事業の経過及びその成果

 当連結会計年度の我が国経済は、消費税率の引上げ、米中貿易摩擦の長期化や中国経済の減速懸念等の影響に加え、年明けからの新型コロナウイルス感染症の拡大による国内外における社会的・経済的影響への懸念から、先行き不透明な状況で推移しました。
 当社グループでは、2019年3月期において、暗号資産(仮想通貨)市場の低迷に加え、2018年6月22日付業務改善命令を受け株式会社ビットポイントジャパン(以下「BPJ」という)が策定した業務改善計画に基づき経営管理態勢の強化を行った結果として金融関連事業で大幅な収益減となりました。このことを踏まえ、当期においては、金融関連事業における財務基盤の強化・サービス向上に加え、事業ポートフォリオ全体での経営資源配分の適正化を推進することにより、グループの事業基盤の強靭化、収益機会の最適化を図るべく施策を進める予定でありました。
 エネルギー関連事業及び自動車関連事業が堅調に推移する一方で、BPJにおいては前記の業務改善命令に基づく定期的な報告義務の解除を受け、業績回復に向けた経営施策の実施のため、利用者の利便性・満足度の向上、高品質のサービスの開発・提供を実現すべく、経営資源を積極的に投下しようとしておりました。その矢先に、2019年7月、暗号資産(仮想通貨)の不正流出事案(以下「本不正流出」という)が発生しました。これにより、利用者預かり分に係る暗号資産(仮想通貨)の調達、復旧対応・再発防止策の実施等のために多額の特別損失を計上することとなりました。また、BPJでは本不正流出により一時的に全サービスの提供を停止しましたが、セキュリティ強化施策を実施し、順次サービスを再開し、2019年12月25日には本不正流出発生前に提供していたサービスを全面的に再開するに至りました。
 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高11,229百万円(前期比4.7%減)、営業損失1,198百万円(前連結会計年度は営業損失1,710百万円)、経常損失1,231百万円(前連結会計年度は経常損失1,712百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失5,173百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,812百万円)となりました。

 当連結会計年度におけるセグメントの業績は次のとおりです。
 なお、各セグメント売上高の金額は、セグメント間の内部売上高を含めない数値を記載しております。
 当社グループの報告セグメントは、業績の評価、事業戦略の構築、経営資源の配分等を行ううえで重要性の高い区分を基に決定しており、「エネルギー関連事業」「自動車関連事業」「金融関連事業」「旅行関連事業」「その他事業」の5つで構成されております。

(エネルギー関連事業)

 エネルギー関連事業においては、電力売買事業、ならびに省エネコンサルティング事業を展開しております。電力売買事業の顧客に省エネコンサルティングの提案、及び省エネルギー関連機器設備の販売を行い、またその逆として、省エネコンサルティング事業の顧客に対して電力需給契約提案やエネルギー管理システムの販売を行うことでワンストップソリューションの提供を実現するとともに、両事業におけるシナジー効果も創出しております。
 電力売買事業においては、高圧需要家への販売を主軸としながら、低圧需要家開拓を推し進め、賃貸住宅フェア出展等により認知拡大・顧客獲得を推進しました。前年度と比べ天候が比較的穏やかだったこともあり電力消費が若干減少したものの、電力調達コストの抑制を推進した結果、粗利率が改善しました。
 省エネコンサルティング事業においては、引き続きエネマネ事業者として省エネルギー設備・システム等の提案を行うとともに、省エネルギーに係る投資に対して交付される補助金申請支援を行いました。また新規商材として、蓄電池の取り扱いを開始し、蓄電池導入に関する補助金申請支援も行いました。補助金採択基準が厳格化する中でも、これまでのノウハウの蓄積により、いずれも高い採択率を維持することができました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は6,142百万円(前年比8.5%減)、セグメント利益(営業利益)449百万円(前年比68.3%増)となりました。

(自動車関連事業)

