当社は2001年の創業以来、「いつでも、どこでも、だれでも、安心して」ご利用いただけるATMサービスを追求することで着実かつ堅実に成長を実現してまいりました。しかし、デジタル化、キャッシュレス化の流れが進行する中で、お客さまの生活様式や企業に求める価値も変化しつつあります。一方で、気候変動による自然災害のリスクは地球規模で高まりつつあり、持続可能な社会を実現するための企業経営の在り方も大きく問われています。
こうした大きな事業環境の変化に対応するため、当社は2021年、【お客さまの「あったらいいな」を超えて、日常の未来を生みだし続ける。】というパーパス(存在意義)を策定するとともに、このパーパスを体現し、持続的成長を果たすための中期経営計画(2021年度~2025年度)を公表いたしました。
当社グループは、これらの環境変化を更なる変革と飛躍のチャンスと捉えており、以下の課題に対処することにより、当社グループの持続的成長を実現し、お客さまや社会に必要とされる企業であり続けたいと考えております。
<国内事業セグメント>
■ATMプラットフォーム戦略
・これまで当社が中核事業としてきたATMの現金プラットフォーム事業は、キャッシュレス化の進展などにより、大きな転換点を迎えておりますが、従来から取り扱ってきた金融機関の現金入出金取引に加え、QRコード決済等事業会社の現金チャージ取引が大きく増加したことなどにより、当社のATM年間総利用件数は創業以来、過去最高となりました。当社は、決済環境の変化は新しいATMサービスが生まれるチャンスであるとの認識のもと、デジタル化、キャッシュレス化の流れの中でも、リアルとバーチャルの貴重な接点として、引続きATMを通じて、お客さまに安心で便利なサービスを提供する取組みを続けてまいります。
・2019年9月に設置を開始し、入替を進めてきた第4世代ATMは全台数のおよそ5割に達しております。第4世代ATMで新たに実装した機能(本人認証機能、スキャニング機能等)を活用し、金融機関などの諸手続をATMで受け付けるサービスを本格的に展開してまいります。今後も、こうした諸手続受付サービスが可能な対象エリアの拡大及びサービスの拡充を図り、セブン銀行ATMがサービスプラットフォームとして、あらゆる手続き・認証の窓口となる世界の実現を目指してまいります。
■リテール戦略
・金融リテール分野では従来の金融機関等に加え、Fintech企業等様々な企業がひしめき合い、金融サービスのアンバンドリング化・多様化が進んでいます。このような中、当社は、2,000万人以上の会員数を誇る「7iD」との連携を始めとした、セブン&アイHLDGS.グループとの連携強化を図るとともに、流通グループ発祥の銀行ならではのユニークな金融商品を開発・提供する取組みを拡大してまいります。
・日本に居住する外国人居住者が増加する中、当社グループは、外国人居住者向けに、海外送金、クレジットカードや保険商品など、複数の金融サービスを提供してまいりました。今後も、外国人居住者向け金融サービスを一貫して提供することで、誰もが暮らしやすい社会を目指し、多文化共生の実現に貢献してまいります。
■法人戦略
・当社が創業来蓄積し、強みとしている銀行品質の事務処理能力や安心・安全な資金管理・資金移動の仕組み、認証などのセキュリティの高いテクノロジーについて、金融機関や一般事業者に提供するサービスの拡大を図ってまいりました。昨今、進化するDXの技術をいち早く取り入れ、外部事業者とも協力しながら事業規模の拡大に努めてまいります。
<海外事業セグメント>
■海外戦略
・米国では、米国金利の上昇により資金調達コストが増加しておりますが、ATM機内現金の圧縮対策などにより金利市場の影響を最小化する手段を講じてまいります。同時に米国セブン‐イレブンに設置している約8,700台のATMネットワークを活用し、新たな金融サービスの提供と高品質な顧客体験を通じて、ATMや設置先店舗の利用機会の拡大を図るとともに、消費者ニーズに合致した金融サービスを提供することで、米国市場での顧客基盤の強化と事業の多角化を目指してまいります。
・アジアでは、インドネシア・フィリピンの2カ国でATMサービスを展開し、ATM設置台数拡大を加速しております。両国では、利用者にとって日常生活に必要なATMが十分に設置されていないため、引続き高い需要が見込まれます。両国におけるATMネットワーク網の整備を進め、その後、ATMを入り口とした多層的な金融サービスの実現に取組んでまいります。
<持続可能な社会の実現>
・当社グループはサステナビリティを長期的な経営戦略の根幹と位置付け、2021年度には「サステナビリティ推進基本方針」を制定するとともに「サステナビリティ委員会」を設置し、全社的な推進体制の見直しを図っております。2019年度に設定した「5つの重点課題」(注)では、事業活動を通じた環境・社会課題の解決と事業競争力強化の両立を目的とし、これまでの取組みを発展させてまいります。
(注)5つの重点課題
・安心・安全な決済インフラの提供
・新しい金融サービスを通じた生活創造
・誰もが活躍できる社会づくり
・環境負荷の軽減
・多文化共生の実現
当社グループを取り巻く環境は大きく変化しております。当社グループが創業から大事にしてきた常にお客さまの想いに寄り添い、お応えする姿勢はこれからも変わることはありません。
「近くて便利」・「信頼と安心」を実現するユニークな銀行グループとして、独創的で新しい価値を創造するため挑戦を続けてまいります。
株主の皆さまにおかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。