当社は、「双日グループ企業理念」(「双日グループは、誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造します」)に加え、「2030年双日の目指す姿」(「事業や人材を創造し続ける総合商社」)に基づき、中長期に亘る企業価値の向上を図っております。
この実現に向け、コーポレート・ガバナンスの充実が経営の重要課題であるとの認識のもと、以下のようなコーポレート・ガバナンス体制を構築し、株主をはじめとするステークホルダーに対する経営責任と説明責任を果たすことを含め、健全性、透明性、効率性の高い経営体制の確立に努めております。
さらに、取締役会の監督機能の強化と取締役会から業務執行取締役への権限委任を進めることにより、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行い、次期中期経営計画でのさらなる企業価値向上を図るべく、監査等委員会設置会社への移行も含めたガバナンス体制の見直しを検討しております。
コーポレート・ガバナンス体制図(2023年3月31日現在)
1)経営及び業務執行体制
当社では、経営の意思決定と業務執行の分離による権限、責任の明確化及び業務執行の迅速化を実現するため、執行役員制度を導入しております。取締役会は、当社グループ経営に係る基本方針と最重要案件の審議、決議を行う最高意思決定機関であると共に、業務執行機関からの重要事項の付議、定例報告などを通じて業務の執行状況の監督を行っております。業務執行機関としては、当社グループの経営及び執行に係る重要事項を全社的視野並びに中長期的な観点で審議、決裁する経営会議を設置し、最高経営責任者である社長が議長を務めております。加えて、社長管下には、重要な投融資案件を審議・決裁する投融資審議会、重要な人事事項を審議・決裁する人事審議会、組織横断的な視点で取り組むべき事項を推進する社内委員会を設置しております。
なお、急速な経営環境の変化に迅速かつ適切に対応し、経営に対する責任を明確にするため、取締役と執行役員の任期を1年としております。
2)経営に対する監視・監督体制
当社では、当社経営に対し、客観的な立場からの外部視点による適切な助言・提言を受けること及び取締役会の監督機能の強化を図ることを目的に、複数の社外取締役を選任しております。また、社外取締役が取締役会の議長や、取締役会の諮問機関である指名委員会、報酬委員会の委員長を務めることにより、取締役会における決議、取締役の選任、報酬に関する妥当性、透明性を確保しております。
なお、当社は監査役会設置会社であり、監査役会が独立した立場から、経営に対する監視・監査機能を果たしております。
1)取締役会
最高意思決定機関として、当社グループ経営に係る基本方針と最重要案件の審議、決議を行うと共に、業務執行機関からの重要事項の付議、定例報告などを通じて業務の執行状況の監督を行っております。また、社外取締役は、業務執行取締役及び当社執行体制全般に対する監督、当社ガバナンス体制全般への意見具申を行っております。
●取締役の選任方針及び取締役会の構成
広範で多岐に亘る事業を行う総合商社における適切な意思決定、経営監督の実現のため、取締役の選任においては、ジェンダーや国際性の面を含む多様性を考慮し、社内及び社外それぞれから豊富な経験、高い見識、高度な専門性を有する者を複数選任することとしております。なお、当社は、定款において取締役の員数を10名以内と定め、2023年3月31日時点の取締役会は、当社において豊富な業務経験を持つ業務執行取締役(4名)と、客観的かつ専門的な視点や多様な知見を持つ社外取締役(4名)の計8名(男性6名・女性2名)で構成されており、女性比率は25.0%です。
●取締役の選任手続き
上記選任方針に基づき、取締役会の諮問機関である指名委員会の審議結果を踏まえ、取締役会が個々の候補の実績並びに取締役としての資質について審議の上決議し、株主総会に付議しております。
●2022年度における取締役会の活動状況
当社は、取締役会を毎月1回開催するほか必要に応じて随時開催しています。2022年度の取締役会の出席状況は以下のとおりでした。
※尾藤雅彰氏及び小久江晴子氏は、2022年6月の取締役就任後に開催された取締役会13回全てに出席しております。
●取締役会での審議内容など
当社は、法令・定款によるほか、取締役会規程を定め、経営方針・経営計画及び重要な人事・組織・制度などの当社グループ経営に係る基本事項・重要事項並びに定量面より重要性の高い投融資案件などの業務執行に係る重要事項に関して、取締役会において審議・決議しております。
