対処すべき課題

 当社グループを取り巻く環境は、コロナ禍による経済社会活動への制約がほぼ解消され社会活動が回復することが期待される一方、欧米では、高インフレ・金融引き締めの影響を受けた個人消費の落ち込みが懸念されるなど、2023年度の世界経済は低成長が見込まれております。
 また、自動車業界では、「100年に一度の大変革期」といわれるCASE(未来の車の特性をConnected・Autonomous・Shared・Electricの頭文字で表したもの)に向けた動きが加速しています。これは、特殊鋼や鍛造品など素材や部品を通じてクルマの可能性を広げてきた当社にとって、新たな挑戦であり事業拡大の機会と捉えております。既存事業でモノづくりをしっかり守り、発展させながら、新たな事業の創出にもモノづくりの力を活用し、収益の維持と拡大を同時に図る「両利きの経営」を実践してまいります。
 さらに、2050年度を目標としているCNの早期実現も見据え、スピード感を持った取り組みにさらなる力を注いでいく必要性を感じております。今後は、革新的な電気炉の導入検討や水素、アンモニアを用いた加熱技術の開発、バイオ燃料といった新たな動力源を採用した構内車両の使用なども進めてまいります。
 上記のとおり、コロナ禍、地政学リスク、CASE、CNと言った世界規模の課題が当社の経営に影響を与えており、まさにパーマクライシスと言える激しい変化が続いております。今こそ、社員一人一人がその状況を自分事として捉え、情報収集力(先読み力)とチーム一丸で取り組むことを大切にし、高い志で自ら変革にスピード感を持って挑戦してまいります。
 そのようななか、当社グループは、「2030年ビジョン」実現を目指し、2023年度は、「AichiWayでの“大変革” !将来の生き残りをかけ、全員本気で全力発揮!!」をスローガンとして、以下の施策を中心に取り組んでまいります。

1. 「モノづくりの底力」向上と「稼ぐ力」強化

(1):迅速かつ的確なアクションにつながる原価管理のしくみ構築
(2):TPSをベースにロスの徹底改善とTPM再構築でつくりの実力向上
(3):グローバルおよび新ビジネスを意識した調達基盤強化による競争力向上
(4):原材料・エネルギー価格の変動をリニアに転嫁できるしくみと将来に向けた顧客・品種戦略の構築

2. 明日の愛知製鋼を見据えた両利きの経営

(1):基幹事業の持続的成長を死守する改革シナリオ構築とビジョンの明確化
(2):素材技術のDNAをベースとしたCASEやCNに対応する高機能製品の開発推進
(3):マーケット環境を踏まえ、着地点を明確にした技術開発による新規ビジネスの早期事業化
(4):限られたリソーセスの最適配分とビジネスチャンスへの集中投入
(5):海外プロジェクトの確実な遂行による連結収益基盤の強化
(6):CNおよびDXシナリオのプロジェクト推進とカンパニービジョンの明確化

3. 会社とステークホルダーを守るコンプライアンス・ガバナンス

(1):重要な情報の速やかな共有と監査体制の拡充によるリスクマネジメントの充実
(2):グループガバナンスの強化に向けた子会社の戦略的サポート

4. 明日を支える人材の育成と風土醸成

(1):風通し良く、かつ規律ある職場づくり
(2):立場に応じた役割認識と俯瞰的視野を有するマネジメント育成
(3):現状に疑問をもち考え抜くマインドの定着と問題解決力のレベルアップで仕事の質向上

 これらの取り組みをさらに加速・強化することにより、全社員が心を一つに力をひとつに、モノづくり力の向上とESG経営実践に向け、全員参加で取り組み、愛知製鋼グループの企業価値を高めてまいります。

株主の皆様におかれましては、引き続き変わらぬご支援とご指導を賜りますようお願い申しあげます。

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2023/06/21 11:00:00 +0900
2023/06/15 00:00:00 +0900
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