経営の基本方針
当社グループの経営理念として、基本理念、ビジョン(目指す世界観)、ミッション(果たす役割)、バリューズ(大切にする価値観)を掲げています。

当社グループは、個人ユーザーと、企業クライアントの双方に対してより多くの最適なマッチングソリューションを提供する、マーケットプレイスビジネスモデルを通してこれらの実現を目指してきました。
現在は、当社グループが培ってきた経験を活かして開発したAIを活用することで、マッチングの更なる効率性向上と高速化に注力し、個人ユーザーに対して最適な選択肢を提供し、企業クライアントに対して更なる業務効率化を支援しています。
目標とする経営指標
当社グループは、長期的な利益成長と企業価値及び株主価値の最大化に向け、新規事業投資や研究開発、M&A等の成長投資を機動的且つ積極的に実行していきます。そのための主な経営指標をEBITDA+Sと設定し、EBITDA+Sの達成度を役員の報酬に連動させることにより、株主の皆様との価値共有を促進しています。
経営戦略
当社グループは、テクノロジーの進化等により急速に変化する事業環境に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取組んでいます。
HRテクノロジー事業及び人材派遣事業が、グローバル人材マッチング市場において、またマーケティング・マッチング・テクノロジー事業が日本において、インターネット広告事業にとどまらず、AIとテクノロジーを駆使して企業クライアントの業績向上及び生産性改善をサポートするソリューションプロバイダーに進化することを目指しています。
加えて、不確実性が高まる中で持続的な企業価値向上を目指すためには、健全なガバナンスの基で、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、すべてのステークホルダーとの共存共栄を目指す必要があると考えています。そのため、環境・社会・ガバナンスについて具体的な目標を掲げ、社内外ステークホルダーとの対話を重視しながら、その実現に向けて取組んでいます。
当社グループ全体の経営戦略と対処すべき課題は、以下のとおりです。
Simplify Hiring - 人材マッチング市場における採用プロセスの効率化
当社グループは、求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、採用オートメーション市場及び人材派遣市場の総称を人材マッチング市場と定義し、求職者がより速く容易に仕事を得られることや、企業クライアントの採用に係るコストと時間を削減することを通じた人材マッチング市場における採用プロセスの効率化に取組んでいます。
当社は、Simplify Hiringの実現に向けて、人材マッチング市場全体をターゲットとして当社グループの人材関連事業全体で連携を更に強化し、一体的に運営することが不可欠であると考えています。Indeed PLUS、そして人材紹介事業を通じて、当社は、これらの事業を一体的に運営することで、採用効率が向上し、グローバルなHRマッチング市場に効果的に対応する能力が加速されると考えています。
当社グループは、事業を展開しているすべての人材マッチング市場において、数多くある採用プロセスを自動化し、マッチングの質とスピードの向上に取組んでいます。各サービスが持つ膨大なデータをAIや機械学習技術と組み合わせて活用することで、採用プロセスを簡素化し、求職者と企業クライアントにさらなる価値を提供することを目指しています。長期的には、ボタンをクリックするだけで完了するような、より速く効率的で、公平な求職者と企業クライアントのマッチングを目指します(注1)。
HRテクノロジー事業は、グローバルで展開する世界有数のオンライン求人マッチング・採用プラットフォームであるIndeedとGlassdoor(注2)や、日本で展開する求人配信プラットフォームであるIndeed PLUSを含む、求職者と採用企業からなるグローバル人材マーケットプレイスを運営しています。Simplify Hiring戦略推進の中心的な役割を担っており、求職者と中小企業や大企業、派遣会社といった事業規模を問わず数多くの企業クライアントのマッチングを可能にしています。
