事業の経過及びその成果

当期の事業環境

 当期の世界経済は、需要と供給の両面でコロナ危機から回復傾向をたどってきましたが、エネルギー費の高騰、高インフレと米州・欧州を中心とした金融引き締めで景気の回復ペースが鈍化しました。
 日本経済も供給制約の緩和と経済活動正常化により緩やかな持ち直し傾向であるものの、円安を背景とする物価高により消費が下振れし、低い成長率にとどまりました。
 自動車業界においても、円安効果はあったものの、原材料高、労務費の上昇等によるコストの押上げ、半導体など部品供給不足の継続による不安定な生産など向かい風が続きました。また、欧州・中国を中心とする予想を上回るBEV(電気自動車)化の急進展に直面し、カーボンニュートラルに向けたさらなる取り組み強化が求められる1年となりました。

当期の取り組み

 当社はこのような状況の下、足元では原材料高の影響圧縮、例年以上の合理化、急激な生産量変動への対応力強化を収益改善の3本柱として定め、活動に注力してきました。
 一方、将来も持続的に成長できる会社を目指し、「安心」「安全」「快適」に貢献できる新製品の市場投入、将来への成長投資、さらなる生産性の向上やCO2削減に向けたモノづくり革新にも取り組んできました。

〈新製品の市場投入〉

 BEVなど車の様変わりへの対応として、先進性を感じさせる内装や外装の新製品を市場投入しました。また、自動車以外の分野では、ゴルフの上達支援に活用できるスマートインソールや、除菌用のUV-C LED製品などの開発・販売をスタートアップなどとも連携し進めています。

LED通知イルミネーション
先行車発進時や歩行者を検知した際、自動減速機能作動前に強く発光し、視覚的にドライバーに通知。

発光機能付きミリ波レーダ対応エンブレム
ミリ波レーダの透過機能と発光機能を併せ持つ新たなエンブレムを世界で初めて開発。

スマートインソール「FEELSOLE」
足裏の圧力の微妙な変化を精度よく計測できるインソールに専用アプリを組み合わせ、ゴルフスイング時の体重移動を表示。

①撮影したスイングフォーム
②取得した足圧データ
③アドレスやフィニッシュなど7つのポジションを自動検出

〈将来への成長投資〉

 中国・インドなど重点市場や、世界的な安全規制の強化を背景に需要が拡大するセーフティシステム分野で、幅広いお客様への拡販を進め、さらなる事業拡大を目指しています。

【中国】

華南における自動車生産の拡大に対応するため、豊田合成(佛山)汽車部品有限公司にエアバッグやハンドルの新工場を設立。(2023年夏頃生産開始予定)

【インド】

インドでの側面衝突対応エアバッグ(サイドエアバッグ・カーテンエアバッグ)の需要増加への対応として、豊田合成ミンダインディア株式会社のニムラナ工場を拡張し、同国北部で生産能力を強化。

〈モノづくり革新〉

 多様化するお客様ニーズ、深刻化する労働力不足、地球温暖化に関する法規制強化といった様々な環境変化に対応するため、生産を自動化しやすい製品仕様を設計段階から追求するとともに、部品・材料の投入から完成品の出荷までをトータルで自動化する生産工程や、CO2削減を実現できる工場の具現化に着手しています。

東北の新工場が稼働開始
2022年7月に稼働した豊田合成東日本株式会社宮城大衡工場は、省エネな電動大型成型機や高効率な塗装設備、協働ロボット、自動搬送機(AGV)、生産工程を一元管理するIoTシステムに加え、太陽光発電を導入するなど、効率的で環境にも配慮したモノづくりを追求しています。

サステナビリティへの取り組み

 当社グループとしてサステナビリティ活動をより一層推進していくために、基本的な考え方とサステナビリティマネジメント体系図を策定しています。サステナビリティ重要課題と中長期事業計画との統合を図った経営に取り組み、時代の変化に即した、社会の持続的な発展と豊田合成グループの持続的な成長を目指していきます。
〔詳細は当社サステナビリティサイトをご覧ください〕


<当期の主な取り組み>

 環境 
CDPの「サプライヤー・エンゲージメント評価」で最高評価を4年連続で獲得
 サプライヤーと連携して、省エネ道場※での好事例の共有等によるCO2削減、スコープ3の排出量の情報開示、気候変動対策などの取り組みを行いました。
 このような取り組みが高く評価され、CDPの「サプライヤー・エンゲージメント評価」で最高評価を4年連続で獲得しました。
※生産工程の省エネ事例等を社内で共有し、エネルギーのムダをなくしていくための教育施設


 社会 
「豊田合成グループ人権方針」を策定
 これまでの人権に関する取り組みをさらに加速させるため、2022年4月に「豊田合成グループ人権方針」を策定しました。
 これに伴い、講演会やオンライン研修などによる従業員への啓発・浸透活動の取り組みや、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権デュー・デリジェンスを開始しました。


 ガバナンス 
●役員勉強会の充実
 大きく事業環境が変化する中で、スピーディーな経営判断を行うために、自動車業界の動向、地政学リスク、経済情勢などをタイムリーに情報把握するための勉強会を計6回開催しました。多様な分野の講師を招へいしてCASE動向などを中心に実施し、社外役員を含む経営層が参加しました。


当期の業績

 当期の売上収益は、米州・アジア等の主要顧客の生産回復や円安による為替影響等により、9,518億円(前年比 14.7%増)と増収となりました。
 利益については、合理化努力や増販効果、原材料価格高騰分の売価反映等により、営業利益は 350億円(前年比 2.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は 160億円(前年比 31.5%減)となりました。

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2023/06/15 12:00:00 +0900
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