事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における日本経済は、世界経済の減速に伴う輸出の低迷や、大型台風による生産停止を背景とした製造業の弱含みが続く一方、働き方改革などの影響で雇用・所得環境が改善し、人手不足を背景とした合理化・省力化に伴う設備投資が増加基調で推移したことなどにより、内需を中心に緩やかに回復しました。
 国内株式市場は、年初の取引開始から米株安の影響を受け、日経平均株価が20,000円を下回る波乱のスタートとなりました。その後も米中貿易交渉の動向に左右される相場展開となり、貿易摩擦を懸念して株価が下落する場面がありましたが、9月以降は交渉の進展が期待されて上昇基調に転じ、第一段階の合意に達した12月にはさらに上昇しました。また、12月は欧州連合(EU)からの離脱の行方を決める英国総選挙で保守党が圧勝したことも追い風となり、終値ベースで24,000円台の高値水準にまで上昇しました。当連結会計年度末は、前連結会計年度末の20,014円77銭から18.2%上昇して23,656円62銭で取引を終えました。このような市場環境の中、個人投資家の株式等委託売買代金は前連結会計年度と比較して21.2%の減少となりました。
 外国為替市場においては、ドル円相場が一時104円台まで急落する場面がありましたが、概ね108円〜111円の狭いレンジで推移し、当連結会計年度末は1ドル=108円台で取引を終えました。総じてボラティリティの低い相場展開となったことから、国内店頭FXの取引金額は前年比14.1%の減少となりました。
 このような外部環境の中、当社及び当社の連結子会社(以下「GMO-FH」)は、ビッグデータ解析の活用によりFX事業の収益性向上の取り組みをさらに推し進めるとともに、証券事業においては、信用取引の活性化に向けて取引にかかる買方金利・貸株料を引き下げ、大口取引優遇プランのリニューアルを実施し、今後の成長に向けた事業基盤の強化に取り組みました。また、GMO-FHが第二の収益の柱にすべく育成しているCFDについては、プロモーション強化の成果により口座数・預り証拠金残高が大きく伸長しました。仮想通貨事業については、これまでの金融事業で培ってきたノウハウ・技術を活用し、お客様に安心・安全な取引環境をご提供することにより、顧客基盤が順調に拡大しました。海外事業では、インターネット証券取引サービスを提供しているタイ王国の現地法人GMO-Z com Securities (Thailand) Limitedが堅調に推移し、営業利益の単月黒字化を達成しました。
 営業収益は、株式取引に係る委託手数料や金融収益が減少したことに加え、店頭FXやCFD等の店頭デリバティブ取引に係る収益が減少したことから前年比で減収となりました。
 以上の結果、当連結会計年度の営業収益は32,501百万円(前年比6.6%減)、純営業収益は30,314百万円(同7.8%減)、営業利益は9,762百万円(同17.4%減)、経常利益は9,686百万円(同18.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,073百万円(同21.3%減)となりました。

次の項目へ
2020/03/30 18:00:00 +0900
外部サイトへ移動します 移動 ×