事業の経過およびその成果

当期の経営成績

 当社グループは、当期から連結計算書類を従来の日本基準に替えて国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して作成しております。これに伴い、前期の数値も、IFRSベースに組み替えています。
 当期の業績につきましては、販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、売上収益は前期と比較して250億円(9.6%)増の2,851億円と過去最高となりました。売上収益の内訳は、鋼カンパニーで1,056億円、ステンレスカンパニーで422億円、鍛カンパニーで1,144億円、スマートカンパニーで202億円、その他で25億円となっております。
 利益につきましては、販売数量の減少や、合金鉄・購入鋳片やエネルギー等の購入品価格の高騰が減益要因となった一方で、販売価格の値上がりが増益要因となり、営業利益は前期比11億2千1百万円(52.4%)増の32億6千万円となりました。また、税引前利益は前期比12億4百万円(41.6%)増の40億9千9百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比5億2千1百万円(47.8%)増の16億1千万円となりました。

ご参考


(注)

2022年度よりIFRSに準拠して連結計算書類を作成しております。また、2021年度についてもIFRSベースに組み替えた数値を記載しております。


 特殊鋼の販売数量の減少はあったものの、販売価格の値上がりにより、当期の売上収益は、前期と比較して、61億3千1百万円(6.2%)増加し1,056億8千7百万円となりました。

〔主な取組み〕
① 期中での主要ユーザーの需要変動が大きい環境下、安全・品質・生産の基盤強靭化として、相互啓発コミュニケーション・現地現物点検を通じた安全マネジメント改革、暗黙知の形式知化による自工程完結レベルアップ、現地現物・原理原則で真因追求にこだわった品質ロス低減に取り組みました。また、購入品価格の上昇に対し、限量経営深化によるつくりの実力向上として、科学的アプローチによる課題の見える化・原単位改善、マルチスキル化を通した労働生産性向上活動などに取り組みました。
② アセアン地域での競争力向上、インド市場進出および日本国内の激しい需要変動に対応する生産の上方弾力性確保を目的に、バルドマンスペシャルスチール社(以下、バルドマン)への資本参加と現地現物での技術支援を継続的に実施してきました。昨年9月には第2期技術支援契約を締結し、さらなる品質向上と生産性向上を目指しております(現状比20%以上)。これまでの支援により、バルドマンの品質・生産能力が向上し、日系のお客様に満足いただける製品を製造できるようになったことから、本年1月より、当社グループのアセアン鍛造拠点(タイ、インドネシア)への鋼材供給を開始いたしました。



 ステンレス鋼の販売価格の値上がりにより、当期の売上収益は、前期と比較して、59億2千2百万円(16.3%)増加し、422億4千4百万円となりました。

〔主な取組み〕
①「安全な職場、成長する職場、活気ある職場」を目指し、健全な成長を実現するため、相互研鑽による安全最優先の職場づくり、良品条件を確立した自工程完結による品質第一のものづくりの実現、設備投資効果の最大発揮、マルチスキル化の職場範囲拡大による負荷平準化を通じた要員マネジメントの先手対応などに取り組み、モノづくり力を着実に向上してまいりました。
② 東邦ガス株式会社と協力し、水素・都市ガス兼用バーナ(※1)を、当社刈谷工場の鋼材熱処理炉に導入し、水素燃料の活用を目指し、鋼材熱処理炉における水素燃焼技術の開発、実証実験を開始いたしました。

※1東邦ガス株式会社と日本ファーネス株式会社が共同開発した、日本で初めて部品交換不要で水素・都市ガスを兼用できるバーナ。独自の空気流や噴出速度により、水素燃焼によるNOx排出抑制やバーナ部品劣化を防止している。
(東邦ガス株式会社、アイチセラテック株式会社のエンジニアリング技術により、当社刈谷工場の鋼材熱処理炉に導入)



 鍛造品の販売数量減少はあったものの、販売価格の値上がりにより、当期の売上収益は、前期と比較して、114億2千6百万円(11.1%)増加し、1,144億6千3百万円となりました。

〔主な取組み〕
① 主要ユーザーの生産量が不透明な状況が続くなか、労働生産性マネジメントをはじめとする限量経営で対応し、上方・下方弾力性を継続的に向上させました。具体的には工場、生産技術が一体となった型寿命の向上活動や真因追及と本質対策にこだわった不良ロス低減活動に取り組み、大きな成果を上げました。
② 米国子会社であるアイチフォージユーエスエイ株式会社(AFU)において、鍛造部品であるコネクティングロッド(※1)の新生産ラインを稼働開始いたしました。新生産ラインは、トヨタ自動車のグローバル標準ラインをさらに充実させ、高強度・高精度を実現する鍛造技術、品質保証体制を実現しています。また、国際情勢の変化による供給リスクにも柔軟に対応できるようになり、トヨタグループ全体の相互補完による安定供給体制を実現いたしました。

※1 エンジンが起こす上下方向の力(運動エネルギー)を、クランクシャフトへ回転運動に変換して伝える部品であり、軽量さと頑丈さが求められる。


 電子部品の売上の増加により、当期の売上収益は、前期と比較して、12億7千3百万円(6.7%)増加し、202億4千3百万円となりました。

〔主な取組み〕
① 電子部品事業では、電動車の需要急増を見据え、岐阜工場(岐阜県各務原市)にてパワーカード(※1)用リードフレーム(以下、リードフレーム)第3ラインを稼働開始いたしました。このラインでは、長年培ってきた加工技術をさらに進化させ、精密プレスの高速化とめっき表面の高清浄化・均質化に加え、独自設計の自動画像検査装置の導入による全数検査の高速化・省人化を実現しました。これにより、さらなる高品質化と従来比1.5倍の生産性を両立し、将来の需要増を見据えた革新的なライン設計となっています。本ラインでの量産開始により、当社のリードフレームの生産能力は計約7,200万個/年(約30%増)へと増大しました。
② デンタル事業では、磁力により義歯(入れ歯)を維持固定する歯科用精密磁性アタッチメント(磁石式入れ歯)を2021年10月より販売開始しました。当社初の保険適用の新製品「マグフィット® M」の旺盛な受注を取り込み、保険市場獲得による成長の足掛かりにつなげることができました。

※1 パワー半導体が複数セットされたカード型のパワーモジュール。車1台に複数枚が使われている。

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2023/06/21 11:00:00 +0900
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