対処すべき課題

 人口減少・少子高齢化、グローバル化、デフレ、税と社会保障など、わが国の社会的な多くの課題がある中で、当社グループを取り巻く環境は急速に変化しています。また、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、わが国経済への打撃も深刻なものとなり、厳しい経済状況が続くことを想定する必要があります。今後、社会や経済の在り方が大きく変わっていくことが予想され、今回の経験が、生活におけるデジタル技術等の利用を加速させる契機となる可能性があります。世界でデジタルシフトが一気に進み、消費者行動に大きな変化を与え、新ビジネスが創出される可能性も秘めています。
 デジタルを活用した社会活動が飛躍的に増加する中で、古い事業構造が残ったままとなれば、これから進む経済社会構造の変化に対応できず、淘汰される可能性があります。当社はこのようなリスクを踏まえて、主体的・積極的にビジネスの在り方や生活様式の変更に対応し、従来の百貨店ビジネスモデルから、新たな小売モデルへの転換が必要です。
 このような変化に対応するため、当社グループは、3ヶ年計画において掲げている目指す姿「オンラインとオフラインのマッチングプラットフォーマー」の実現に向けたデジタル化をはじめとした各施策を継続して推進していきます。あわせて、抜本的コスト構造改革、基盤整備を継続しつつ、ビジネスモデル改革に向けた取組みや、アフターコロナを見据えた変化に向けて、重点戦略を確実に加速させてまいります。

重点取組①「収支構造改革の推進」

 当社は、成長に向けた重点戦略の推進と並行して、徹底したコスト構造改革を継続してまいりました。今回の新型コロナウイルス感染症による甚大な影響を鑑み、お客さまや従業員の安心・安全に向けた取組みを確保しつつ、コスト削減策の実行や、投資をゼロベースで見直しする等、危機感をもって取り組んでまいります。
 引き続き、今まで当たり前としてきた常識、ノウハウ、仕組み、業務、全ての項目において聖域なく見直し、ビジネスモデル改革と連動した抜本的なコスト構造改革を進めることにより、宣伝費、地代家賃、人件費の抜本的な販売管理費の削減を進めてまいります。
 大規模店舗構造改革には一定の目処がつきましたが、引き続きグループにおける各事業の方向性、役割・位置付けを明確化することで、事業ポートフォリオの組替え、再構築を進めてまいります。

重点取組②「小売(百貨店)事業のビジネスモデル改革」

 環境の変化・お客さまのニーズの変化に対応していくため、当社は新しい小売事業のビジネスモデルの確立をめざしています。そのために「店舗モデル改革」「オンラインとオフラインのシームレス化」「グループカスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)の推進・マーケティング強化」を推進してまいりました。
 このたび、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、社会や消費行動が大きく変わっていき、一層、多様化するニーズや消費者のデジタルシフトに対応するため、店舗のみでなく、お客さまがオンラインとオフラインを自由に行き来し、どこでも最新で最高の顧客体験を提供できるよう「オンラインとオフラインのシームレス化」の推進を加速してまいります。本年6月に新しいシームレスサイト・アプリを立ち上げ、新アプリを活用することで、今後、店舗に置けない品揃えも含め幅広い商品を提供していきます。
 あわせて、デジタル会員化を進め、お客さまとの関係性強化、One to oneを実現することで、欲しい情報を欲しい時に提供できる環境を整備し、顧客満足度向上をめざします。将来的に蓄積した購買をはじめとした様々な情報によりマーケティングを一層強化し、新規事業の創出にもつなげていきます。
 店舗モデル改革に向けては、お客さまのニーズを的確に把握し、商品展開やMDバランスを適正化し、リアル店舗ならではの「価値」「体験」を提供することで顧客支持の高い商業施設をめざします。そのための業務フローの見直しや、そのための店舗リモデルを進めてまいります。

重点取組③「不動産事業・金融事業への取り組み強化」

 国内における保有不動産の有効活用による中長期的な収益拡大に向けた事業の検討を進め、不動産事業の強化を図ってまいります。不動産価値最大化に向けて、地域の再開発に参画することで街づくりに関わりつつ、商業を核とした当社ならではのコンセプトでの複合用途化によりバリューアップを実現し、新たな事業展開を検討してまいります。
 商業施設運営はより強化し、国内においては、横浜や国分寺に続く新たな商業施設の運営を検討してまいります。海外においては、フィリピンにて進めている小売と不動産のコラボレーションを推進します。
 金融事業につきましては、当社グループのカード会社である「株式会社エムアイカード」を中心に、決済手段の多様化への対応やお客さまのウォレットシェア拡大に向けて、新たな金融サービスメニュー拡充の方向性を検討しております。既存の百貨店カードや外部企業との提携カードの会員の量的拡充を図るとともに、付帯サービスの質的向上に努めてまいります。

重点取組④「コーポレート・ガバナンス体制の強化」

 中期経営計画の早期・確実な達成に向けて、当社傘下の事業会社へ権限と責任を委譲し、経営の意思決定を迅速化するとともに機動的な業務執行体制の構築をめざしてまいりました。このたび、コーポレート・ガバナンス体制の一層の強化のため、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ企業統治形態を移行いたします。経営における監督と執行の分離をより明確にし、取締役会による監督機能の強化と執行のスピードアップを図ってまいります。
 従前の体制ややり方を抜本的に見直し、今後一刻も早く企業構造改革・競争力強化を実現していきます。あわせて、コンプライアンス、リスクマネジメント、情報管理体制などの内部統制システムの強化に取り組み、企業価値の向上と持続的成長をめざしてまいります。

新型コロナウイルス感染症の影響及び対応

 世界規模で拡大する新型コロナウイルス感染症により、百貨店業界は2020年に入り大幅なマイナス基調にて推移しています。この未曽有の危機の中、当社は事業継続計画に基づく緊急対策本部において、グループ全体で必要となる様々な対応をスピードをもって進めております。緊急事態宣言下における外出自粛要請に応え、お客さま、従業員の安心・安全を第一に考え、4月に入り臨時休業(一部店舗は部分休業や時間短縮)を実施いたしました。あわせて足元業績が悪化して推移する中、一定のリスクシナリオを想定して十分な手元流動性を確保すべく、資金調達を行っております。
 今後、「安全・安心志向」「働き方改革」「デジタルシフト」等、生活様式や消費行動の大きな変化が見込まれます。その中で、安全・安心確保の取組みを徹底するとともに、お客さまのニーズにお応えする提供価値や、新しいコミュニケーションのあり方を再設定してまいります。
 また今後も予測される、外出や消費行動の自粛や、訪日外国人の渡航自粛の継続など、経営上の大きなマイナス影響を踏まえ事業計画の見直しなど機動的な対応を行います。

 新型コロナウイルス感染拡大による店舗等の休業により、多大なるご迷惑・ご心配をおかけいたしましたことを、改めて深くお詫び申しあげます。状況が一刻も早く改善することを願いますとともに、株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。

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2020/06/15 11:00:00 +0900
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