事業の経過およびその成果

全般的概況
 新たな中期経営計画(SF 1st Stage)の初年度となる当期(2023年3月期)における当社グループを取り巻く事業環境は、上海ロックダウンやグローバルでのインフレ拡大、部材の逼迫など、1年を通じて大きく変化しました。
 このような中、売上高は、第1四半期(4月~6月)で制御機器事業を中心に上海ロックダウンの影響を大きく受けましたが、第2四半期以降、生産回復に加え高水準の受注残に対応すべく供給力強化を加速した結果、前期比で大幅に増加しました。部材価格高騰や第1四半期における制御機器事業の主力工場の稼働率低下などの影響がありましたが、全社で価格適正化などの付加価値率改善に継続して取り組み、売上総利益率は45.0%(前期比0.5P減)となりました。また、SF 1st Stageの目標達成に向けた積極的な投資を継続して実行しました。以上の結果、営業利益、税引前当期純利益、当社株主に帰属する当期純利益は前期比で大幅に増加しました。また、ROIC(投下資本利益率)とROE(株主資本利益率)は、ともに10%を超える水準となりました。
 なお、売上高・営業利益・税引前当期純利益は過去最高業績を更新しました。

 なお、当期における対米ドル、対ユーロおよび対人民元の平均レートはそれぞれ135.2円(前期比23.1円の円安)、140.9円(前期比10.4円の円安)、19.7円(前期比2.3円の円安)となりました。


部門別概況
○当社グループ(連結)の部門別売上高

(注1)「本社他(消去調整含む)」には、上記各部門に属さない子会社などが含まれます。
(注2)経営管理区分の見直しにより、2023年3月期(第86期)より、制御機器事業の一部の事業を電子部品事業に移管しています。これに伴い、2022年3月期(第85期)を新管理区分に組み替えて前期比を算出しています。


 製造業全体の設備投資需要は足元で減速リスクが高まりましたが、当社が注力する半導体製造装置・電気自動車(EV)・二次電池向けなどの需要は依然として堅調に推移しました。
 このような状況において、第1四半期に上海ロックダウンによる当社主力工場の稼働率低下の影響を大きく受けましたが、第2四半期以降は、高水準の受注残の解消に向けた供給力強化の取り組みを進めるとともに、注力業界を中心としたソリューションビジネスの拡大を加速しました。これらの結果、売上高は前期比で大きく増加し、過去最高となりました。
 売上高の大幅な増加により、営業利益は前期比で大きく増加し、過去最高となりました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、4,857億円(前期比16.2%増)、営業利益は、858億円(前期比12.6%増)となりました。

(注)経営管理区分の見直しにより、2023年3月期(第86期)より、制御機器事業の一部の事業を電子部品事業に移管しています。これに伴い、2022年3月期(第85期)の業績についても新管理区分に組み替えて表示しています。

主要な事業内容
制御機器事業は、「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」をビジョンに、オムロンがこれまでに培ってきた“センシング&コントロール+Think”のコア技術を基盤に、世界中の製造業のモノづくりを先進のオートメーションで革新し、産業の発展に貢献してきました。独自の価値創造コンセプト“i-Automation!”(*)を掲げ、業界随一の幅広い制御機器を軸に、製造業を中心に急激に変化する社会課題を革新的ソリューションで解決し、産業の高度化とともに働く人々の幸せの実現に貢献する社会価値の創出を目指します。

○プログラマブルコントローラ、モーションコントロール機器、センサ機器、産業用カメラ・コードリーダ機器、検査装置、セーフティ用機器、産業用ロボット

(*) “i-Automation!”・・・当社は、モノづくり現場の課題解決を通じて社会価値を創出する価値創造コンセプト“i-Automation!”を提唱し、モノづくり革新を牽引しながら地球環境との共存と人々の働きがいを実現するサステナビリティに向けたオートメーションの提供を推進しています。“i-Automation!”は、人をより創造的な役割に誘い、現場生産性の最大化とエネルギー効率を両立する「人を超える自働化」、人の可能性を最大に引き出し、人と機械が共に成長・進化する「人と機械の高度協調」、そして製造現場や設備をデジタル空間で再現し、モノづくり現場のDXを加速させ、業務プロセスの革新に貢献する「デジタルエンジニアリング革新」の3つのコンセプトの具現化を目指しています。