取締役会決議事項を除く業務執行に関しては、各事案の内容・規模・重要性・リスクなどに応じて、最高経営責任者である社長、その管下の業務執行機関である経営会議・投融資審議会・人事審議会などにおいて、審議・決裁しております。
2022年度の取締役会における主な審議内容は以下のとおりです。
※括弧内は、2022年度取締役会の総審議時間に占める、各項目の審議時間の割合
●取締役の支援体制
・取締役を補佐する専属組織として取締役会業務室を設置し、専任スタッフ4名(2023年3月31日時点)を中心に、取締役に対して適時適切な情報提供、報告及び連絡などを行っております。
・取締役会資料は、事前説明会の概ね5営業日前までに配布して充分な検討時間を確保し、取締役会の2営業日前までに事前説明会を開催して、議案内容につき理解を深めていただくよう努めております。
・取締役には、PCもしくはタブレット端末を支給し、クラウドストレージに保管した取締役会資料や関連資料を、常時・場所を問わず、閲覧できるようにしております。
・社外取締役に対し、経営会議や投融資審議会の資料・法定開示資料・株主通信・証券アナリストによるレポート・社内報などを共有し、投融資審議会にはオブザーバーとして出席する機会を設けております。
・業務執行取締役・社外取締役間の情報共有会(年12回)、業務執行取締役・社外取締役間のオフサイトミーティング、社外取締役会議、社外取締役・常勤監査役・社外監査役間の意見交換会(年間各2回)、社外取締役による事業所訪問などを実施することにより、取締役・監査役間のコミュニケーション・相互理解を促進し、取締役会での建設的な議論の促進を図っております。
●取締役会の実効性に関する分析・評価
当社は、取締役会の機能向上を図るため、毎年、取締役会の実効性評価を行っております。2022年度の評価結果や分析・評価方法などは以下のとおりです。
2)取締役会の諮問機関(指名委員会、報酬委員会)
当社は、取締役会の諮問機関として以下を設置しております。
(※)2023年3月31日時点
●2022年度の活動状況
当社は、2022年度は、指名委員会を合計10回、報酬委員会を合計5回開催し、指名委員会及び報酬委員会共に、各委員の出席状況は以下のとおりです。
※小久江晴子氏は、2022年6月17日に委員に就任した後に開催された指名委員会9回、報酬委員会4回の全てに出席しております。
●2022年度における各委員会の主な審議内容
3)監査役会
諸法令、定款、諸規程及び監査役会が定めた監査役監査基準に基づき、独立した立場で取締役の職務執行の監査を行っております。また、監査役は、取締役会に加えて、業務執行に関する重要な会議に出席するほか、取締役からの聴取、重要な決裁書類の閲覧などを通じて経営に対する監視・監査機能を果たしております。
●監査役会の構成
当社及び事業投資先における豊富な実務経験と経営を担った経験を持つ常勤監査役2名と、専門的な知識に基づく客観的な視点や多様な知見と業務経験を持つ社外監査役3名の計5名(男性3名・女性2名)で構成されております。(2023年3月31日時点)
●監査役の支援体制
監査役を補佐する専属組織として監査役業務室を設置しており、監査役に対し、専任スタッフ4名(2023年3月31日時点)を中心に適時適切な情報提供、報告及び連絡などを行っております。
4)取締役・監査役に対するトレーニングの方針
当社は、取締役や監査役がその機能や役割を適切に果たせるよう、以下を実施しております。
・新任役員に対して、中期経営計画、内部統制・リスク管理体制、IRやサステナビリティの取り組み、弁護士による取締役や監査役の職務・責任などに関するレクチャーなどの研修を受ける機会を設定。
・取締役・監査役が、当社の広範な事業活動に関する理解を深めるため、各本部長による事業・取り組みの説明会を実施するほか、最新のマクロ経済情勢についての理解を深めるため、当社シンクタンク子会社による月例説明会を実施。加えて、その他の必要な情報についても、継続的に情報提供を実施。
・外部機関において開催されるセミナーなどへの参加機会を提供。
5)社外役員の選任方針及び独立性に関する基準
当社は、社外役員の実質的な独立性を重視し、会社法及び金融商品取引所が定める独立役員の要件に加え独自の社外役員の独立性基準を策定し、社外役員全員がこの基準を満たしていることを確認しております。
なお、「社外役員の選任及び独立性に関する基準」につきましては、招集通知P.18をご参照ください。
当社は、最高経営責任者である社長管下の業務執行機関として以下を設置しております。
1)経営会議
業務執行取締役及び営業本部長やコーポレートの責任者などから構成され、当社グループの経営政策、経営戦略及び経営管理事項を全社的視野並びに中長期的な観点から審議・決裁を行います。経営会議は原則月2回の頻度で開催するほか、必要に応じ開催します。
