事業の経過およびその成果

当期の経営成績

 当社グループの当期業績につきましては、上期にすべてのカンパニーで大幅に需要が減少した影響で、売上高は前期と比較して373億円(15.4%)減の2,049億円となりました。売上高の内訳は、鋼カンパニーで682億円、ステンレスカンパニーで327億円、鍛カンパニーで860億円、スマートカンパニーで154億円、その他で24億円となっております。

 利益につきましては、販売数量の上期での大幅な減少、特殊鋼・鍛造品の販売価格の値下がり、第4四半期連結会計期間の鉄スクラップ価格高騰などにより、営業利益は前期比103億3千8百万円(74.4%)減の35億6千3百万円となりました。また、経常利益は前期比95億2千8百万円(69.2%)減の42億4千8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比54億9千4百万円(64.3%)減の30億4千9百万円となりました。

ご参考




 特殊鋼の販売数量の減少と販売価格の値下がりにより、当期の売上高は、前期と比較して、146億1千4百万円(17.6%)減少し、682億1千6百万円となりました。

〔主な取組み〕

① コロナ禍における需要の変動に対応し、限量経営の継続・強化による「量の増減にフレキシブルに対応できる筋肉質な生産体制の構築」に取り組みました。具体的には設備の寄せ止め操業によるエネルギーロス低減やコスト最適生産体制の実現、余剰工数活用による自主保全(工事内製化、故障防止)、不良ロス低減といった改善に取り組みました。

② エネルギーを大量に消費する製鋼工程(主原料である鉄スクラップを溶解する工程)における鋼材生産プロセス改革として、電気炉の排熱を蒸気エネルギーとして回収し、他の製鋼設備で有効利用する仕組みを導入しました。これは国内電気炉業界として初めての事例であり、年間約4.2千トン相当のCO2削減を実現します。





 ステンレス鋼の販売数量の減少により、当期の売上高は、前期と比較して、63億1千2百万円(16.2%)減少し、327億5千7百万円となりました。

〔主な取組み〕

① カンパニー元年での基盤強靭化として、安全最優先・品質第一のものづくりの実現、そのうえで、徹底した生産コストの低減のため、生産量に左右されない限量経営の定着を図りました。具体的には真因追求にこだわったカンパニー一丸での品質ロス改善、工程整流化による省人、設備改造による寄せ止め等を実施しました。

② 新開発の省資源高強度高圧水素用ステンレス鋼 “AUS305-H2” が昨年12月にトヨタ自動車から販売開始された燃料電池自動車新型「MIRAI」の水素充填口などの高圧水素系部品に採用されました。“AUS305-H2” は高価なレアメタルであるモリブデンを使用せずに、当社独自の成分設計技術により、モリブデン添加と同等の優れた強度と耐水素脆化特性を実現し、さらに、快削元素の追加により、お客様の工程における切削可能性を向上しています。これらにより、省資源化と低コスト化を実現し、燃料電池車やインフラである水素ステーションのさらなる普及に貢献します。





 鍛造品の販売数量の減少と販売価格の値下がりにより、当期の売上高は、前期と比較して、160億6百万円(15.7%)減少し、860億1千2百万円となりました。

〔主な取組み〕

① コロナ禍で昨年4-6月を底とした鍛造品の需要減少のなか、当期は限量経営の実践・強化を掲げ、必要な量をそれに見合った原価でつくる「量見合い化」の考え方を徹底し、原価低減活動に取り組み、体質強化への足固めを実施しました。その結果、損益分岐点を大きく下げる(改善する)ことができました。

② あわせて、品質ロス低減活動として、工程の流し方、管理の仕方を検討し、作り方を変えることで大きな成果を挙げました。





 電子部品およびセンサの売上の増加により、当期の売上高は、前期と比較して、6億1千1百万円(4.1%)増加し、154億7千6百万円となりました。

〔主な取組み〕

① 電子部品事業では、昨年4月に岐阜工場において、第2生産ラインを稼働開始いたしました。この第2ラインは生産性を20%向上させ、多品種の製品を高品質かつタイムリーに生産できる設計となっております。これにより、安定的な供給体制を構築し、HV(ハイブリッド車)・EVなどの電動車に不可欠なインバータ用放熱部品「パワーカード用リードフレーム」のさらなる需要拡大に着実に対応しております。

② 磁石事業では、当社独自のDy(ジスプロシウム)フリーボンド磁石「マグファイン」と当社独自の鍛鋼一貫による高強度材料を融合させ、EV向け電動アクスルの従来比40%の小型軽量化を実現する技術実証に世界で初めて成功しました。また、東北大学との共同開発により、磁石粉末の高性能化にも成功し、さらなる小型化(40→50%)および低コスト化を可能としています。今後は本電動アクスルのさらなる開発を進め、実用化に向けた素材、部品および工法開発を推進し、電動車の本格普及に不可欠な電力消費率向上と資源対策を同時に進めてまいります。

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2021/06/23 11:00:00 +0900
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