HRテクノロジー事業のオンライン求人マッチング・採用プラットフォームに掲載されている求人は、公開情報からアグリゲートされたもの、ATSを通じて投稿されたもの、企業クライアントにより直接プラットフォームに投稿されたものがあり、求人件数は2,000万件以上(注3)にのぼります。より簡単で速く、また、一人ひとりに合った求職活動を支援するため、求人情報の検索やレコメンデーション、プロフィールの作成や経歴書の掲載、キャリアアドバイス、動画や電話による面接の設定や実施等、求職活動に関わる一連のツールを提供しています。
企業クライアントに対しても同様に、AIを活用して、より簡単で速く、また、一社一社に合わせた採用活動を支援するソリューションを提供しています。HRテクノロジー事業のオンライン求人マッチング・採用プラットフォームは、求人広告の掲載や採用のための企業ブランディング等を通して、様々な求職者へのアプローチを可能にしています。また、ペイフォーパフォーマンスモデルあるいはサブスクリプションモデルのソーシング、スクリーニング、採用候補者とのやり取りや面接といった採用プロセスに係るサービスを提供することで、効率的な採用活動を支援しています。
Indeedを採用のために毎年利用する企業クライアントは350万社(注4)あり、Indeed上で作成された求職者のプロフィールは6億6,500万件以上(注5)にのぼります。
人材マーケットプレイスの効率性と有効性を高めるためには、求職者と企業クライアントをマッチングするプロセスの改善が不可欠です。そのためには、予測AIや機械学習技術を活用し、過去のデータとリアルタイムの活動情報を分析することで求職者と企業クライアントの行動を予測し、求職者には最適な求人のレコメンデーションを、企業クライアントには最適な候補者リストを提供することが必要です。加えて、この改善を可能にするためには、大規模言語モデルに基づきレコメンデーションの背景を説明するなど、新しい体験を提供する生成AIの活用によって、当社サービスの人材マーケットプレイスにおける求職者と企業クライアントとのエンゲージメントを高めることも不可欠です。
求職者がログインをしてプロフィールを作成することで、当社サービスは求職者のスキルや好みをより深く理解することができ、よりパーソナライズされた求人情報を提供することができるようになります。これにより、求職者はより良いユーザー体験を得られるだけでなく、より効率的に適切な就職の機会を見つけることができるようになります。
更に、当社サービスがマッチング成立あるいは不成立の要因を理解することも、求職者と企業クライアントそれぞれにとって極めて重要だと考えています。当社の人材マーケットプレイスでは、求職者と企業クライアントの間で、メッセージのやり取り、電話、応募書類の提出、面接の申し込みや返信のリマインド、採用オファー等のやり取りが行われています。また、外部ATSとの連携を増やすことで、更に多くのデータをIndeedプラットフォームに集約し、マッチング精度の向上に取組んでいます。マーケットプレイス上でのやり取りを、採用プロセスにおけるそれぞれのステップごとに追跡することで、求職者と企業クライアント双方の視点から、何故次のステップに進むことができたのかという貴重な情報を得ることができます。
採用プロセスの効率化の進捗度合いを表す指標は、Indeed上における1分当たりの平均採用者数(注6)であると考えています。この指標はマッチング精度の向上、採用プロセスの自動化、企業クライアントとの関係性の深化の進捗を計るものであり、これら要素の改善はさらなる採用者数の増加に繋がります。2025年の1分当たりの平均採用者数は、社内測定に基づくと31名となりました。
また、Simplify Hiringを実現することを目指し、当社グループ全体が保有する企業クライアントとの関係性、オフライン、オンラインを合わせたすべてのユニークなデータを活用したAIテクノロジーを活用し、グループの人材関連事業全体でマッチングエンジンの進化に取組んでいます。
この一例が、Indeed PLUSです。Indeed PLUSは、当社のオンライン求人マッチング・採用プラットフォームに関するテクノロジーの強みと、タウンワークやリクナビNEXTをはじめとする、日本国内のジョブボードに蓄積されたデータや知見を組み合わせた求人配信プラットフォームで、日本国内の求職者と企業クライアントのマッチングをより効率化するサービスです。日本国内のジョブボードのうち、リクナビを除くすべてのジョブボードは既にIndeed PLUS利用ジョブボードとなっています。Indeed PLUSにより、求職者はより多くの求人の中から仕事を選択することが可能になり、また、企業クライアントもより多くの候補者の中から求める人材を、より速く、効率的に採用することが可能になります。
