第65期 定時株主総会 招集ご通知 証券コード : 9861
株式会社吉野家ホールディングス① 今までにない「新しいビジネスモデル」創り
当社グループは、長期ビジョン「NEW BEGINNINGS 2025」の実現に向けて、現在のビジネスモデルに代えて長期的に運用できる「新しいビジネスモデル」の構築を課題としています。既存の外食産業の範疇を超えるような市場創造・価値提供を行うモデル創りは、すでに素材開発や商品の提供方法の改善など、従来とは一線を画した踏み込みを開始しています。今後はその踏み込みを一層強めていくと同時に、さらに突出した「革新」による飛躍を図っていきます。
② 「飲食業の再定義」を実現するための組織づくりと取組みについて
「飲食業の再定義」を実現していくため、よりスピーディーな意思決定が可能となるグループ経営体制への見直しを行っていきます。全てのグループ本部の機能発揮を最大化し経営効率を高めて、海外を含めたグループ全事業への能動的な貢献・関与・統制を強化していきます。グループ間での人事交流の活発化およびグループ商品本部による仕入れの共通化も引き続き行っています。海外各地域においては、現地経営体制の確立および現地での意思決定を可能にするエリアと部分的に日本で意思決定するエリアを明確にすることで、今後のグローバル展開を一層加速していきます。
また、「飲食業の再定義」の実現のため、ダイバーシティ(人材構成の多様化)の推進も引き続き行っていきます。
③ 「ひと・健康・テクノロジー」の実践へ
当社グループでは、2025年を最終年度とする長期ビジョン「NEW BEGINNINGS 2025」の実現に向け「ひと・健康・テクノロジー」をキーワードとし、これまでの飲食業になかった新しい価値創造にチャレンジしています。
「ひと」に関わる取組みでは、「ひと」を活かすことで生まれる価値を追求し、その価値をお客様に提供していきます。グループ管理本部ではテレワークや出張に代わるWEB会議の促進といった新しい生活様式への対応を含めた本社機能の業務改革に取組み、同時に従業員の働き方改革も進めていきます。「健康」に関しては、従業員の心と体の健康を経営の柱とする「ウェルネス経営」の一環として、従業員の健康リテラシーの向上と浸透を図っていきます。また、今後のメニュー開発は、「健康的」から「健康」そのものの追求へ取組みを深化させていきます。
最後に「テクノロジー」に関わる取組みでは、複雑な店舗オペレーションを簡便化・効率化する設備や機器を導入し、職場環境の改善を図ることで、労働力の確保と生産性の向上に繋げていきます。
④ グループ中期経営計画について
当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う社会経済活動への影響の継続、テレワークの恒常化やデジタル技術の加速的な進歩、急激なインフレの進行に伴う原材料価格の高騰、地政学的リスクの顕在化、地球温暖化による気候変動など、以前にも増して大きく変容しております。かかる中、生活インフラとして世の中に「食」の楽しさと豊かさをお届けし続けるという考えのもと、2023 年2月期から2025 年2月期までの3年間を期間として、「進化」と「再生」をキーワードに中期経営計画を策定しました。
2年以上におよぶコロナ禍への対応とレジリエンスを通じて、当社グループは「構造変化」に取組んできました。この変化をさらに増進させるべく、中期経営計画の中では各ブランドの業態進化、成長事業の強化、コスト効率化、および財務基盤の安定化を軸に、「既存事業の収益性の拡大」と「投下資本効率の向上」を特に重要な課題として位置付けています。堅固な事業基盤の確立を着実に推し進めることで、当社グループの経済的価値と社会的価値の一層の向上に取組んでいきます。
⑤ 今後の見通し
2023年2月期(翌期)においては、国内は3月迄まん延防止等重点措置の影響を受けていますが、解除後には人流の戻りと共に店内飲食が順次回復する前提の下、売上高が2022年2月期(当期)を上回り、新型コロナウイルス感染症拡大前の2020年2月期(前々期)の水準まで回復すると見込んでいます。国内吉野家は前期に引き続き堅調に推移する売上計画に加え、大きな影響を受けてきた商業施設・都市部に出店しているはなまるやラーメン業態は、人流の戻りと共に大幅な回復を見込んでいます。海外は各々感染症の拡大状況が異なっていますが、アメリカは引き続き順調に推移し、アセアンの売上高は回復する一方で、感染症再拡大への厳格な対策を継続している中国は厳しい状況が続くと見込んでいます。
引き続き感染症対策を行いながら、各セグメントにおいて、店内飲食を獲得するための目的来店を促す商品導入や各種キャンペーンを積極的に展開し、今後も高止まりするテイクアウト、デリバリーの需要を更に獲得するため、商品開発に加えデジタルツールの機能強化、積極的な販促を展開し客数回復に努めます。加えて、中食・内食市場に切り込むため、国内外で冷凍牛丼販売の拡大に向けた生産体制の強化、中国工場への設備投資を行い、更なる需要獲得に取り組んでいきます。
これらの予見の下、2023年2月期(翌期)の売上高は感染症拡大前の2020年2月期(前々期)に対し、通期100%に回復すると仮定をおいて算出しました。(※)
損益面については、2020年2月期(前々期)の売上高に対し90%の水準で利益を創出できる構造づくりを掲げ活動した結果、2022年2月期(当期)は通期で営業黒字化を達成しました。2023年2月期(翌期)は、売上高の回復による増益効果はあるものの、未曾有の原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇影響により営業利益は34億円と2020年2月期(前々期)の水準を下回ると見込んでいます。
出店につきましては、依然として感染症の影響が継続している中、立地の見極めには一定の時間を要すると考えていますが、国内では吉野家のスクラップ&ビルドや経済活動再開が進むアセアンおよび中国の一部エリアを中心に出店を再開しています。また、国内吉野家の新しいモデル「クッキング&コンフォート」への改装も再開し、大幅に改装店舗を増やしていきます。
なお、感染症拡大による大規模な行動制限や再度の緊急事態宣言の発令などによる大幅なダウンサイドリスクは織り込んでいません。
(※):株式譲渡を実施したアークミール社、京樽社の影響を除いて試算しています。