事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響からの持ち直しが進みましたが、世界的な金融引き締めや地政学情勢に伴うエネルギー価格上昇の影響、さらには年度末の金融不安の顕在化など、不透明かつ不安定な状況が継続しました。国内経済においても、経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しの動きがみられたものの、物価上昇や世界経済の下振れリスクなど、楽観視できない状況が継続しました。
 半導体・電子部品業界の市場において、パソコン市場は、需要の急減速に伴い、夏場以降の調整局面が継続したものの、データセンター向けを中心としたサーバー市場が概ね堅調に推移し、全体としては成長傾向で推移しました。
 自動車業界の排気系部品市場は、世界的な半導体不足による影響は回復基調にあるもののCOVID-19を発端としたサプライチェーンの混乱による影響が長期化し、不安定な状況が継続しました。
 このような情勢のもと、当社におきましては、2018年度から始動した5か年の中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」の最終年度を迎えました。目標の達成に向け、人財育成を基盤に、伸びる市場に対して積極的に経営資源を投入し、既存事業の競争力強化と新規事業の拡大など、次の成長に向けた取組みを進めてまいりました。
 これらの結果、当連結会計年度の売上高は4,175億49百万円と前連結会計年度に比べ164億10百万円(4.1%)増加しました。営業利益は723億62百万円と前連結会計年度に比べ15億41百万円(2.2%)増加しました。経常利益は761億76百万円と前連結会計年度に比べ17億82百万円(2.4%)増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益に関しましては521億87百万円と前連結会計年度に比べ109億54百万円(26.6%)増加しました。


電子事業

主な製品用途
▪ICパッケージ基板
(パソコン・サーバー向け、携帯端末向け、情報家電向け)
▪プリント配線板
(携帯電子機器向け)


 パッケージ(PKG)事業におきましては、パソコン向け需要が夏場以降に減速したものの、サーバー向けの需要が概ね堅調に推移したことにより、全体として売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。
 マザーボード・プリント配線板(MLB)事業におきましては、スマートフォン向けは堅調に推移したものの、モジュール基板の売上が減少した結果、売上高は前連結会計年度並みとなりましたが、営業利益は減少しました。
 以上の結果、電子事業の売上高は2,507億8百万円となり、前連結会計年度に比べ5.8%増加しました。同事業の営業利益は606億47百万円となり、前連結会計年度に比べ10.0%増加しました。

セラミック事業

主な製品用途
▪ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)
▪触媒担体保持・シール材(AFP)
▪特殊炭素製品(FGM)
▪高温断熱材
▪ファインセラミックス製品

 自動車排気系部品であるディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、欧州市場を中心とした乗用車市場のEV化の加速を受け、大型商用車向け製品への受注シフトを進めたものの、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。同製品の営業利益につきましては、原材料費やエネルギー価格の高騰による影響もあり、前連結会計年度に比べ減少しました。
 触媒担体保持・シール材(AFP)は、揖斐電精密陶瓷(蘇州)有限公司の安定した量産体制のもとで中国市場での拡販を進めた結果、売上高は前連結会計年度に比べ増加したものの、原材料費の高騰による影響により、営業利益は前連結会計年度並みとなりました。
 特殊炭素製品(FGM)は、半導体製造装置向け製品を中心に需要の高まりを受け、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。
 以上の結果、セラミック事業の売上高は899億30百万円となり、前連結会計年度に比べ0.8%減少しました。同事業の営業利益は61億29百万円となり、前連結会計年度に比べ29.7%減少しました。

その他事業  

主な事業内容
▪各種設備の設計・施工
▪メラミン化粧板・住宅設備機器
▪法面工事部門造園工事部門
▪石油製品販売部門
▪情報サービス等の各種サービス業

 建設部門におきましては、発電プラント事業において、発電設備の建設工事受注が堅調に推移したことに加えて、大型工事が着実に進行したことなどにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 建材部門におきましては、原材料費の高騰による影響を受けたものの、販売価格の見直しによる効果に加えて、抗ウイルスメラミン化粧板及びその関連商材の販売が増加したことなどにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 その他部門におきましては、ヘルスケア事業において健診システム及びリハビリシステム販売が堅調に推移したことに加え、電子カルテ販売で大型案件が完工したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加したものの、合成樹脂加工事業を中心に原材料価格の高騰の影響により、営業利益は前連結会計年度に比べ減少しました。
 以上の結果、その他事業の売上高は769億9百万円となり、前連結会計年度に比べ4.7%増加しました。同事業の営業利益は、61億36百万円となり、前連結会計年度に比べ13.5%減少しました。

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2023/06/15 15:00:00 +0900
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