当社グループは、総合商社として、物品の売買及び貿易業をはじめ、国内及び海外における各種製品の製造・販売やサービスの提供、各種プロジェクトの企画・調整、各種事業分野への投資、並びに金融活動などグローバルに多角的な事業を行っております。
当連結会計年度(以下、当期という)は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化し、インフレの抑制を図った金融引き締めにより、世界経済への下押し圧力が顕在化しました。米国での銀行破綻や欧州での銀行経営不安を受けて、各国の金融当局は信用不安の拡大を防ぐため対応を急ぎました。
米国では、2022年3月以来、FRBが度重なる利上げを行いましたが、インフレ率の高止まりが長期化しています。物価と雇用が堅調に推移する中、今後もインフレ対策の継続が見込まれ、政府、民間に関わらず利払い負担が増大することによる景気への影響に注意が必要です。
欧州では、ECBが物価安定を最優先課題として、利上げを継続しています。また、エネルギー価格がピークアウトしたものの、エネルギーの供給不安は依然残っており、経済回復ペースの鈍化が続くと考えられます。
中国では、2022年12月のゼロコロナ政策の転換により景気回復が加速し、2023年は実質5%台のGDP成長が見込まれます。2023年3月に行われた全国人民代表大会で習近平国家主席が三選され、今後の経済発展や国際関係の方向性が引き続き注目されます。
日本では、新型コロナウイルス感染症関連の規制緩和により経済活動が活発化した一方、物価高と海外景気の減速に伴う需要停滞から主力工業製品の生産・輸出の回復が鈍っており、特に外需減退のリスクに留意が必要です。日本銀行は2023年3月の金融政策決定会合で従来の緩和的な金融政策を維持しました。2023年4月から植田新総裁体制に移行しましたが、日本が緩和姿勢を継続する中で日米金利差は依然として開いており、今後の金融政策と為替動向には留意が必要です。
その他アジア地域では、新型コロナウイルス感染症の影響から経済が回復しつつあり、2023年は実質5%台のGDP成長が予想されています。ASEAN、インドなどの新興国では、経済活動の正常化に伴い内需が成長を牽引しましたが、インフレ高止まり、金融引き締めによる資金繰り悪化、米国が利上げを継続する中での通貨安、対外債務膨張、経常赤字拡大などの景気下押しリスクがあります。