経営成績に関する分析

 当期における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続くなど厳しい状況となりました。緊急事態宣言が解除され景気の悪化は一旦底を打つかと思われましたが、年度末に向けて新型コロナウイルス感染症の再拡大の動きがみられ、まん延防止等重点措置が講じられるなど、停滞感の強い状況が続きました。
 世界経済につきましては、中国では緩やかな景気の回復が見られ、欧米諸国ではワクチンの接種も進み、段階的な経済活動の再開の動きもありましたが、新型コロナウイルス感染症の変異株出現等による感染拡大や都市封鎖の再開のほか、米中貿易摩擦の影響や半導体など一部部材の供給不足といった、不透明要因も多く予断を許さない状況が継続しています。
 こうした経済情勢下にあり、当社グループは第2次中期経営計画(Futaba InnovationPlan 2023)に基づき、コスト構造改革による収益の改善と積極投資による事業成長の促進に努めましたが、市場環境の悪化の影響を受け、業績は低迷しました。
 なお、当期に実施した主な取り組みは、以下のとおりです。

  1. コスト構造改革としましては、有機ELディスプレイ事業に経営資源の集中を図り、より一層の事業強化を目指すため蛍光表示管および蛍光表示管モジュール事業からの撤退を決定しました。
  2. 事業成長の促進としましては、社内リソースの融合と応用による「工作機械IoTモニタリングシステム」、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の切削加工用厚板プレートである「フェルカーボ」、920MHz帯を利用した無人機用コントローラー「FMT-04」や金型内計測システムのデータをクラウドで一括管理する「MMS Cloud」などの新製品・サービスを市場に投入しました。また、国産ドローン製品の開発やオールインワンモータモジュール「Roboservo」のサンプル販売を開始するなど、新たな価値を創造するための投資も積極的に行ないました。

 以上の結果、当期における売上高は488億2千6百万円(前期比14.7%減)となりました。このうち海外売上高は277億8千5百万円(前期比16.9%減)となり、国内売上高は210億4千1百万円(前期比11.5%減)となりました。
 収益面では、営業損失は35億1千7百万円(前期は営業損失36億9千8百万円)となりました。また、経常損失は25億1千3百万円(前期は経常損失33億4百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失を計上したことにより54億3千万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失101億1千8百万円)となりました。

 当期の連結業績の事業区分別状況は次のとおりです。

①電子デバイス関連
(主な製品:タッチセンサー、有機ELディスプレイ、蛍光表示管、複合モジュール、産業用ラジコン機器、ホビー用ラジコン機器等)

 タッチセンサーでは、主力の車載用途においてコモディティ化の影響を受けたことから、売上げは前期を下回りました。
 有機ELディスプレイでは、在宅勤務の増加によるWi-Fiルータ向けや事務機用途が好調でしたが、車載用途および映像用途が低調に推移したため、売上げは前期を下回りました。
 複合モジュールでは、事務機用途は好調に推移しましたが、EMSの受注が落ち込んだことから、売上げは前期を下回りました。
 産業用ラジコン機器では、医療用途や無人機用サーボが順調に推移しましたが、農業関連向けやFA向けが低迷したことから、売上げは前期を下回りました。
 ホビー用ラジコン機器では、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛などの影響から北米のインターネット販売が好調であったことから、売上げは前期を上回りました。

②生産器材
(主な製品:プレート製品、金型用器材、成形・生産合理化機器)

 国内では、自動車や設備投資関連の市場に持ち直しの動きはみられるものの、年間を通して市場の低迷が長く続いたため、モールドおよびプレス金型用器材は低調に推移、成形・生産合理化機器も伸び悩んだことから、売上げは前期を下回りました。
 海外では、主力の韓国において、自動車向けが順調に推移したため、為替は円高で推移したものの、売上げは前期を上回りました。


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2021/06/29 12:00:00 +0900
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