事業報告

三菱商事グループの事業概要等

事業内容

三菱商事グループは、国内外のネットワークを通じて、エネルギー、金属、機械、化学品、生活産業関連の多種多様な商品の売買や製造、資源開発、インフラ関連事業、金融事業を行うほか、新エネルギー・環境分野等における新しいビジネスモデルや新技術の事業化、総合商社の持つ機能を活かした各種サービスの提供など、広範な分野で多角的に事業を展開しています。

連結業績

1.概況

平成28年度の収益は、市況悪化に伴う販売数量の減少や為替の影響などにより、前年度を4,998億円(7%)下回る6兆4,258億円となりました。
売上総利益は、一部連結子会社の連結区分変更の影響がありましたが、主に豪州石炭事業における生産コスト改善に加え市況上昇が大きく寄与したことなどにより、前年度を2,297億円(21%)上回る1兆3,286億円となりました。
販売費及び一般管理費は、一部連結子会社の連結区分の変更及び為替の影響などにより、前年度から834億円(8%)負担減の9,326億円となりました。
その他では、有価証券損益が関係会社の経営統合に伴う一過性利益や前年同期に計上した減損の反動などにより、前年度を370億円(80%)上回る833億円となりました。
持分法による投資損益は、前年度に計上した資源関連資産の減損損失の反動などにより、前年度を2,929億円上回る1,175億円となりました。
以上の結果、当期純利益は、前年度を5,897億円上回る4,403億円となりました。

(注) 1.平成28年度事業報告は、国際会計基準に基づき作成しています。
2.事業報告における「当期純利益」(連結)は、「非支配持分を除く、当社の所有者に帰属する当期純利益」を表しています。

2.セグメント別の状況

セグメント別当期純利益(純損失)

(注)地球環境・インフラ事業グループの環境関連事業については、平成28年度より、インフラ関連事業と同じく、営業グループとして経営管理を行っています。これに伴い、従来「その他、調整・消去」に含めていた環境関連事業は「地球環境・インフラ事業」に含めて表示しており、前年度のセグメント情報も組替再表示を行っています。

地球環境・
インフラ事業グループ
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地球環境・インフラ事業グループは、電力、水、交通や、その他産業基盤となるインフラ分野における事業及び関連する取引を核として、次世代電池の開発や水素エネルギーなどの環境関連事業にも取り組んでいます。

当期純利益の推移(単位:億円)

【主な変動要因】

〈増加〉・海外発電事業における持分利益の増加

〈減少〉・前年度に計上した一過性利益の減少(前年度:北海油田事業における債務保証損失引当金の振戻し益の計上)
・千代田化工建設(株)の持分損益の減少

米国分散型太陽光発電事業会社への出資参画

平成28年8月、米国の発電事業統括会社であるDiamond Generating Corporation(三菱商事100%出資)を通じて、米国の分散型太陽光発電事業者であるNexamp社に出資参画しました。三菱商事は同社の筆頭株主となり、同社の経営に参画し、米国における成長分野である分散型太陽光発電事業に取り組むとともに、今後の事業拡大と更なるビジネスモデルの変革を目指します。

Nexamp社保有の太陽光発電パネル
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新産業金融事業グループ
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新産業金融事業グループは、金融手法を駆使しながら、企業投資事業、リース事業、不動産事業、物流事業を多角的に展開しています。

当期純利益の推移(単位:億円)

【主な変動要因】

〈減少〉・中国不動産事業・航空機関連事業・リース事業における持分利益の減少

ミャンマー 大規模複合再開発事業に着手

平成29年2月、日本・ミャンマー両国の政府関係者、現地大手企業Serge Pun & Associates Ltd.グループ、三菱地所(株)、(株)海外交通・都市開発事業支援機構などと、最大都市ヤンゴンの中心部でYoma Centralの起工式を開催し、開発に着手しました。本事業はオフィス、住宅、商業、ホテルなどを含む延床面積20万m²強の同国初となる近代的な大規模複合都市開発です。急速な発展を遂げる同国に、付加価値の高い都市インフラを提供し、更なる貢献を目指します。

Yoma Central完成イメージ
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エネルギー事業グループ
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エネルギー事業グループは、天然ガス・石油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業、原油・石油製品・炭素製品・LPGなどの販売取引、新規エネルギー事業の企画開発などを行っています。

当期純利益(純損失)の推移(単位:億円)

【主な変動要因】

〈増加〉・資源関連資産における減損計上額の前年度比減
・シェールガス事業再編に伴う一過性利益の計上
・アジアE&P事業における株式売却益の計上

インドネシア タングーLNG拡張プロジェクト最終投資決定

平成28年7月、三菱商事が携わるインドネシアのタングーLNG事業において、同事業拡張プロジェクトの最終投資決定を行いました。本プロジェクトは、現在年間760万トンを生産する液化設備二系列に、年間380万トンの生産能力を持つ第三系列を増設するもので、平成32年の生産開始を目指します。本プロジェクトを通じて、増加が予想される同国のエネルギー需要を支えるとともに、日本へのエネルギーの安定供給にも貢献します。

