1.提案の理由および当該報酬制度を相当とする理由
当社の取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除きます。以下も同様です。)の報酬は、「基本報酬」および「賞与」で構成されていますが、本議案は、当社の取締役を対象に、新たに信託を用いた業績連動型株式報酬制度(以下、「本制度」といいます。)を導入することについてご承認をお願いするものです。なお、その詳細につきましては、下記2.の枠内で取締役会にご一任いただきたく存じます。
本制度は、取締役の報酬と当社の業績および株式価値との連動性をより明確にし、取締役が株価の変動による利益・リスクを株主の皆様と共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的としております。
本議案は、2020年8月20日開催の第78期定時株主総会においてご承認いただきました取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬の限度額(年額300百万円以内。ただし、使用人分給与は含みません。)とは別枠で、本制度による新たな報酬を、2023年5月末日で終了する事業年度から2027年5月末日で終了する事業年度までの5事業年度(以下、「対象期間」といいます。)の間に在任する取締役に対して支給するというものです。
本制度の導入目的は上記のとおりです。また、当社における取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針の内容の概要は事業報告「4.役員の状況」、「(3)取締役の報酬等」「①取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針に関する事項」に記載のとおりでありますが、本議案の承認可決を条件としてその内容を本議案に記載のとおり変更(参考情報として25頁に記載)することを2022年7月14日開催の取締役会において決議しているところ、本議案は当該変更後の方針に沿った報酬等を支給するために必要かつ合理的な内容になっております。以上より、本議案の内容は相当であると判断しております。
なお、第2号議案「取締役(監査等委員である取締役を除く。)6名選任の件」が原案どおり承認可決されますと、本制度の対象となる取締役は5名となります。
※本議案が原案どおり承認可決された場合、当社と委任契約を締結している執行役員に対しても同様の株式報酬制度を導入する予定です。
2.本制度における報酬等の額・内容等
(1)本制度の概要
本制度は、当社が金銭を拠出することにより設定する信託(以下、「本信託」といいます。)が当社株式を取得し、当社が各取締役に付与するポイントの数に相当する数の当社株式が本信託を通じて各取締役に対して交付される、という株式報酬制度です。
なお、取締役が当社株式の交付を受ける時期は、原則として取締役、執行役員その他の当社取締役会が定める地位のいずれでもなくなる時です。
(2)当社が拠出する金銭の上限
本信託の当初の信託期間は約5年間とし、当社は、対象期間中に、本制度に基づき取締役に交付するために必要な当社株式の取得資金として、合計金500百万円を上限とする金銭を対象期間中に在任する取締役に対する報酬として拠出し、下記(3)③のとおり受益権を取得する取締役を受益者として本信託を設定します。本信託は、当社が信託した金銭を原資として、当社株式を、当社の自己株式の処分を受ける方法または取引所市場(立会外取引を含みます。)から取得する方法により、取得します。
注:上記の当社株式の取得資金のほか、信託報酬、信託管理人報酬等の必要費用についても、合わせて信託します。
なお、当社の取締役会の決定により、対象期間を6事業年度以内の期間を都度定めて延長するとともに、これに伴い、本信託の信託期間を延長し(当社が設定する本信託と同一の目的の信託に本信託の信託財産を移転することにより、実質的に信託期間を延長することを含みます。以下も同様です。)、本制度を継続することがあります。この場合、当社は、当該延長分の対象期間中に、本制度により取締役に交付するために必要な当社株式の追加取得資金として、当該延長分の対象期間の事業年度数に金100百万円を乗じた金額を上限とする金銭を本信託に追加拠出し、下記(3)のポイント付与および当社株式の交付を継続します。
また、上記のように対象期間を延長して本制度を継続しない場合であっても、信託期間の満了時において、既にポイントを付与されているものの未だ取締役会が定める地位にあるものがある場合には、これらいずれの地位でもなくなり当社株式の交付が完了するまで、本信託の信託期間を延長することがあります。
(3)取締役に交付される当社株式の算定方法および上限
① 取締役に対するポイントの付与方法等
当社は、当社の取締役会で定める株式交付規程に基づき、各取締役に対し、信託期間中の株式交付規程に定めるポイント付与日において、役位および業績目標の達成度等に応じたポイントを付与します。
ポイントは当社の中期経営計画の対象とする期間(以下、「中期経営計画期間」といいます。)毎に付与するものとし、ポイント付与日は原則として各中期経営計画期間の満了直後の当社の定時株主総会直後に開催される取締役会開催日とします。一つの中期経営計画期間につき当社が取締役に対して付与するポイントの総数は、当該中期経営計画期間に含まれる事業年度数に50,000ポイントを乗じた値を上限とします(なお、「中期経営計画2023」については初年度である2021年度が既に経過していることから、2022年度から2023年度までの期間につき付与するものとし、その総数は上記50,000ポイントに2を乗じた100,000ポイントを上限とします。)。
② 付与されたポイントの数に応じた当社株式の交付
取締役は、上記①で付与されたポイントの数に応じて、下記③の手続に従い、当社株式の交付を受けます。ただし、取締役が自己都合により退任する場合等には、それまでに付与されたポイントの全部または一部は消滅し、消滅したポイント見合いの当社株式については交付を受けないものとします。
