空間の安心と安全、質の向上のため、独自のバイオ技術をコアに、植物活性剤や化粧品・健康食品向け機能性成分材料を開発しています。
取り組み状況
農作物の高生産性・高機能化を実現する植物活性化剤の国内での効果検証を完了し、事業化・海外展開の準備を開始しています。
当社グループでは、環境の変化を乗り越え、次の100年も持続的な成長を実現するため、昨年度より5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」を始動しております。人財育成を基盤に、伸びる市場に対して、積極的に経営資源を投入し、安定した成長を実現するとともに、全てのステークホルダーの皆様より信頼される会社に向け、ESG(環境・社会貢献・ガバナンス)経営を推進してまいります。
当社グループといたしましては、これらの経営諸課題に着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、厳しい企業間競争を勝ち抜いていく所存でございます。
(ご参考)
中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」
(ご参考)
人財育成
ダイバーシティ
当社の女性活躍推進活動は2010年度よりスタートし、両立支援制度の改善や研修開催等の活動を実施してきました。
2017年度より、各部署より選ばれた女性社員とその上司を対象とした研修プログラム「女性活躍推進ポジティブアクション活動」(以下:活動)を開始しております。女性管理職(課長級以上)比率の向上に向け、その母集団となる係長級の女性社員の育成・登用に向けた支援に加え、対象となる女性社員の上司への意識教育を積極的に進めております。活動の結果、活動開始前(2016年度)は、女性の管理職(課長級)0名、同:係長級3名でしたが、2019年度(2019年4月1日時点)においては、管理職(課長級)2名、係長級11名となっております。
今後も、女性だけでなく外国人やベテラン社員、更には障がい者も含めた多様な人材が、一人ひとりの強みを生かし、活き活きと活躍できる職場環境づくりを積極的に進めてまいります。
(ご参考)
ESG経営の推進
当社グループは企業理念のもと、事業を通じて、社会と信頼関係を構築し、豊かな社会の発展に貢献します。経営の信頼性と透明性を高める活動に取り組み、全てのステークホルダーの皆さまより信頼される会社を目指して、ESG(環境・社会貢献・ガバナンス)経営を推進してまいります。
特に環境経営におきましては、当社グループは、業界団体の行動規範やクリーンエネルギーでの事業運営を志向する顧客など、高い要求水準での事業運営が求められています。こうした期待に対し、再生可能エネルギーである水力発電・太陽光発電や、環境負荷の低いガスタービンコージェネレーションによる自家発電を活用した生産活動を推進し、環境リスク低減、省エネルギー・資源循環などの活動を、サプライチェーンと一体となって推進してまいります。また製品分野においても、主にディーゼル車の排気系分野での環境貢献製品が当社の主力事業の一翼を担っております。
引き続き、生産活動における更なる環境負荷低減、また今後予想されるモビリティ環境の変化や社会的課題を捉えた製品開発で市場と社会からの支持を獲得し、地球環境と共存しながら持続可能な発展を目指してまいります。