事業の経過及び成果

1. 企業集団の現況

事業分野の概況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が一進一退を繰り返す中、活動制限の緩和による持ち直しの動きが見られました。また、混沌とする国際情勢により、景気の先行きは不透明な状況にあります。
 このような状況下、当社グループにおきましては、次の10年に向けた強固な事業基盤の確立を視野に、2020年度を初年度とする「新・第四次中期経営計画」(3ヵ年)の2年目として、以下の「営業基盤の強化」と「経営基盤の強化」に向けた取り組みを推進いたしました。

① 営業基盤の強化

■ 国内リース事業分野

オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社との業務提携契約に基づき、太陽光発電向けパワーコンディショナの定額貸出サービス「POWER CONTINUE」の提供を開始いたしました。オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社が機器の交換工事・保守等を担い、当社が機器に関する金融・サービス及びサブスクリプション統合プラットフォーム「TCplats」を提供いたします。発電効率の高い機器への入替を促進する本サービス提供を通じ、太陽光発電の長期稼働に貢献し、気候変動、環境への取り組みを通じたクリーンエネルギー普及に注力してまいります。
伊藤忠商事株式会社と、脱炭素社会の実現に寄与する分散型電源並びに関連機器のサブスクリプションサービスを提供するため、共同で株式会社IBeeTを設立いたしました。昨今の蓄電池市場においては、再生可能エネルギーの普及や自然災害に対するレジリエンス向上・停電対策の観点から、蓄電システムのニーズ拡大が見込まれており、家庭用蓄電システム「Smart Star」をサブスクリプションサービスで提供いたします。今後も新たなエコシステム及びサーキュラーエコノミー(循環経済)を創出する等、脱炭素社会と分散型エネルギー社会の実現に向けて貢献してまいります。
株式会社ふくおかフィナンシャルグループとリース事業に関する資本業務提携に関する契約を締結いたしました。今後、傘下の十八総合リース株式会社(2022年4月1日付で商号をFFGリース株式会社へ変更)を持分法適用関連会社として、ふくおかフィナンシャルグループの強固な顧客基盤と当社が有するリース等の多様な金融・サービスノウハウを融合することにより、株式会社福岡銀行や株式会社熊本銀行のお取引先も含め、多様なニーズへの対応並びに持続的な地域社会の発展に貢献してまいります。

■ 国内オート事業分野

電気自動車のリース・レンタル事業の拡大を図るため、バッテリーの診断評価・リユース事業等を展開するMIRAI-LABO株式会社と資本業務提携契約を締結いたしました。当社グループ会社である日本カーソリューションズ株式会社、ニッポンレンタカーサービス株式会社及び株式会社オリコオートリースを中心に、MIRAI-LABO株式会社の使用済みバッテリー診断評価技術を活かした電気自動車(乗用車、トラック等)のリース・レンタルビジネスを一層強化し、今後EVバッテリーのリユース・リサイクルなど、環境に配慮したモビリティサービスの拡充・提供にも注力してまいります。
株式会社ゼンリンの長崎県長崎市での観光型MaaSの実証実験において、株式会社ゼンリン、ニッポンレンタカーサービス株式会社及び当社による協業を開始いたしました。本協業では、郊外エリアの魅力ある観光スポットへの移動の利便性向上と旅行者の観光エリアの周遊活性化を推進するため、レンタカーを活用する等、各社の強みを掛け合わせたモビリティサービス分野における取り組みを推進してまいります。

■ スペシャルティ事業分野

NTTアノードエナジー株式会社、三井住友信託銀行株式会社及び三井住友トラスト・インベストメント株式会社と共同で国内の再生可能エネルギー事業への投資を目的としたファンドを設立しました。各社が有する再生可能エネルギーの開発・運営に関する知見を結集し、環境問題等の社会的課題の解決に取り組むことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
連結子会社であるAviation Capital Group LLCは、エアバス社に対しA220 Family 20機、A320 neo Family 40機の計60機を発注いたしました。今回発注した機体は、前世代機に比べ燃料消費量を20~25%削減できる運航コストに優れたナローボディー機で、2024年から2028年の間に納入される予定です。今後も、短・中距離路線の増加を背景にナローボディー機の需要拡大が見込めることから、燃費効率の高い次世代機への更新を推進し、航空業界の発展並びに世界のCO2排出量削減に貢献してまいります。
「内幸町一丁目街区(東京都千代田区内幸町一丁目)」の開発を推進する事業者10社の1社として、日比谷公園と一体となった比類なき街づくり「TOKYO CROSS PARK構想」に参画します。当街区は都心最大級の延床面積110万㎡の開発プロジェクトであり、日比谷公園とつながるとともに、オフィスや商業施設、ホテル、住宅機能等を備える予定です。当社は他の9社と共創し、街づくり、デジタル、カーボンニュートラル等それぞれの分野の強みをかけあわせ、新たな価値創造や社会的課題解決を推進する、次世代スマートシティを実現してまいります。