また、人材紹介サービスであるリクルートエージェントでは、当社グループのマッチングエンジンを活用し、経歴書のスクリーニング等これまで人が手作業で行っていた工程の効率化を進めています。日本市場で60年以上人材マッチングビジネスを運営してきた当社のノウハウと、Indeedのテクノロジーや膨大な量のデータを連携させ、日本国内でのSimplify Hiring戦略を積極的に進めていきます。
更に、人材派遣事業では、当社グループが持つ独自のマッチングエンジン等のテクノロジーを活用することに注力しています。従来の人材派遣の事業プロセスにデータの活用や自動化を導入することで、企業クライアントにより良い採用体験を、派遣社員にはより良い求職体験を提供していきます。マッチングの精度とスピードを改善し、派遣社員の定着率を向上させ、手作業のプロセスを自動化することで、人材派遣市場をリードする最も革新的なプラットフォームとなることを最終目標としています。
当社は、2025年のグローバル人材マッチング市場の規模を、2024年の推測規模(注7)から微減となる3,020億米ドル程度と推計しています。この減少は主に人材派遣市場の縮小を背景としたもので、その他の市場規模は概ね横這いと推定しています。詳細は注記をご覧ください。
人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、また採用オートメーション市場に含まれる社内の採用プロセスは、候補者のソーシングやスクリーニング、面接の設定、候補者の選定や採否決定のため、歴史的に手作業に大きく依存する業務プロセスであるとされてきました。当社グループはデータや自動化を活用し、これらの作業を効率化するソリューションを、業界平均よりも低価格で採用担当者や企業経営者に提供することを目指します。それによって、当社がサービスを提供する企業クライアント数を更に増やし、採用予算のうち、より多くのシェアを獲得することを目指します。
人材マッチング市場規模 (推定)

求人広告及び採用ツール市場
2025年における求人広告及び採用ツール市場の市場規模は、Staffing Industry Analysts(SIA)の推計に基づき、グローバルでの年間売上金額ベースで340億米ドル程度(注9)と推定しています。
人材紹介市場
正社員を雇用者に紹介することで手数料が発生する人材紹介市場における多くのサービスは、属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルを採用しており、2025年におけるグローバルでの市場規模を、年間売上金額ベースで710億米ドル程度(注11)と推定しています。
エグゼクティブサーチ市場
管理職が対象となるような、特定の役割を担う従業員候補者のサーチに報酬が発生するエグゼクティブサーチ市場では、多くのサービスが人材紹介市場と同様に属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルを採用しており、2025年におけるグローバルでの市場規模を、年間売上金額ベースで240億米ドル程度(注11)と推定しています。
人材派遣市場
2025年における人材派遣市場の市場規模は、グローバルでの年間売上金額ベースで5,220億米ドル程度(注13)、売上金額から派遣スタッフの給料や関連する費用を控除した売上総利益金額は940億米ドル程度(注13)と推定しています。
また、人材プラットフォーム(注17)、人材派遣プラットフォーム(注18)及びVMS/FMS(注19)における2025年のグローバルでの年間推定売上、並びにMSP(注20)及びRPO(注21)により代替可能な企業クライアントのリソースの年間推定金額(自動化によって得られる企業クライアントのコスト削減効果を考慮)もこの市場に含まれています。伝統的な人材派遣市場とこれらの市場の関連性及び人材派遣のサービスプロバイダーがこれらの市場のサービスの一部又は全部を提供する頻度を考慮し、当社はこれらの市場を人材派遣市場として統合することが適切であると考えています。
よって、2025年のこれらの市場規模の合計は約1,050億米ドル(注13)であると推定しています。
採用オートメーション市場
