対処すべき課題

 当社グループには、「私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。」との基本理念と、「Follow Your Heart」というビジョン(目指す世界観)、「まだ、ここにない、出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。」というミッション(果たす役割)、「新しい価値の創造」・「個の尊重」・「社会への貢献」というバリューズ(大切にする価値観)があります。

 当社グループは、長期的な利益成長の実現に向け、M&Aをはじめとした成長に向けた各種投資を機動的かつ積極的に実行していきます。その上で、投資と利益成長の適切なバランス及び株式価値の向上を重視しており、主な重要経営指標を調整後EBITDA(注1)及び調整後EPS(注2)として、企業価値の最大化を図っていきます。

 当社グループは、2020年3月期第1四半期よりIFRS第16号を適用し、会計方針を変更しています。IFRS第16号の適用により、原則として全てのリース契約について、借手はリース期間にわたり原資産を使用する権利及びリース料を支払う義務を、それぞれ使用権資産及びリース負債として認識します。旧基準であるIAS第17号ではオペレーティング・リースに係るリース料を賃借料として費用計上していましたが、IFRS第16号では使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用を費用計上します。結果として、IFRS第16号の適用に伴い、賃借料が減少する一方で使用権資産の減価償却費が増加し、EBITDAは増加します。そのため当社では、これまでの経営指標との比較可能性を考慮して、2020年3月期より経営指標をEBITDAから、IFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。

 当社グループでは、急速に変化するインターネット事業環境等に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取り組むことが重要と捉えています。
 このために当社グループは、「HRテクノロジー」、「メディア&ソリューション」及び「人材派遣」の3つの戦略ビジネスユニット(Strategic Business Unit、以下、「SBU」という。)単位で事業価値の拡大に取り組んでいます。3つのSBUごとに統括会社を設置する経営体制により、各事業が自律自転する組織体制を構築すると同時に、当社が持株会社としての機能の集中と強化を図り、適切なグループガバナンス体制やモニタリング体制等を整備することで、更なる企業価値の向上を実現します。

 当社グループは、ユーザー(個人等)やクライアント(企業等)の不満や不便といった「不」の解消と向き合い、双方に対して最適なマッチングソリューションを提供しています。テクノロジーを活用することで、マッチングの更なる効率性向上に注力し、ユーザーに対して最適な選択肢を提供し、中小企業を中心とするクライアントに対して更なる業務効率化を支援します。
 特に、現在のグローバル市場規模を1,500億米ドル程度(注1)と推定する人材マッチング市場において、長期的にテクノロジーを駆使してイノベーションを促進し、革新と創造を進めながら、グローバルリーダーとなることを目指します。人材マッチング市場とは、当社グループが推定する求人広告及び採用ツール市場、人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場、人材派遣市場の総称と定義しています。HRテクノロジー事業の主な展開領域であるオンライン求人広告市場はグローバルで150億米ドル程度(注2)と推定しており、50億米ドルを超える規模のオフライン求人広告市場(注3)がオンライン求人広告市場に流入を続けながら成長すると考えています。人材紹介やエグゼクティブサーチ市場はグローバルで500億米ドル程度(注4)の市場規模、人材派遣市場は、グローバルで4,450億米ドル程度(注4)の市場規模があると推定していますが、派遣社員への支払給与等を除いた派遣企業の売上総利益となる金額はその内の810億米ドル程度(注5)と推定しています。

 事業別の経営戦略は、以下のとおりです。
 HRテクノロジー事業においては、オンライン求人情報検索専門サイト「Indeed」とオンライン求人広告及び企業情報サイト「Glassdoor」の既存事業である求人広告領域において、グローバルでの更なる拡大を進めます。更に、採用プロセスの効率化に資する様々な新規事業の開発及びM&Aを行い、将来の成長を加速させていきます。
 メディア&ソリューション事業においては、既存事業の磨き込みに加え、業務・経営支援を通じクライアントの業務負荷を軽減することで、既存及び新規クライアントとの接点を強化することによって更なる成長を目指します。
 人材派遣事業においては、国内派遣領域では人手不足が継続する市場環境の下で、安定成長を目指します。海外派遣領域では、引き続き海外子会社に事業運営ノウハウを導入しながら、調整後EBITDAマージンの継続的な改善に取り組みます。

 株主の皆様におかれましては、引き続き変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

2019/06/19 14:00:00 +0900
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