当社グループは、当社、連結子会社8社(FCTI, Inc.、PT. ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONAL、株式会社バンク・ビジネスファクトリー、株式会社セブン・ペイメントサービス、Pito AxM Platform, Inc.、株式会社セブン・グローバルレミット、株式会社ACSiON、株式会社Credd Finance)及び関連会社4社(株式会社セブン・ペイ、TORANOTEC株式会社、TORANOTEC投信投資顧問株式会社、株式会社メタップスペイメント)の計13社で構成され、国内外における各事業を推進しております。
国内事業においては、基幹事業であるATMプラットフォーム事業に加え、決済口座事業を行っております。また、海外事業においては米国、インドネシア、フィリピンでATMサービス展開を行っております。
ATMプラットフォーム事業では、セブン&アイHLDGS.のグループ各社のセブン‐イレブン、イトーヨーカドー等の店舗をはじめ、空港や駅、金融機関店舗等にATMを設置し、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、JAバンク、JFマリンバンク、商工組合中央金庫、証券会社、生命保険会社、クレジットカード会社、消費者金融会社、資金移動業者等多くの金融機関・事業会社と提携することで、原則24時間365日稼働する利便性の高いATMネットワークを介して多くのお客さまにATMサービスを提供する事業を展開しております。また、決済口座事業では普通預金や定期預金、ローンサービス、海外送金サービス、デビットサービス等の身近で便利な口座サービスに加え、当社グループの知見を活かした金融サービスを提供しております。
海外における当社連結子会社を通じ、米国、インドネシア、フィリピンにおいて現地の決済ニーズに即したATMサービスを提供する事業を展開しております。
以上のように、多様化する社会の変化を大きなビジネス機会と捉え、社会価値・企業価値双方の持続的な創出を目指し、事業・サービスの多角化に向けた取組みを推進しております。
わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響により、サービス消費をはじめとする個人消費や企業活動は著しく停滞し、厳しい状況が続きました。収束時期が未だ見通せない中、一部地域では感染力が強い新型コロナウイルス感染症(変異株)による感染再拡大もみられ予断を許さない状況で推移しております。
❶ 国内事業セグメント
・ATMプラットフォーム事業
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による厳しい状況が続きましたが、各種キャッシュレス決済を「安心・安全」に利用する手段として、一定の認知度を獲得した当社ATMを利用した各種キャッシュレス決済への現金でのチャージ取引件数が順調に増加したことにより、ATM総利用件数は前年同期とほぼ同水準で推移いたしました。また、総務省が実施するマイナポイント事業において申込支援端末を提供する民間事業者として採択され、2020年8月より当社ATMにて、マイナポイントの申込みができるようになりました。従来の概念に捉われないATMの価値創造を図る「ATM+(プラス)の世界」の実現を着実に進めております。
2021年3月末現在のATM設置台数は25,676台(2020年3月末比1.8%増)、当連結会計年度のATM1日1台当たり平均利用件数は90.5件(前連結会計年度比1.7%減)、ATM総利用件数は836百万件(同1.5%減)となりました。
2021年3月末現在の提携金融機関等は、銀行122行、信用金庫252庫、信用組合124組合、労働金庫13庫、JAバンク1業態、JFマリンバンク1業態、商工組合中央金庫1庫、証券会社9社、生命保険会社7社、その他金融機関・事業会社等83社の計613社(注)となりました。なお、ライフスタイルの変化、スマートフォンの普及等、時代の変化に対応した第4世代ATMの設置を2019年9月より開始いたしました。順調に入替設置を推進しており、2021年3月末時点での第4世代ATM設置台数は6,020台となりました。
JAバンク及びJFマリンバンクについては、業態としてそれぞれ1つとしております。
・決済口座事業
2020年4月に提供を開始したスマートフォンアプリ「Myセブン銀行」は、オンラインでの本人確認に対応し最短10分で口座開設ができる即時口座開設サービスとして高い評価をいただき、2021年3月末現在、個人のお客さまの預金口座数は2,364千口座(2020年3月末比8.4%増)と順調に増加いたしました。個人向け預金残高は5,190億円(同13.1%増)、個人向けローンサービスの残高は243億円(同4.3%増)となりました。
