対処すべき課題

① 出店戦略の再構築
 日本においては、60店舗体制の確立に向けて今後も直営店出店に重点をおいた店舗開発に取り組んでまいります。併せて、出店場所の確保のための出店候補地に関する情報収集強化や、投資効率の更なる向上を図るための出店条件精査にも一層注力してまいります。
 中国においては、新たな直営店の出店に向けて準備を進めて行くとともに、「極楽湯ブランド」の確立とスピーディーな浸透を図るべく海外企業との連携の強化やフランチャイズ事業を含めた様々な事業展開に取り組んでまいります。
 また、国内外の既存店につきましても、収益向上を目的とした改装など様々な見直しを積極的に検討し、実施してまいります。

② 人材の確保・育成
 日本においては、60店舗体制の確立及び直営店に重点を置いた出店戦略を推進していくに当たり、店舗数及び業容の拡大に対応できうる人材の確保及び育成が重要であると考えております。また、中国においては、“安心・安全”や“心からのおもてなし”など当社グループの根幹となる考え方やサービスへの理解をより一層深め、適正な店舗運営を行っていくためにも、日中相互の人材交流に加え、採用強化による適切な人材の確保及び徹底した指導・育成に取り組んでまいります。

③ 衛生管理及び設備の維持管理
 当社グループは、衛生管理の徹底を最重要事項として取り組んでおります。お客様に快適かつ安心してご利用いただけるよう、営業中の定期的な水質検査や浴場配管設備の清掃を徹底しております。また、施設の経年劣化に伴って設備の維持管理が重要となりますので、今まで以上に店舗設備のメンテナンスにも注力し、安心かつ安全で清潔な施設運営に努めてまいります。

④ 新形態・新業態の開発
 当社グループがこれまでに蓄積してまいりました温浴施設を核とした店舗開発・運営に関するノウハウを活かし、様々な業態とのコラボレーションや従来の郊外型施設とは異なる“都市型温浴施設”など、これまでの形態や立地にとらわれ過ぎることなく、より魅力的な付加価値の高い施設に加え、新業態の開発を国内外で展開することに積極的に取り組んでまいります。

⑤ 子会社の管理・統括
 当社が日本の温浴事業を承継するために設立した「株式会社極楽湯」に加え、中国での事業展開を統括するために香港に設立し、その過半数を当社が保有している「Gokurakuyu China Holdings Limited(中国語名:極楽湯中国控股有限公司)」等の子会社について、適正かつ健全な経営が行われるよう積極的にサポートするとともに統括してまいります。
 今後も当社グループのブランド力の向上及び業績への貢献を図るために、日本と中国における事業展開を円滑に推進できるよう努めてまいります。

⑥ 外部環境の著しい変化に対する適切な対応
 近年多発する気候変動による自然災害の激甚化や今般の新型コロナウイルス感染拡大につきましては、当社グループの運営店舗における営業時間の短縮や臨時休業、来店客数が大幅に減少する等の影響が懸念されます。
 市場動向が不透明な環境下におきましては、日本国内の動向にとどまらず世界経済の動向にも注視しながら、資金管理や店舗運営管理において、柔軟かつ慎重に対応してまいります。

⑦ 継続企業の前提に関する重要事象等
 当社グループは、日本と中国で新型コロナウイルスの感染拡大により、売上高が大幅に減少し、当連結会計年度において2期連続で営業損失(2021年3月期1,524百万円、2022年3月期568百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失(2021年3月期3,081百万円、2022年3月期1,979百万円)となりました。この結果、当期末における当社グループの連結純資産は△12百万円、当社の純資産は△997百万円となり、債務超過となりました。
 これらの状況に加え、当社の有利子負債について、全ての取引金融機関からの支援(返済猶予)について理解を得られているものの、現時点では業績や財務体質が正常化するまで支援が確約されているものではないことから、当社グループは継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
 当社グループは、以下の対応策を実行することで、当該状況を早急に解消し、業績及び財務体質の改善に努めてまいります。

ア. 業績改善への対応策

a) コラボイベントの実施強化による業績向上
コロナによる客数や売上の落ち込みを補うべく直近の数年間は、有名なアニメの人気キャラクターやコンテンツ、及び有名企業商品との様々なコラボイベントを1,2か月のサイクルで店舗を厳選して定期的に実施しております。今年度は、前年以上に1回あたりのコラボイベントの期間を短く、頻度を上げるとともに、同時期に異なる店舗で違うイベントを実施するなど、全体的な開催回数を増やす取り組みを進めております。引き続き、コラボイベントの数やメニュー、実施店舗を増やして実行できるように工夫することで、業績の向上へ繋げてまいります。また、人気コンテンツに特化した新規事業も検討してまいります。
b) 入館料等の価格見直し
急激な円安に伴う物価高に加え、エネルギーコストや人件費の高騰等から、原価の値上りが営業努力ではまかなえない状況にきていると考えたことから入館料を見直し、2022年9月に値上げいたします。また、様々な価格の見直しについて随時検討し、その他メニューの改定も適宜実施してまいります。
c) 店舗ごとの長期シミュレーションと計画的判断
店舗ごとの計画(業績と投資)を十分に精査し、投資の適切なタイミングと業績改善に向けたコスト圧縮など対策を検討してまいります。不採算な状況が継続すると判断した店舗については、撤退を含めて見極め時期を決め、最適な判断が適宜できるよう速やかに体制を整えてまいります。
d) グループ会社の合理化
持ち株会社体制によるグループ管理・統制の再構築を検討し、管理コストの圧縮や財務戦略の見直しに取り組みます。

イ. 財務体質の改善

a) 資本政策と有利子負債の圧縮
資本政策としては、ファシリティ型新株予約権を発行し資金調達をします。2022年4月からファシリティ型新株予約権による資金調達(増資)を実施しており、2025年4月末までの約3年の間に概算で14億円を調達する見込みです。有利子負債については、2022年6月から9月にかけて1,255百万円を返済し圧縮します。取引金融機関とは運転資金確保を最優先することに賛同を得ており、それを踏まえた上で有利子負債の圧縮は適宜状況に合わせ検討してまいります。この他、資産の売却や増資等の資本政策も引き続き検討してまいります。
b) 投資計画と資金繰り
投資計画は、現在施設維持を主に投資額を最小限に抑えた計画で「新規投資」と「既存店の更新投資」に区分しています。「新規投資」は、新規事業や新店舗の開業、既存店舗の改装など付加価値創造を目的とした投資であり見直しし、縮小又は慎重に実施してまいります。「既存店の更新投資」については、IT化や既存設備の維持や交換、利便性の向上、安全面からの予防措置等に実施するために計画しており、継続的な運営に必要な投資として計画通り実施してまいりますが引き続きコスト削減できないか検討の上、努めてまいります。
また、資金繰りについては、当面の更新投資も含め事業環境を乗り越えるだけの資金(国内30億円から35億円程度)を保有していることから、支障はないと判断しております。また取引金融機関との関係は良好であり今後も継続的な支援を受けられるものと考えておりますが、今後も業績が回復し財務状況が正常化するまで継続的な支援を得られるよう要請してまいります。

 以上の対応策に取り組んでまいりますが、これら対応策の実現可能性は、新型コロナウイルス感染症の拡大や国・地方公共団体の助成制度、原油価格の変動等、外部環境に大きく影響を受けます。現時点では、取引金融機関から返済猶予の支援について理解を得られているものの、業績や財務体質の正常化するまで確約されているものではないことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。
 なお、当社グループの連結計算書類は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結計算書類に反映しておりません。


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2022/09/28 12:00:00 +0900
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