当期における当社グループの事業の経過および成果の概況

 当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の世界的流行に対し各国で感染症対策やワクチン接種が進んだこと等により社会経済活動の制限が段階的に緩和され、景気は回復基調で推移しました。一方、昨年末以降、新たな変異株などによる新型コロナの感染再拡大により、景気回復のペースは鈍化しました。また、本年2月以降、ロシア・ウクライナ情勢による原油や天然ガス、各種原材料の供給不安および価格高騰等の影響、さらには各国の対ロシア経済制裁とロシアによる対抗策の実施による影響が懸念されております。
 米国では、経済対策や雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の増加や設備投資の回復により、景気は底堅く推移しました。欧州では、冬場の新型コロナ感染再拡大の影響があったものの、個人消費の回復が下支えし、景気は回復傾向で推移しました。中国では、新型コロナに対する局所的な封じ込め政策が個人消費を抑制し、さらに政府の投資抑制策によるインフラ投資や不動産開発投資の減少により、景気回復のペースは緩やかなものとなりました。
 わが国の経済は、上期は緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置が実施され、雇用環境や個人消費の回復は緩やかなものとなるなど、景気は概ね横ばいで推移しました。下期に入ってからは社会経済活動の制限緩和を背景に設備投資や個人消費に回復傾向が見られたものの、昨年から続く半導体等の供給制約の影響や、本年1月以降の新たな変異株などによる新型コロナの感染再拡大もあり、景気の本格的な回復には至りませんでした。
 このような環境の下、当社グループでは、引き続き注力事業である情報通信、エネルギーや自動車分野の強化に関する各施策に取り組んでまいりました。特に原材料価格および輸送費の高騰に対処するため、情報通信分野では北米における生産性改善やコスト低減等、エネルギー分野では利益確保を重視した受注活動の推進等、また自動車分野では新型コロナによる工場の稼働率低下への対策等に取り組んでまいりました。
 また、「古河電工グループビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)の達成に向け、ESG経営*を推進するとともに、新たな中期経営計画の実行に向けた基盤づくりとして、環境変化を先取りした事業の変革、新事業の立上げ・育成、および資本効率を重視した経営の強化に取り組んでまいりました。
 ESG経営推進の施策としては、2050年に事業活動における温室効果ガス排出量をゼロとするチャレンジ目標を掲げた「古河電工グループ環境ビジョン2050」の達成に向け、温室効果ガス排出量のより高い削減目標や水使用量の削減等の新たな目標を設定する「古河電工グループ環境目標2030」の改定、人材・組織実行力の強化に向け、成果の上がるチーム作りへの取組みや変革の推進・持続に必要なスキル習得のための従業員教育等を実施し、組織風土改革を推進してまいりました。また、サプライチェーン全体での人権に関する対応を含むCSR活動を推進するため、国内外グループ会社および当社の主要調達先に対する「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく対応等を進めてまいりました。環境変化を先取りした事業の変革では、事業ポートフォリオ見直しの仕組みの構築を図ってまいりました。また、グループ全体での新事業創出に取り組むとともに、資本効率を重視した経営の強化を図るため、資本コストをより意識した目標管理への移行を推進してまいりました。
*ESG経営…Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)に配慮した経営手法

 当期の業績につきましては、情報通信ソリューション事業において北米での光ファイバケーブルの販売の増加等により前期の落ち込みから回復したこと、また、電装エレクトロニクス材料事業において車載およびエレクトロニクス関連製品の堅調な需要を着実に取り込んだほか、銅地金価格高騰の影響もあり、グループ全体の売上は増加しました。損益面では、生産性の向上や戦略製品の拡販をはじめとする品種構成の改善等を推進してまいりましたが、原材料価格や輸送費の高騰等もあり、前期比では改善したものの、限定的にとどまりました。
 その結果、連結売上高は9,305億円(前期比14.6%増)、連結営業利益は114億円(前期比35.6%増)、連結経常利益は197億円(前期比279.0%増)となりました。固定資産売却益など96億円を特別利益に、減損損失など88億円を特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は101億円(前期比0.9%増)となりました。なお、海外売上高は4,690億円(前期比24.6%増)で、海外売上高比率は50.4%(前期比4.0ポイント増)となりました。
 単独の業績につきましては、売上高は2,924億円(前期比25.5%減)、営業利益は5億円(前期比74億円改善)、経常利益は65億円(前期比15.6%増)、当期純損失は5億円(前期比249億円悪化)となりました。
 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、連結売上高は525億円、連結営業利益および連結経常利益はそれぞれ4億円減少しております。また、売上高は1,686億円、営業利益および経常利益はそれぞれ1億円減少しております。ロシア・ウクライナ情勢や各国による制裁等による業績への影響は、当期においては限定的でしたが、引き続き注視してまいります。

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2022/06/23 12:00:00 +0900
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