また、外国人居住者の日本における生活利便性向上のため金融・生活を総合的にサポートすることを目指し、株式会社新生銀行との合弁会社である当社連結子会社の株式会社Credd Finance(当社出資比率60%)が株式会社アプラスと共同で2020年8月には、外国人居住者向けクレジット「Sendy Credit Card」、2020年10月には外国人居住者向け目的別ローン「Sendy Personal Loan」を販売、2021年3月には当社連結子会社の株式会社セブン・グローバルレミットがスマートフォンアプリによる海外送金サービス「Sendy」の提供を開始いたしました。
当社は社会の変化に伴い顕在化する課題解決への貢献をビジネス機会と捉え、これまで培ったノウハウに加え、外部企業とも連携し、さまざまなお客さまのニーズに応じた新たな金融サービスを提供することを目指してまいります。
❷ 海外事業セグメント
・米国
当社連結子会社のFCTI, Inc.は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、2020年3月よりATM利用件数に減少がみられましたが、2020年5月以降、経済活動再開や失業保険給付のATMでの受取り等の動きを主因に前年同期を大幅に上回るATM利用件数となり、当期は前年同期とほぼ同水準の利用件数となりました。米国セブン‐イレブン店舗以外に設置している低採算ATMを計画的に整理し、2020年12月末時点でATM設置台数は9,368台(2019年12月末比13.9%減)、うち米国セブン‐イレブン店舗内設置ATMは8,553台(同1.0%増)となりました。
また、FCTI, Inc.の連結対象期間(2020年1~12月)の業績は、低採算ATMの計画的な整理、政策金利の引下げによる資金調達費用の低下等により経常収益227.0百万米ドル(前年度比10.6%減)、経常利益22.8百万米ドル(同263.2%増)、当期純利益24.6百万米ドル(同268.5%増)となりました。
・アジア
インドネシアにおける当社連結子会社PT. ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONALは、コロナ禍においても堅調に事業を推進し、2020年12月末時点のATM設置台数は750台(2019年12月末比275.0%増)と大幅に増加しております。また、フィリピンにおける当社連結子会社Pito AxM Platform, Inc.は、2021年2月にフィリピン国内のセブン‐イレブン店舗へATMを設置し、ATM運営事業を開始いたしました。
❸ 経営成績
当連結会計年度の当社連結業績は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による個人消費停滞や外出自粛、生活様式の急激な変化等によりATM利用件数が減少したことを主因に経常収益137,267百万円(前連結会計年度比7.5%減)、経常利益35,640百万円(同10.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益25,905百万円(同0.9%減)となりました。
なお、セブン銀行単体業績は、経常収益111,672百万円(前年度比7.1%減)、経常利益34,593百万円(同23.1%減)となりました。また、当社を取り巻く環境及び今後の業績の見通し等を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を取り崩すことといたしました。個別決算において繰延税金資産の一部7,636百万円を取り崩し、同額を法人税等調整額に計上したことにより、当期純利益15,825百万円(同42.8%減)となりました。
❹ 資産、負債及び純資産の状況
総資産は1,197,158百万円となりました。そのうちATM運営のために必要な現金預け金が937,945百万円と過半を占めております。その他、主に為替決済、日本銀行当座貸越取引等の担保として必要な有価証券が78,154百万円、提携金融機関との一時的な立替金であるATM仮払金が83,681百万円となっております。
負債は962,482百万円となりました。このうち主なものは預金であり、その残高は(譲渡性預金を除く)782,658百万円となっております。このうち、個人向け普通預金残高が383,290百万円、個人向け定期預金残高が135,722百万円となっております。
純資産は234,676百万円となりました。このうち利益剰余金は168,694百万円となっております。