当社が既に一部で事業展開を行っている採用オートメーション市場は、2025年において、680億米ドル程度(注15)の市場規模であると推定しています。市場規模は、企業クライアントが人材採用のために社内リソースに費やしている金額を基に、その金額のうちどの程度が第三者による採用オートメーションサービスによって代替可能であるかを推定することに加え、自動化によって得られる企業クライアントのコスト削減効果を考慮した上で算出しています。更に、採用プロセスにおいて現在使用されている自動化ツールをより包括的に含めるため、この市場には、ATS市場における2025年のグローバルでの年間推定売上(注22)と身辺調査のうち、第三者によるサービスによって代替可能な社内リソースの年間推定金額(注23)も含まれます。
(注1〜23)「その他の電子提供措置事項(交付書面省略事項)」「事業報告」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(注記)」「経営戦略」「Simplify Hiring - 人材マッチング市場における採用プロセスの効率化」をご参照ください。
Help Businesses Work Smarter - 日本国内企業クライアントの生産性及び業績向上
Help Businesses Work Smarterは、マーケティング・マッチング・テクノロジー(MMT)事業が推進する、日本国内の企業クライアントの生産性及び業績向上に貢献し、その持続的な成長を実現することで、中長期的に当社の売上収益の増大を図るという戦略です。
MMT事業は、バーティカルに特化したマッチングプラットフォーム及びそれに付随する業務支援SaaSや、バーティカルを問わない業務支援SaaSのAir ビジネスツールズを提供しています。それらが構築するエコシステムで企業クライアントの事業運営に係るすべての経済活動を支える業務を循環、完結させることでこの戦略を実現します。
MMT事業のマッチングプラットフォームでは、9,865万(注1)のアカウント基盤を持つ「リクルートID」の個人ユーザーと約98万の企業クライアント(注2)の膨大なマッチングをタイムリーに創出しています。企業クライアントから業務支援SaaSを通じて連携された予約枠や、モノ・サービス等の情報に対する、リクルートIDを保有する個人ユーザーのアクション、例えば美容院の予約や新築マンションの資料請求によりマッチングが実現しています。特にMMT事業の顧客基盤の大半を占める中小規模の企業クライアントにとって、当社プラットフォームは、集客から問い合わせや予約管理、決済までを効率的に完結可能な、業務のデジタル化を実現するインフラとして貢献しています。
また、当社はマッチングプラットフォームと業務支援SaaSを通じて蓄積される、予約・決済に関するデータだけではなく、対面接客履歴といったオンライン上にない独自のデータを活用し、AIを用いたサービス内容や価格の改善提案を行います。
個人ユーザーは、「リクルートID」にアカウント登録することで、当社のマッチングプラットフォームでのアクションに応じてポイントが付与されます。このポイントプログラムの活用を促進することで、バーティカル間の相乗効果を創出しており、バーティカルプラットフォームの併用を示すクロスユース率(注3)は4分の3を超え、強固なユーザー基盤に基づくアクションを創出しています。
個人ユーザーのアクション数(注4)は、2017年度の約1.9億件から、2025年度には約4.0億件に増加しました(キャンセル除く)。今後はアクションデータやマッチングテクノロジーを駆使してマッチングプラットフォームの提供価値と利便性を向上させ、アクション数の増加を目指します。
「マッチングプラットフォームに蓄積される独自のデータを活用したAIによる改善提案」と「リクルートIDを保有する個人ユーザー基盤から創出されるアクション」を掛け合わせることにより、当社は当社マッチングプラットフォーム上でのマッチングを通じて購買に至った合計金額である流通取引総額、すなわち企業クライアントのGross Merchandise Value(GMV)の最大化を実現します。
現在は、多くのバーティカルで、企業クライアントの期待アクション数とその獲得コストに応じて月額固定で課金する「期待アクション数別プラン」を提供しています。今後は、美容分野を皮切りに、複数のバーティカルで、GMVに応じて当社が対価をいただく「GMV連動型」の収益モデルを段階的に追加していきます。こうした収益モデルの進化とAI活用によるGMV拡大を掛け合わせることで、AIの進化を企業クライアントと当社の双方の中長期的な成長をけん引する重要なドライバーとしていきます。