 世界的なインフレ影響による消費マインドの冷え込みと、中国でのゼロコロナ政策継続に伴う販売店休業や物流網停滞の影響を受け、血圧計を中心に需要は低調に推移しました。
 そのような中でもグローバルにおける健康意識の高まりへのニーズを着実に捉えるとともに物流の改善なども迅速に実施したことに加え、為替影響もあり、売上高は前期比で増加しました。
 固定費抑制や価格適正化に取り組みましたが、部材価格の高騰や将来成長への投資継続により、営業利益は前期比で大きく減少しました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、1,421億円(前期比7.0%増)、営業利益は、160億円(前期比13.6%減)となりました。

主要な事業内容
ヘルスケア事業は、「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」をミッションに、誰でも簡単・正確に測定できる使いやすさと、医療現場からも信頼される精度にこだわり、商品やサービスを開発しています。商品では、血圧計や体温計、喘息治療薬を吸入するための機器であるネブライザなど、各国の医療機器認証を取得したデバイスの販売を世界110ヵ国以上で展開しています。サービスでは、医師が遠隔で患者をモニタリングし処方・治療支援を行う遠隔診療サービスの提供を主要国から進めています。

○電子血圧計、ネブライザ、低周波治療器、心電計、酸素発生器、電子体温計、体重体組成計、歩数計・活動量計、電動歯ブラシ、マッサージャ、血糖計、動脈硬化検査装置、内臓脂肪計、遠隔患者モニタリングシステム、遠隔診療サービス


 エネルギーソリューション事業では、エネルギー価格の高騰などにより自家消費を中心に再生エネルギー関連に対する堅調な需要が継続しました。駅務システム事業では、鉄道利用者数の回復に伴い、顧客の更新投資需要が第2四半期以降は回復傾向で推移しました。これらの結果、売上高は前期比で大きく増加しました。
 外貨建て仕入の為替影響はあるものの、売上高の増加に加え価格適正化に継続して取り組んだ結果、営業利益は前期比で大きく増加しました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、1,073億円(前期比22.3%増)、営業利益は、75億円(前期比15.1%増)となりました。

主要な事業内容
社会システム事業は、「世界中の人々が安心・安全・快適に生活し続ける豊かな社会を創造する」をミッションとしています。太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのデータ・電源保護といった、多岐にわたる端末・システム、さらにソフトウェア開発、保守メンテナンスによるトータルソリューションを提供し、社会インフラを支えています。

○エネルギーソリューション、駅務システム、交通管理・道路管理システム、カード決済ソリューション、安心・安全ソリューション、IoT(電源保護・データ保護)ソリューション、関連メンテナンス事業


 民生業界向け部品は、グローバルでのインフレ影響により需要が低下傾向となったものの、注力する太陽電池や蓄電などのエネルギー関連、半導体検査装置関連向け需要は堅調に推移しました。
 これらの需要に対応すべく柔軟かつタイムリーな生産・物流・販売に注力した結果、売上高は前期比で大きく増加し、過去最高となりました。
 原材料価格高騰などの影響を受けたものの、売上高の大幅な増加に加え、価格適正化や過去に取り組んできた構造改革の成果などにより、営業利益は前期比で大きく増加し、過去最高となりました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、1,389億円(前期比14.8%増)、営業利益は、155億円(前期比53.7%増)となりました。

(注)経営管理区分の見直しにより、2023年3月期(第86期)より、制御機器事業の一部の事業を電子部品事業に移管しています。これに伴い、2022年3月期(第85期)の業績についても新管理区分に組み替えて表示しています。

主要な事業内容
電子部品事業は、「我々のデバイスとモジュールで、顧客の価値を創造し、地球上の人と社会に貢献する」をミッションとしています。家電製品や産業機器、モビリティ、エネルギーインフラなど、幅広い業界の顧客に対して、電気を繋ぐ・切るためのコア部品となる、リレー、スイッチ、コネクターや、さまざまな製品の目や耳になるセンサなどのデバイスやモジュールを、全世界で提供するオムロンの基盤事業です。

○リレー、スイッチ、コネクター、アミューズメント機器用部品・ユニット、汎用センサ、顔認識ソフトウェア、画像センシングコンポ、MEMSセンサ


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2023/06/22 11:30:00 +0900
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