 自動車関連事業においては、中古車販売事業者との中古車売買、及び中古車売買に関するコンサルティング等を行っております。
 中古車売買事業では、高級車を主商材に据えた国内の業者間売買が中心であり、粗利率は高くないものの、仕入から販売代金回収に至るまでの時間が短いこともあり、資本回転率の高いビジネスを実現しています。
 以上の結果、当セグメントの売上高は3,834百万円(前年比5.3%増)、セグメント利益(営業利益)22百万円(前年比83.7%増)となりました。

(金融関連事業)

 金融関連事業においては、BPJが暗号資産交換業者(仮想通貨交換業者)として、暗号資産(仮想通貨)の現物取引、証拠金取引、送受金等に関するサービスを提供しております。
 BPJは、2018年6月22日付で関東財務局より経営管理態勢等に関して業務改善命令を受け、同年7月23日付で業務改善計画を提出、以後毎月の状況を報告し、2019年6月28日付で報告義務が解除されました。その後、2019年7月11日、本不正流出が発生したため、二次的損害の極小化のためにも全サービスの提供を一時停止しました。原因究明とセキュリティ対策に重点を置いた再発防止策を講じ、法定通貨の入出金サービス、及び新規口座申込受付を同年12月25日までに順次再開しました。これにより、本不正流出発生以前のサービスをすべて再開し、その後、利用者保護及び取引の安全確保を最優先に、顧客満足度を高めるための、サービス面及びシステム面の拡充・改善施策を進めております。
 なお、本不正流出により、利用者預かり分の流出暗号資産(仮想通貨)調達費用、BPJ自己保有分の暗号資産(仮想通貨)被害、海外ホワイトラベル提供先対応、初期対応や再発防止策等に係る費用が発生したほか、ソフトウェア等の活用状況を精査した結果、固定資産の除却損、固定資産の収益性の低下による減損損失及びBPJが保有する関連会社株式の評価損を計上することになりました。その結果、第3四半期連結会計期間で計上したものとあわせて、特別損失4,047百万円を計上いたしました。
 さらに、改正金融商品取引法の施行に備え、同法の適用対象となる暗号資産(仮想通貨)証拠金取引に係るサービスを継続して提供するため、金融商品取引業者に要求される自己資本規制比率の維持義務に応えるべく、BPJでは自己資本健全化を図っております。
 なお、経営資源配分の適正化等を目的に、2019年8月14日付「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」のとおり、スマートフィナンシャル株式会社の全株式を譲渡し連結外としました。さらに、改正金融商品取引法等の施行を控え、金融関連事業における経営判断を迅速に行い、経営資源の適切な配分をタイムリーに行うための組織を構築すべく、2020年3月28日付「中間持株会社の設立と同社による子会社株式の取得について」のとおり、金融関連事業における中間持株会社としての株式会社ビットポイント・ホールディングスの設立、ならびに同社へのBPJ株式の譲渡を行いました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は743百万円(前年比44.4%減)、セグメント損失(営業損失)1,033百万円(前連結会計年度は営業損失1,237百万円)となりました。

(旅行関連事業)

 旅行関連事業においては、主にインバウンド旅行者のニーズに応えるべく、連結子会社である株式会社ジャービス(以下「JARVIS」という)が、ホテル事業開発、宿泊施設運営等のサービスを展開しております。
 JARVISでは、2019年5月、東京都京橋で自社案件としてホテル「an/other TOKYO」を開業しましたが、資本効率の高い事業に経営資源を振り向けるべく、2019年9月27日付「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」のとおり、an/other TOKYO運営会社である株式会社アナザーのJARVIS保有株式全部を譲渡し、連結外としました。
 現在、投資用ホテルの企画・開発・販売・運用を行うビジネスモデルに転換し、第1号案件として東京都神楽坂でプロジェクトを手掛けております。
 以上の結果、当セグメントの売上高は463百万円(前年比720.5%増)、セグメント損失(営業損失)13百万円(前連結会計年度は営業損失73百万円)となりました。

(その他事業)

 その他事業においては、主にマーケティングコンサルティング事業等を行っております。
 以上の結果、当セグメントの売上高は45百万円(前年比50.3%増)、セグメント利益(営業利益)45百万円(前年比82.0%増)となりました。

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2020/06/26 11:00:00 +0900
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