当社は、それぞれのバーティカルの事業環境の変化、個人ユーザーの多様化するニーズやAIの普及による情報収集や比較に関する行動変容及び企業クライアントへの提供価値の変化に対応し、各バーティカルごとにビジネスモデルを進化させます。これによりHelp Businesses Work Smarterを推進し、「日本中の企業クライアントの稼ぐ力を高める」ことで当社の売上収益増大を図ります。
(注1〜4)「その他の電子提供措置事項(交付書面省略事項)」「事業報告」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(注記)」「経営戦略」「Help Businesses Work Smarter - 日本国内企業クライアントの生産性及び業績向上」をご参照ください。
Prosper Together - ステークホルダーとの共存共栄を通じた持続的な成長
当社は、企業活動全体を通じて社会にポジティブなインパクトを与え、すべてのステークホルダーと共存共栄を目指していくことが、当社の持続的な成長に繋がると考えています。当社では、不確実性が高い環境のなかで、より事業戦略とサステナビリティの取組みを一体的に推進すると共に、地域ごとの事業環境や社会課題に即して取組みを進めています。2031年3月期に目指す環境・社会・ガバナンスの目標に向けた、2026年3月期(注1)の進捗は以下のとおりです。
環境 (Environment)
短期目標として定めた、当社グループの事業活動におけるカーボンニュートラルは、2022年3月期より5期連続して、2026年3月期も達成する見込みです(注2,3)。そして、2031年3月期までに目指すバリューチェーン全体を含めたカーボンニュートラル(注2,4)に向けても、SBTiの短期目標に基づいて温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量削減を進めており、2025年度までの目標を大幅に超えて削減する見込みです。
当社のGHG排出量の95%以上(注5)を占めるスコープ3については、パートナーと共に排出量を精緻化する取組みを進めています。一例として日本では、パートナーと連携して、システム開発プロジェクト単位でGHG排出量を算定し、その算定結果に対して第三者保証が取得されました(注6)。今後は、主要パートナーにモデルケースを展開することで、バリューチェーン全体の排出量を精緻化するとともに、削減に向けた取組みを進めていきます。
また、企業の環境に対する取組みを評価する国際的な非営利団体であるCDPにより、気候変動分野における課題解決と開示の透明性におけるリーダーシップが認められ、2023年より3年連続で、2025年も最高評価であるAリスト企業に選定されました(注7)。
社会 (Social)
世界で人材マッチング事業を展開する当社グループとして、人々にとって欠かせない生活基盤である「仕事」の領域で、すべての求職者に雇用機会を提供し、就業までに掛かる期間を短縮することで社会にインパクトを創出していくために、2031年3月期に向けた2つの目標を掲げています。
1点目の2031年3月期までに「就業までに掛かる時間」を半分にする目標に向けては、Indeed上の求人における「採用までに掛かる時間」を指標として短縮に向けた取組みを進めています。2025年度にその測定方法を従来の平均値から国際的なベストプラクティスにも沿う中央値へ変更しました(注8)。そして、2025年12月時点の「採用までに掛かる時間」は30日となり、2024年12月時点から6日増加しました(注8)。これは、米国のマクロ経済環境の影響が要因の1つです。
一方で、厳しいマクロ経済環境下においても、当社の有料ソリューションやプロダクトイノベーションが「採用までに掛かる時間」の短縮に寄与することがわかっています。例えば、米国において、Premium Sponsored Jobsを利用してIndeedに直接掲載された有料求人における「採用までに掛かる時間」は、無料求人と比較して50%短いといった結果が得られています(注9,10)。