タングーLNG事業の液化設備
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金属グループ
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金属グループは、薄板・厚板などの鉄鋼製品、石炭・鉄鉱石などの鉄鋼原料、銅・アルミなどの非鉄金属原料・製品の分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。

当期純利益(純損失)の推移(単位:億円)

【主な変動要因】

〈増加〉・資源関連資産における減損計上額の前年度比減
・豪州原料炭事業における生産コスト改善、市況上昇に伴う持分利益の増加

コスト削減と資産の入替えによるポートフォリオの強靭化

金属グループでは、事業環境の変化を踏まえ、優良資産のコスト削減などを通じた競争力向上、及び一部資産の入替えによるポートフォリオの強靭化に取り組んでいます。コスト削減については、豪州原料炭事業(BMA)を中心に継続的に施策を実行し、ピーク時と比べて約4割のコスト削減効果が出ています。また、既に実行したウラン・PGMなどの一部資産に加え、平成28年4月、インドネシアのウェダベイニッケルプロジェクトから撤退するなど、資産の入替えを進めています。

豪州原料炭事業(BMA)の炭鉱現場
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機械グループ
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機械グループは、工作機械、農業機械、建設機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器、自動車などの幅広い分野において、販売、金融、物流、投資などを行っています。

当期純利益の推移(単位:億円)

【主な変動要因】

〈減少〉・船舶事業における減損損失の計上

インドネシア 自動車生産・販売事業の再編

平成28年10月、三菱自動車工業(株)(三菱自動車)、三菱ふそうトラック・バス(株)(三菱ふそう)及びインドネシアにおける事業パートナーのクラマユダ社とインドネシアの自動車事業を再編することについて合意しました。平成29年4月より三菱自動車、三菱ふそうのブランド別に事業を分割し、効率的な運営体制を確立することで、今後も成長が期待されるインドネシアの更なる事業拡大を図るとともに、同国の経済発展に貢献していきます。

三菱自動車クラマユダインドネシア工場
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化学品グループ
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化学品グループは、原油、天然ガス、鉱物、植物、海洋資源などより生産されるエチレン、メタノール、塩といった工業製品用の原料から、プラスチック、電子材料、食品素材、肥料や医農薬などの製品まで、幅広い分野において、製造、販売、開発などの事業を展開しています。

当期純利益の推移(単位:億円)

【主な変動要因】

〈減少〉・市況悪化及び円高に伴う石化関連事業などにおける持分利益の減少

食品化学事業に注力

化学品グループでは、ライフサイエンス分野を成長の柱の1つと捉え、食品化学事業に注力しており、三菱商事ライフサイエンス(株)(三菱商事100%出資)傘下の興人ライフサイエンス(株)を通じ、脂質代謝促進・抗酸化・美肌効果を有する健康素材であるグルタチオンを製造・販売しています。今後も、食と健康の市場において存在感のある事業を展開すべく、より一層の事業領域の強化・拡充を目指していきます。

グルタチオンの製造現場
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生活産業グループ
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生活産業グループは、衣・食・住に関わる「生活必需品」を消費者に提供し、日々の生活基盤を支える事業をグローバルに展開しています。川上の原料調達から川下の小売に至る各事業領域において、消費者のニーズを捉えた安心・安全な商品・サービスの提供に取り組んでいます。

当期純利益の推移(単位:億円)

【主な変動要因】

〈増加〉・鮭鱒養殖事業における市況回復などによる利益の増加
・(株)ローソン子会社化及び食肉事業の関係会社の経営統合に伴う一過性利益の計上

ローソンとの連携強化

平成29年2月、株式公開買付けの実施により、(株)ローソンを子会社化しました。三菱商事は広範な商品分野において、原料調達・製造・流通・リテイルまでの幅広い事業を展開しており、全国約13,000店舗の消費者接点を持つ同社との連携深化により、消費者の皆様に喜ばれる商品力・サービス力の強化に取り組んでいます。同社の企業価値向上に向けて、三菱商事が持つ国内外のあらゆるリソースを提供していきます。

ローソンの店舗イメージ
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ビジネスサービス部門
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ビジネスサービス部門は、三菱商事グループ及び顧客のビジネスに必要なIT機能の提供と、そのための投資などを行っています。国内外の事業パートナーと連携し、グローバルな対応力と競争力のあるITサービスを確保・提供するとともに、ビジネスにおけるデジタル活用への取組みを支援し、三菱商事グループ及び顧客の継続的な企業価値向上や事業の拡大に貢献します。
※平成29年度よりコーポレートスタッフ部門に移管されます。

ビジネスサービス部門の取組み

(株)MCデータプラスの会社ロゴ

クラウドサービス事業

三菱商事の建設業界向けクラウドサービス事業を分割し承継させた(株)MCデータプラス(三菱商事約74%出資)では、3万社・1万現場以上で利用される業界最大のクラウドサービスを展開するとともに、ビッグデータ解析やデータ分析コンサルティングを新たな事業領域として加え、企業向けデータ活用プラットフォームサービスを提供しています。ビッグデータの活用が注目される中、同社のデータ分析・活用ノウハウを活かしたビジネスを推進していきます。

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