2022年度は合計27回開催し、メンバーは計11名(男性9名、女性2名)で構成されておりました。また、2022年度は、主に、中期経営計画の進捗確認と中期経営計画後半における成長実現への取り組み(事業投資による価値創出力強化に向けた取り組みなど)、中長期的な人材施策(新たなマネジメントの型の確立、人と人とが徹底的に向き合う文化の浸透、人材開発に関する考え方の整理など)、その他重要な営業・コーポレート案件などについて、議論・検討しました。
なお、2023年度の経営会議は、計12名(男性10名、女性2名)で構成されております。
2)投融資審議会
業務執行取締役やコーポレートの責任者などから構成され、重要な投融資案件(投融資保証案件、与信案件など)を全社的な視野に立って審議・決裁を行います。投融資審議会は原則月2回の頻度で開催しており、2022年度は合計23回開催しました。
3)人事審議会
業務執行取締役やコーポレートの責任者などから構成され、重要な人事事項を全社的な視野に立って審議・決裁を行います。人事審議会は、原則月2回の頻度で開催しており、2022年度は合計19回開催(うち3回は書面開催)しました。
4)社内委員会
企業価値向上のため、組織横断的に取り組むべき経営事項を推進する社長管下の業務執行機関として、以下の社内委員会を設置しており(2023年3月31日時点)、各社内委員会は、取締役会や経営会議にその活動内容に基づく報告を定期的に行っております。また、各委員会の開催頻度と2022年度の回数は以下のとおりです。
また、特定テーマの実務・取り組みにつき組織横断的に議論・検討する「事業継続マネジメント検討部会」及び「開示検討部会」を設置しております。当社の企業価値向上に資する体制を構築していくため、今後も継続的に、必要な見直しを行い、体制の高度化を図ってまいります。
監査役、会計監査人及び監査部は、それぞれの立場で監査業務を行う上で、監査の相互補完及び効率性の観点から双方向的な情報交換を行い、監査の実効性を高めております。
1)監査役監査の状況
監査役は、監査役会が定めた監査役監査基準、監査実施計画及び業務分担に基づき、以下の主な活動内容に示す方法などにより監査を実施し、経営に対する監視・監査を行っております。
監査役は、会計監査人より監査計画の説明及び定期的な監査実施状況の報告を受けることで、効率的な監査を実施すると共に、会計監査人の独立性について監視しております。また、監査部から監査計画及び監査実施状況の報告を受け、監査結果に対して意見書を提出するなど、会計監査人、監査部と連携の上、当社の状況を適時適切に把握する体制としております。
また、当期は新型コロナウイルス感染症関連の規制が緩和された一部の国・地域の海外連結子会社に対しては出張による往査を実施すると共に、ウェブ会議システムを活用したリモート監査についても継続し、国内外連結子会社などと十分なコミュニケーションを図り、監査を実施しております。
〇印は担当を示し、△は部分的担当或いは任意の担当を示しております。
※1 社外監査役は、投融資審議会にオブザーバーとして出席しました。
※2 社外監査役は1名以上が出席しました。
2)内部監査の状況
取締役会で決議した監査計画に基づき、取締役会の下部組織として設置された内部監査小委員会の管轄のもと、監査部25名(2023年3月31日時点)が、営業部、コーポレート、連結子会社を主たる対象とし、以下のとおり監査を実施しております。
・監査時は、組織体のガバナンス・リスク管理・内部統制が適切に機能しているかを検証すると共に、損失の未然防止や問題解決に向け、実効性のある改善提案を実施。
・監査後は、監査対象組織及び関係先(主管本部長、コーポレート各部の担当本部長、監査役など)を対象とする監査講評会において意見交換を行った上で、監査報告書を内部監査小委員会及び監査役へ提出。また、内部監査小委員会に対しては、月次で監査報告会を実施。
・監査での指摘事項について、監査対象組織より3ヶ月後、6ヶ月後に改善状況の報告を受けると共に、フォローアップ監査により改善状況を確認。
また、内部監査の実効性を確保するための当社取り組みは以下のとおりです。
・監査部は、監査方針を、代表取締役社長のみならず、取締役会及び監査役会に対して直接報告。
・監査部は、監査結果を、代表取締役社長のみならず、取締役会及び監査役会に対しても、原則四半期に一度の頻度で報告。
・監査部の組織業績の審議及び評価、並びに監査部長の個人評価は、内部監査小委員会にて実施し、監査部の独立性を確保。
3)会計監査の状況
