対処すべき課題

 今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により海外経済が急速に収縮するなか、政府から発令された緊急事態宣言を受けて、個人消費は外出自粛や移動制限により停滞し、企業収益もインバウンド需要の消失や経済活動の抑制により大幅な悪化が避けられず、景気の見通しは極めて不透明な状況にあります。
 建設業界におきましては、政府方針にて公共工事は緊急事態宣言下であっても継続が必要な事業と位置づけられているものの、受注者において特定警戒都道府県で工事の一時中断などの措置がとられており、今後の感染状況により影響を大きく受ける可能性があります。このような状況下で民間企業による建設投資は経営環境の悪化により減少が予想されますが、公共投資は、気候変動による災害リスクの増大やインフラ老朽化対策などへの集中投資の必要性から2020年度当初予算に前年度とほぼ同水準の公共事業関係費が織り込まれており一定の水準は維持されると思われます。また、新型コロナウイルス感染症拡大の緊急経済対策として補正予算に計上されている国内投資促進事業費補助金2,200億円については、民間設備投資を一定程度下支えすると考えられます。なお、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した場合、対策コストの増大や資機材の供給が滞るなどのリスクには留意する必要があります。
 現下の建設市場は、激甚化する自然災害に備えた防災・減災対策事業や高度経済成長期に整備された社会インフラの老朽化対策事業の拡大に加え、全国における新幹線整備やIR構想及び大阪万博開催に伴う関連投資など、中期的には一定の需要が見込まれる環境にあります。しかしながら将来的には、人口減少による国内建設需要の縮小や財政制約により公共投資の抑制が予測されることから、建設市場は新設が減少し維持更新やPPP(Public Private Partnership)/PFI(Private Finance Initiative)/コンセッションが増加するなど質的・量的に変化していくことが予想されます。
 このような状況のもと、当社グループは2017年11月に、5年後の連結売上高5,000億円・連結営業利益500億円を目指した中長期経営方針を定めるとともに、本方針に基づき、2018年3月に『熊谷組グループ 中期経営計画(2018~2020年度)~成長への挑戦~』を策定しました。当社グループ一丸となって本計画に取り組んできており、中期経営計画最終年度として総力を挙げてさらなる成長に向けて着実に足元を固めているところであります。
 なお、当社子会社の株式会社ガイアートは全国におけるアスファルト合材の販売価格に関する独占禁止法違反の疑いで2017年2月に公正取引委員会の立入検査を受け、以降、同委員会による調査に全面的に協力してまいりましたが、2019年7月に同委員会より、独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。このような事態に至りましたことは誠に遺憾であり、株主の皆様、お取引先をはじめ関係各位に多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを深くお詫び申しあげます。
 当該命令を受け、同社では、独占禁止法の遵守についての行動指針の改定及び社内周知の徹底や独占禁止法遵守のための監査体制の強化などの再発防止策を策定・実行しておりますが、当社グループといたしましてもこの度の事態を厳粛かつ真摯に受け止め、当社グループ役職員一同、今後とも法令遵守をあらためて徹底し、皆様からの早期の信頼回復に努めてまいる所存でございます。
 株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

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2020/06/26 12:00:00 +0900
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