更なる「採用までに掛かる時間」の短縮に向けては、AI等を活用したプロダクトを通じて、初期段階の選考効率化、マッチングの高度化、応募後の求職者と雇用主間のやり取りの円滑化を進めています。例えば、Indeed Smart Screening機能を通じて、選考の初期段階で、雇用主が定めた要件に基づいて候補者を探しやすくする仕組みを提供しています。最終的な選考判断は雇用主が行う前提で、要件に沿った候補者を効率的に確認できるため、選考に掛かる時間の短縮につながります。本機能を提供している米国での初期テストでは、この機能を利用した雇用主の「採用までに掛かる時間」が平均20%短縮されました(注11)。
当社は、こうした取組みを通じて、求職者が就業するまでのプロセスを、より速く、シンプルに、もっと身近にするとともに、求職者と雇用主のより良いマッチングを実現することで、社会への貢献と持続的な事業成長の両立を目指していきます。
あわせて、労働市場には、ジョブマッチングの速度と精度を向上するだけでは解決することが難しい数多くの障壁が存在しています。そこで、2031年3月期までに累計3,000万人の障壁に直面する求職者の就業を実現するという2点目の目標を定め、学歴や障がい等の6つの障壁の低減に取り組んでいます。特に、学歴等の従来の形式的な要件だけでは見えにくい、仕事やトレーニング等を通じて求職者が得たスキルを基に選考する「スキルファースト採用」の拡大を進めています(注12)。
具体的には、AIを活用したJob Description GeneratorやIndeed Smart Sourcingなどの機能を通じて、スキルや経験に基づく求職者と雇用主のより適切なマッチングを支援しています。このような取組みに加えて、Opportunity@Work、国際移住機関(国連関連機関)、Hidden Disabilities Sunflowerなど世界各地の団体と連携した取組みも進めています。
これらの取組みの結果、2026年3月期までに累計で約1,880万人の障壁に直面する求職者の就業を実現しました(注13,14)。引き続き、インクルーシブでスキルファーストな採用を促進することで、労働市場の障壁の低減に取り組んでいきます。
また、当社グループでは、創業以来、従業員一人ひとりの違いを大切にし、その好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで、新たな事業やサービスを生み出してきました。この考えに基づき、2031年3月期までに当社グループ全体における上級管理職・管理職・従業員それぞれでジェンダーパリティを目指す目標(注15)に向けて取り組んでいます。
グループ全体の目標達成に向けては、地域ごとに異なる課題を踏まえた取組みが重要であると考えています。例えば、ジェンダーギャップが大きい日本を中心に事業を展開する㈱リクルートでは、管理職要件の明文化等を通じて候補者拡大に取り組むとともに、コーチングメソッドを取り入れた人材育成プログラムを展開しました。これらの取組みの結果、女性管理職比率は、継続して向上しています(注16)。
ガバナンス (Governance)
当社は、経営の透明性と健全性を向上し、経営の意思決定の質を上げるためには、様々なスキルや経験、バックグラウンドを持つメンバーで取締役会を構成することが重要であると考えています。
2031年3月期までに当社の取締役及び監査役全体のジェンダーパリティを目指す目標に向けては、当社の中長期戦略の実現に向けて必要となるスキルやバックグラウンドを検討した上で、取締役候補の検討を継続しています。
(注1〜16) 「その他の電子提供措置事項(交付書面省略事項)」「事業報告」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(注記)」「経営戦略」「Prosper Together - ステークホルダーとの共存共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。
キャピタルアロケーション方針
当社のキャピタルアロケーションは、以下を優先順位として設定しています。
- 既存事業の継続的な成長に資する開発費用及びマーケティング費用
- 安定的な1株当たりの配当の継続的な実施
- 人材マッチング市場におけるHRテクノロジー事業を中心とした戦略的M&A
- 市場環境及び財務状況の見通しを考慮した上での自己株式取得
また、個別の投資案件の実行の是非を判断する際には、資本コストを上回るハードルレートを適用する等、資本効率を重視し、ROEを意識した経営に取組んでいます。なお、2026年3月期のROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は31.0%でした。