■ 国際事業分野

NTTグローバルデータセンター株式会社との協業第一弾となるインド・ムンバイにおけるデータセンター事業運営を2021年8月に開始いたしました。インドは、政府主導による5Gサービスの推進及びeコマース市場の成長を背景としたデータ使用量の急増が予想されており、同国におけるデータセンターの市場規模は急成長する見通しです。データセンター事業は、デジタルインフラの整備等につながる社会的意義の高い取り組みであり、今後もNTTグループとの協業を通じ、社会的課題を解決することにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
環境省及び公益財団法人地球環境センター(GEC)が募集した「2021年度二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)資金支援事業のうちエコリース事業」において、当社が代表事業者として応募した「タイ/食品工場への1.85MW太陽光発電システムの導入」他、2案件が採択されました。採択された案件は、2020年度に制定された「JCMエコリース事業」として、タイでは初めての採択となります。今後も、当社グループの海外ネットワークと付加価値の高い金融・サービス機能を活用し、ASEAN各国におけるクリーンエネルギーの普及など社会的意義の高い取り組みを推進してまいります。

② 経営基盤の強化
〔財務基盤の充実と強化〕

・株式会社格付投資情報センター(R&I)より取得している当社の格付「A」の方向性が、安定的からポジティブに変更されました。
・S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社より取得している格付「BBB」のアウトルックが、ネガティブから安定的に変更されました。
・当社はこれまで、再生可能エネルギー事業の拡大並びに従業員エンゲージメントの向上につながる、ESGファイナンスの一つであるサステナビリティ・リンク・ローンによる調達を推進してまいりました。サステナビリティ・リンク・ローンは、借り手の経営戦略に基づくサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンスターゲット(SPTs)を設定し、借入条件とSPTsを連携させる調達手法で、調達累計額は2,000億円を超えました。当社は今後ともESGファイナンスによる調達を推進することにより、環境・社会課題の解決や持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

〔その他経営基盤の強化〕

・金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明いたしました。「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて気候変動への対応を重要な課題と認識しており、サステナビリティ経営の実践にあたり、マテリアリティ(重要課題)を定めています。脱炭素社会への貢献は重要課題の一つであり、TCFDへの賛同は当社の気候変動への対応を加速するものです。今後ともTCFDの提言に沿って気候変動が当社のビジネスに及ぼす影響の分析を進め、中長期の視点から経営戦略に反映させるとともに、気候関連の適切な情報開示に取り組んでまいります。
・事業領域の拡大に伴い、投資案件が増加するとともに付随するリスクも複雑化しており、多様化する投資リスクを適切にコントロールし事業ポートフォリオの最適化を目的として、投資マネジメント委員会を設置し、投資採択基準の明確化やモニタリングプロセスの構築等、投資管理の枠組みの策定・運用を開始いたしました。今後は、新たな枠組みの下で、投資に係るリスク管理の一層の高度化に向けた取り組みを強化してまいります。
・従業員が失敗を恐れず新しい取り組みにチャレンジする新規事業提案制度『TC Biz Challenge』を活用し、事業性ビジネス推進に向けた人材の育成に取り組んでまいります。第一回『TC Biz Challenge』では全応募36件の内、1件が実証実験フェーズへ進捗しております。
・「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021」に当該制度創設以来7年連続で選定されました。DX戦略の構築を担うDX戦略部を新設のうえ、DXに係る戦略・経営目標の策定を行うなど、取り組みを一層強化してまいりました。ニッポンレンタカーサービス株式会社では、年間10万件以上のお客さまアンケートについて、AIを活用したデータ分析・自然言語処理により解析し、お客さまサービスの着実な向上と安全・安心なレンタカーの提供につなげています。加えて、利便性の高いスマートフォン向けアプリの開発・予約Webページのリニューアル等、新商品・サービスの開発や既存サービス改善にも取り組み、モビリティビジネスにおけるDX実現に注力してまいります。

 業績につきましては、売上高は前期比778億円(6.5%)増加し1兆2,780億円、売上総利益は、航空機事業において減損損失が発生するなど減益となったものの、国際事業や国内オート事業の増益により前期比61億円(3.0%)増加し2,071億円となりました。
 販売費及び一般管理費は、前期比6億円(0.5%)増加し1,244億円となりました。
 営業外損益は、前期比69億円(725.0%)増加し78億円の利益となりました。主な要因は、持分法投資利益の増加であります。
 これらにより、経常利益は前期比124億円(15.9%)増加し905億円となりました。
 また、特別損益は投資有価証券売却益の減少等により前期比29億円の利益減少となる11億円の損失、法人税等は前期比72億円(30.8%)増加し307億円、非支配株主に帰属する当期純利益は前期比12億円(16.4%)増加し84億円となりました。
 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比11億円(2.3%)増加し503億円となりました。

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2022/06/27 17:00:00 +0900
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