対処すべき課題

 当社グループは、全従業員が共有する理念・行動体系である「Futaba Way」の下、Futaba哲学の「本質之直視」により、事業戦略策定から業務執行全般・モノづくりの現場に至るまで、常に本質を探究し、「なくてはならない器材・サービスを創出し、世界の発展に貢献する」ことを企業理念としています。この理念を実現するため、「モノづくりを基軸としたソリューション」による事業領域の拡大、「製販一体」による顧客ニーズや収益性を意識した製造・営業展開を行い、「選択と集中」により成長市場に向けた差別化と効率化を進めています。加えて、Futabaテクノロジーを進化・融合させた「新製品開発力」により育てた芽を成長事業へ促進し、企業価値の継続的向上をはかっています。また、コンプライアンスの徹底による公正で透明性の高い経営を実践するとともに、当社グループの製品やサービスの提供により社会的な課題解決と責任を果たし、真に社会に有用な企業となることを目指して効率的な健全経営に取り組んでいます。

 当社グループを取り巻く環境は、各国の経済対策により回復が見込まれますが、新型コロナウイルス感染症ワクチンの普及遅れなどの懸念や米中関係の動向や地政学的な緊張があり、依然として先行きに不透明感があります。
 当社グループの関連市場である自動車関連は、半導体等の供給不足による生産調整の問題はありますが、世界の自動車生産台数の回復を見込み、さらにコネクテッドや電動化等の技術革新と環境問題による大変革が進むと予想され、電子デバイス関連事業のディスプレイやタッチセンサー、システムソリューション製品、生産器材事業の金型用器材や成形・生産合理化機器の需要が見込まれます。民生・産業機器用分野においてはまだら模様で、国内製造業の設備投資意欲は低いものの、半導体需要に伴う設備投資増から電子デバイス関連事業のシステムソリューション製品や生産器材事業の金型用器材や成形・生産合理化機器の伸びが見込まれます。またインフラの老朽化による検査・監視ニーズや感染症対策を含めた省人化・無人化ニーズからIoTやサーボ関連機器、UAV関連機器への需要を見込んでおります。今後も変化を続ける市場ニーズをタイムリーに捉え、成長分野を見極めてまいります。

 このように次々と変化する経営環境に対処するため、昨年8月に公表した2023年3月までの中期経営計画(Futaba Innovation Plan 2023)では「萌芽ステージ」として「体質の改革」「深化と拡張」「投資と挑戦」を基本方針として継続的な成長を確実なものにすべく取り組んでまいりましたが、初年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響等を大きく受けた状況となりました。しかしながら最終年度(2023年3月期)には「連結売上高640億円、連結営業利益23億円(連結営業利益率4%)」の目標達成に向けて迅速に取り組んでまいります。

事業別の課題に対する施策については次のとおりです。

〔電子デバイス関連事業〕
 タッチセンサー製品は、独自構造・工法及び部品で差別化をはかり、市場要求からフリーデザインや3D形状タッチセンサーなど付加価値製品の量産技術の確立、衝撃を受けても飛散しにくいカバーガラス製品の市場開拓、タッチセンサーを基軸とした顧客製品のアッセンブリーなど事業領域の拡大に注力します。
 有機EL製品は、非表示用途での拡大をはかるため、有機ELを光源として採用し、非常にコンパクトで高精細、高速という技術的な差別化製品により事務機器分野への市場開拓を進めます。表示用途では、薄く、軽く、低コスト構造のフィルム有機ELディスプレイを開発し普及に注力します。また、高い視認性が求められる車載用途のディスプレイでは、高い信頼性と高輝度化を進めます。
 システムソリューション製品は、各種センサーを活用したモジュールによるシステム構築とサービス事業への拡充を行い、UAV、サーボは防災/救命、点検/測量などで利便性向上を目指した用途別プラットフォーム化による市場開拓を進めます。また、成長分野のエネルギーや医療関連市場への液晶モジュールの拡販や省力化ニーズ対応として「Roboservo」、構造物系IoTモニタリングシステムの開発および市場開拓を図っていきます。
 ホビー用ラジコン製品は、継続的な新商品の投入と情報の発信・収集による市場の活性化とシェア拡大を目指します。また、新たな取り組みとしてUAV/ドローンの航続距離延長を目的としたエンジン、スターター、発電機が一体となったシステム「レンジエクステンダー」を産業用途へ拡販をします。

〔生産器材事業〕
 高品質なハード製品を核に、ソフト・サービス分野への変革をはかり、市場の合理化ニーズから機械学習を応用したWEB受託加工サービスや遠隔監視システムのサービス化を進めます。また、新製品の「工作機械IoTモニタリングシステム」や金型内計測IoTクラウドシステム「MMS Cloud」で工程改善の工数不足という問題の解決に貢献します。
 もちろん、ハードとしての製品の追求も継続し、製品や設備・装置の軽量化に寄与し、高精度加工を可能とするCFRP製切削加工用厚板プレート「フェルカーボ」の拡販や市場要求に沿った体制構築、海外は精度の高い差別化製品で市場開拓をしていきます。

〔全事業〕
 新型コロナウイルス感染症への対応として、従業員及びお客様をはじめとするステークホルダーの皆様の安全確保を最優先に考えており、感染症防止のための対策を講じています。なお、新型コロナウイルス感染症の収束見通しが不透明なことから、今後も感染拡大に伴う経済活動への影響を注視することにより、リスクや不測の事態を想定し経営環境の変化に臨機応変に対応できる体制の構築と生活様式の変化に対応すべく迅速かつ的確な研究、製品開発と生産体制の構築をはかっていきます。

 今後も株主の皆様の負託にこたえることを経営上の最重要課題と認識し、継続的かつ安定的な利益還元を実施するとともに、コンプライアンスの浸透、リスク管理の強化に努めてまいります。

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2021/06/29 12:00:00 +0900
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