デンカは、注力分野のさらなる成長を目的として、大牟田工場の窒化ケイ素(粉体)に新たな設備投資を決定しました。2023年3月に稼働を開始した設備増強分からさらに約1.5倍増の追加増産投資となります。当社の窒化ケイ素は、独自の高温焼成技術や窒化技術により、熱伝導性に優れ、高強度、高耐熱、かつ軽量化に優れていることから、要求性能が厳しい車載用途で高い評価を頂いております。xEV市場拡大に伴い、インバーター向け放熱基板用途として需要が急増していることに加え、モーター用ベアリング用途での電食対策として従来素材からセラミックスへの転換が進んでいることから、本用途においてもさらに需要が増える見通しとなっており、安定的な供給体制の確保が急務となっております。
当社は、窒化ケイ素のトップメーカーとして、本能力増強により供給体制をさらに強化いたします。
デンカは、SCG Chemicals Public Company Limited(以下SCGC 社)と、アセチレンブラック製造販売事業を行う合弁会社設立に向けた契約を2022年10月18日に締結し、同日調印式を実施いたしました。当社のアセチレンブラックは、導電材料であるカーボンブラックの一種で、アセチレンガスの熱分解によって製造されます。当社は独自の熱分解合成技術により、金属、硫黄等の不純物が極めて少なく、超高純度かつ高い導電性を実現しており、xEVのリチウムイオンバッテリー、洋上風力発電の高圧送電線ケーブル用途で使用され、近年需要が急拡大しております。
当社は現在、国内外合わせて3拠点でアセチレンブラックの製造を行っており、急増する需要への対応策として新たな製造拠点の設立をかねてより計画してまいりました。契約締結先であるSCGC社は、アジア有数のコングロマリット企業である「Siam Cement Public Company Limited」を母体に持ち、アセアン地域を代表する総合化学企業です。SCGC社の豊富で安定したアセチレンガス原料の供給能力と、当社の高純度アセチレンブラック製造技術および販売ネットワークを組み合わせた合弁会社の設立により、本製品のさらなる生産・販売体制強化に努めてまいります。
合弁会社設立後に両者共同で立ち上げる製造設備は年間約11,000トンの生産能力を予定しており、2025年初の生産開始を見込んでおります。
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デンカは、注力事業の1つと位置付けているがん治療用ウイルスG47Δの事業基盤の強化と将来を見据えた供給力増強を目的として、約120億円の戦略投資を決定しました。
がん治療用ウイルスG47Δ製剤は、2021年6月、悪性神経膠腫(*1)を対象とする再生医療等製品として、厚生労働省より条件及び期限付承認に該当する製造販売承認を受けており、当社が本品を製造しています。
本品は生きたウイルスそのものを製剤化したもので、製造には大規模なウイルス培養技術や特殊な試験技術が必要であり、長年に亘り、ウイルス感染症に対するワクチンと検査試薬の開発・製造を行ってきた当社の技術・ノウハウが活かされています。
本投資は、ヘルスケア分野の中核拠点である五泉事業所に新たな製造施設を設置するためのものであり、当社は、本品の製造工程開発で得た経験と実績をもとに、本施設ならびに従来施設を活用して、ウイルス製剤を中心に、医薬品の治験薬や製品等を対象とする製造開発受託企業としてのプレゼンス確立・発展にも積極的に取り組んでまいります。
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デンカ、鹿島建設株式会社、株式会社竹中工務店の3社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金事業/CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」のコンクリート分野におけるCO2排出削減・固定量最大化コンクリートの開発等の開発項目に、3社を幹事会社とする、民間企業 44社、10大学、1研究機関によるコンソーシアム(以下CUCO®)を構成して共同提案を行い、2021年採択され、取り組んでいます。
「グリーンイノベーション基金事業」は、「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向け、NEDOに2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する事業です。
3社を幹事会社とするCUCO®は、本事業を通じて、高いレベルで汎用性のあるカーボンネガティブコンクリート(*1)を実現するとともに、施工技術の開発、品質評価技術を確立することで、実社会への本格的な普及を目指します。
なお、CUCO®にて進めるCO2排出削減・固定量最大化コンクリートの開発には、既存のCO2吸収コンクリート「CO2-SUICOM®」のキーマテリアルとしてデンカが開発した炭酸化混和材「LEAF®」の技術を活用します。
今回の技術開発で取り組む積極的なコンクリートへのCO2固定化により、脱炭素から「活炭素」へのステージ移行をさらに推し進め、温室効果ガス削減という社会課題解決に貢献してまいります。
(*1) カーボンネガティブコンクリート:製造時のCO2の排出量よりも、CO2の吸収量が多いコンクリート
デンカは、新規事業の創出と新規技術の獲得を目的に、ペガサス・テック・ベンチャーズとCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンドを2023年1月16日に設立し、同日、両社の最高経営責任者による調印式を実施いたしました。
新経営計画「Mission 2030」のもと、当社は、2030年までにスペシャリティ、メガトレンド、サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」を100%にしていきます。その実現のための施策の一つとして、「ICT & Energy」「Healthcare」「Sustainable Living」の3分野での新規事業の創出と新規技術の獲得を進めます。この度のCVC設立により、最先端の技術・製品やビジネスモデル、事業アイディアを有するベンチャー企業への出資や事業提携を通して、既存事業の強化・拡大に加え、新規事業創出の加速を図ります。なお、本取り組みにおいては、2030年度までに最大で約1億米ドルの投資を計画しております。国内外の有望なベンチャー企業が保有する技術や事業と、当社独自の技術をはじめとする経営資本を掛け合わせ、社会課題解決に資する事業創出を目指してまいります。