当社は、会社法に基づく会計監査並びに金融商品取引法に基づく財務諸表監査、四半期レビュー及び内部統制監査に関し、有限責任あずさ監査法人に監査を依頼しております。当事業年度における業務執行社員の氏名、監査業務に係る補助者の構成は以下のとおりです。
(指定有限責任社員、業務執行社員): 杉浦 宏明、富田 亮平、引敷林 嗣伸
(監査業務に係る補助者): 公認会計士19名、その他33名
1)「中期経営計画2023」における政策保有株式(上場株式)の縮減方針
当社は、「中期経営計画2023」において、より一層の政策保有株式の縮減を進めることとしました。2020年12月末時点の連結ベースの上場株式保有金額896億円を基準に、2024年3月末までに半減、すなわち450億円削減させていきます。実行時期も含めた具体的な売却計画を策定の上、2023年3月末までで累計614億円を売却しています。
また、単体保有株式の連結資本合計比率の計画及び実績は以下のとおりで政策保有株式の縮減は着実に進んでおります。
2)保有に関する方針
政策保有株式として引き続き保有する上場株式については、従前どおり毎年個別の銘柄毎に受取配当金や関連する収益が資本コスト(WACC)を上回っているかを定量的に検証すると共に、当社企業価値の向上に寄与しているかといった定性面についても精査し、保有意義の見直しを行っております。検証の結果、保有意義が認められる銘柄については、継続して保有し、保有による効果・便益を追求します。保有意義が希薄化した銘柄については、一定期間内での改善を目指す、あるいは、改善が見込めない銘柄については売却を検討します。
なお、保有意義の見直しは、取締役会及び経営会議にて個別の銘柄毎に行っております。なお、2022年度の検証結果は以下のとおりです。
・政策保有株式として引き続き保有する上場株式については、保有銘柄全体として、保有により実現している収益が当社資本コストを上回っていることを確認しました。
・個別の銘柄毎に、保有により実現している収益が当社資本コストを上回っているか、当社の企業価値の向上につながるかを検証しました。
・検証の結果、保有意義が希薄化した銘柄については、一定期間内での改善を目指す、もしくは売却を検討してまいります。
3)議決権の行使
上場株式の保有意義を踏まえ、当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に適うか否かを基準に、議決権を行使することとし、議決権の行使状況を会社として把握する体制としております。
当社は、株主に対し、経営方針や持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた取り組みについて、適切な情報を適時に提供すると共に、分かりやすい言葉・論理で明確に説明し、株主からの意見を経営へ報告・反映するなど、株主との間で建設的な対話を行うことを基本方針としております。
また、当社では株主・投資家をはじめとするステークホルダーへ公平かつ適切な情報開示を行うため、フェア・ディスクロージャー・ルールの趣旨に則り、社内規程として、インサイダー取引防止規程のほか、法令・規則の遵守、透明性、適時性、公平性、継続性、機密性を基本原則とする情報開示規程を定め、これらを遵守すると共に、各役職員への徹底を図っております。
1)株主への情報提供
全ての株主に対して公正かつ平等に情報発信を行うことを基本とし、中期経営計画や決算内容については、取締役会での決議後速やかにTDnetや当社ウェブサイトにて公表しております。また、当社の経営理念・ビジョン、事業活動、ビジネスモデルなどについて理解を深めていただくべく、統合報告書の発行、事業説明会やSojitz IR Dayの開催、個人株主説明会の開催、個人投資家説明会への参加、当社ウェブサイトでの社長による当社事業の視察動画配信など、積極的な情報開示を行っております。
2)株主総会における取り組み
定時株主総会開催日の約3週間前に招集通知などを発送することに加え、発送に先立ち、約4週間前に当社ウェブサイトにて英訳版と共に開示し、また、スマートフォン・タブレットに対応した形での開示も行っております。そのほかにも、集中日を回避した開催、インターネットを通じた議決権行使の仕組みの採用、国内外の機関投資家が活用できる「議決権電子行使プラットフォーム」への参加、事前質問の受付、事業報告映像の事前配信、株主総会当日のライブ配信など、より多くの株主に株主総会への参加及び議決権行使をいただけるように積極的な取り組みを進めております。
3)株主との対話における体制及び取り組み
株主との対話は、取締役が主体となり専任組織であるIR室が補助する体制としております。