なお、1ポイントは当社株式1株とします。ただし、当社株式について、株式分割・株式併合等、交付すべき当社株式数の調整を行うことが合理的であると認められる事象が生じた場合には、かかる分割比率・併合比率等に応じて調整されるものとします。
③ 取締役に対する当社株式の交付
各取締役は原則として取締役、執行役員その他の当社取締役会が定める地位のいずれでもなくなる時に所定の手続を行い本信託の受益権を取得し、本信託の受益者として、本信託から上記②の当社株式の交付を受けます。
ただし、このうち一定の割合の当社株式については、源泉所得税等の納税資金を当社が源泉徴収する目的で本信託において売却換金したうえで、当社株式に代わり金銭で交付することがあります。また、本信託内の当社株式について公開買付けに応募して決済された場合等、本信託内の当社株式が換金された場合には、当社株式に代わり金銭で交付することがあります。
(4)議決権行使
本信託内の当社株式に係る議決権は、当社および当社役員から独立した信託管理人の指図に基づき、一律に行使しないことといたします。かかる方法によることで、本信託内の当社株式に係る議決権の行使について、当社経営への中立性を確保することを企図しております。
(5)配当の取扱い
本信託内の当社株式に係る配当は、本信託が受領し、当社株式の取得代金や本信託に係る受託者の信託報酬等に充てられます。
以 上
<ご参考>
第4号議案が承認可決された場合の取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針
①取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針に関する事項
1.方針決定の方法
当社は、取締役会において、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の個人別の報酬等の内容に係る決定方針(以下、「決定方針」という。)を決議しております。当該取締役会決議にあたり、事前に決定方針の内容を指名・報酬諮問委員会へ諮問し、答申を受けております。
2.役員報酬制度にかかる基本方針
当社の役員報酬制度は、以下の基本方針に基づいて設計・運用を行っております。
①持続的成長と中長期的な企業価値向上の意思向上が図れる制度であること
②ステークホルダーとの利害関係を共有できる内容であること
③会社業績と連動性を備え、役割と責任に応じた報酬体系であること
④優秀な人材を維持・確保できる適切な報酬水準であること
⑤客観性および合理性を備えた設計であり、透明性の高いプロセスを経て決定されること
3.役員報酬制度の概要
1)当社の役員報酬は、役位を細分化した職務等級、職責、業績への貢献度等に応じて総報酬の基準額(以下、「基準総報酬額」という)を定めており、主に国内の上場企業が参加する報酬調査結果の中位の水準をベンチマークとし、当社の業績や従業員給与の水準も考慮しながら、総合的に勘案して決定しております。
2)基準総報酬額は、基本報酬と業績連動報酬により構成し、業績連動報酬は、短期業績に基づき変動するインセンティブ報酬である賞与と中長期業績に基づき変動するインセンティブ報酬である株式報酬で、いずれも取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く。)に対して支給します。また、賞与は、期待される職務を基準に、生み出された成果・業績に対して処遇するものであり、その配分は役位が大きくなるほど大きく設定することにより、高い役位に対してより高い成果・業績責任を求める内容となっております。一方、株式報酬は株価の変動により利益・リスクを株主の皆様と共有することにより中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的として支給いたします。
4.基本報酬(金銭報酬)の個人別報酬等の額の決定に関する方針
基本報酬は、役位毎の報酬テーブルを設定し、この範囲内で、各取締役の担当の範囲・職責や業績の貢献度等(過年度実績を含む)に応じて変動する仕組みとし、基本報酬においても各取締役の成果に報いることができるようにしております。
5.業績連動報酬等ならびに非金銭報酬等の内容および額または数の算定方法の決定に関する方針
業績連動報酬は、賞与(金銭報酬)と株式報酬(非金銭報酬)からなり取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)に対して支給します。
短期インセンティブとしての賞与は、業績指標を取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)の成果を計るにあたり最適であるとの判断から当期純利益とし、一定の計算式に基づき算出しております。また、中長期インセンティブとして、信託を用いた業績連動型の株式報酬制度を導入し、株式交付規程に従い、中期経営計画期間毎に役位および業績に応じたポイントを付与し、所定の要件を満たしたときにポイントに応じた数の当社株式を給付します。
②取締役の個人別の報酬等の内容の決定に係る委任に関する事項
取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬は、取締役会の決議により代表取締役の合議に一任しており、業績連動報酬に係る業績指標の具体的な内容、業績連動報酬の額の算定方法、報酬の種類ごとの割合を含めて決定しております。この委任の理由は、当社全体の業績を俯瞰しつつ各取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く。)の担当事業の評価を行うのに最も適した方法であるからであります。
また、当該決定にあたり、過半数の社外取締役で構成される指名・報酬諮問委員会で決定方針への適合性を含め審議する等の措置を講じており、当該手続きを経て取締役(監査等委員である取締役を除く。)の個人別の報酬額が決定されていることから、その内容が決定方針に沿うものであると判断しております。
なお、監査等委員である取締役については、監査等委員である取締役の協議により決定しております。