事業の経過及びその成果

 当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の減速の影響を受けつつも好調な企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調を持続しておりました。しかしながら、年明けから新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し始めた影響により個人消費が急激に落ち込み、売上の減少や生産活動の停滞から企業収益が一転して悪化するなど、景気は年度末にかけて混沌とした状況となりました。
 建設業界におきましては、住宅建設は弱い動きが続き、企業の建設投資も前年度の消費税増税前の駆け込み需要による反動減となりましたが、公共投資は底堅く推移し、豊富な手持工事を背景に工事出来高は増加基調が継続するなど、総じて事業環境は良好な状況にありました。
 当社グループはこのような状況のもと、2018年3月に策定した①建設工事請負事業の維持・拡大、②新たな事業の創出、③他社との戦略的連携を戦略の柱とする『熊谷組グループ中期経営計画(2018~2020年度)~成長への挑戦~』に熊谷組グループ一丸となって取り組み、さらなる成長に向けて挑戦してまいりました。
 当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、売上高は、期首繰越工事の増加等により、前連結会計年度比12.1%増の4,361億円となりました。利益は、販売費及び一般管理費の増加等により、営業利益は254億円となり、経常利益は257億円となりました。また、独占禁止法関連損失引当金戻入額の特別利益への計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は194億円となりました。
 当社の業績につきましては、以下のとおりであります。
 受注高は、土木工事、建築工事ともに減少し前年度比28.4%減の3,249億円となりました。このうち、土木工事は923億円、建築工事は2,325億円であり、これらの発注者別内訳は官庁27.1%、民間72.9%であります。
 売上高は、同14.7%増の3,522億円となりました。このうち、土木工事は1,222億円、建築工事は2,299億円であり、これらの発注者別内訳は官庁28.6%、民間71.4%であります。
 翌事業年度への繰越高は、同4.8%減の5,431億円となりました。
 利益につきましては、販売費及び一般管理費の増加等により経常利益は206億円となり、当期純利益は148億円となりました。

 当社の部門別の状況は以下のとおりであります。
〔土木〕
 土木の受注高は前年度比40.7%減の923億円となりました。
主な受注工事は、大阪市:淀川左岸線(2期)トンネル整備事業-2(大阪府)、農林水産省:信濃川左岸流域農業水利事業 1号幹線用水路1号トンネル建設工事(新潟県)、東京電力パワーグリッド株式会社:北多摩府中洞道新設工事(東京都)、西日本高速道路株式会社:新名神高速道路 田上羽栗森工事(滋賀県)等であります。
 完成工事高は同9.5%増の1,222億円となりました。
 主な完成工事は、東日本高速道路株式会社:東京外かく環状道路 大泉ジャンクション立坑工事(東京都)、国土交通省:阿蘇大橋地区斜面対策工事(熊本県)、福岡給油施設株式会社:福岡空港国内線誘導路二重化に係る給油施設工事(福岡県)、神戸市道路公社:六甲山トンネル改築工事 他(兵庫県)等であります。

〔建築〕
 建築の受注高は前年度比22.0%減の2,325億円となりました。
 主な受注工事は、住友商事株式会社:(仮称)レンゴー淀川工場跡地開発計画新築工事(大阪府)、野村不動産株式会社:(仮称)阪急塚口駅前建替計画新築工事(兵庫県)、医療法人徳洲会:医療法人徳洲会鹿児島徳洲会病院移転新築工事(鹿児島県)、金シャチ名古屋競馬場PFI株式会社:名古屋競馬場移転整備等事業(愛知県)等であります。
 完成工事高は同17.7%増の2,299億円となりました。
 主な完成工事は、豊洲6丁目4-1B開発特定目的会社:(仮称)Dタワー豊洲新築工事(東京都)、嘉新琉球COLLECTIVE株式会社:(仮称)CHC那覇ホテル新築工事(沖縄県)、アパマンション株式会社:(仮称)アパホテル&リゾート<御堂筋本町駅タワー>新築工事(大阪府)、北海道放送株式会社:北海道放送株式会社 本社社屋新築工事(北海道)等であります。

(参考)当社の部門別受注高・売上高・繰越高

(注)

翌事業年度繰越高に含まれる海外工事の繰越高について、為替相場の実勢を反映させるため、事業年度末レートで修正しております。
この減少額は14百万円であり、(  )内は修正前であります。

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2020/06/26 12:00:00 +0900
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