将来の成長に向けた対処すべき課題

 世界的な人口増加や高齢化、都市化が拡大する中で、CO2排出による地球温暖化や交通事故は、ますます大きな社会課題となっています。加えて、社会は情報化・知能化の飛躍的な進展により、ビジネスモデルの変化や、人々の価値観・消費行動の多様化が起こっています。モビリティ領域においても、IoT・AIの進化により、電動化、自動運転、コネクティッド、シェアリングの動きが加速しており、当社を取り巻く環境は大変革期を迎えています。

 このような大変革期においても持続的に成長し続けるために、当社は2017 年10 月に、2030 年の目指す姿を描いた、2030 年長期方針を策定しました。従来注力している「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」していただける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきたいと考えています。

 また、企業活動を通じて社会課題を解決し、持続的な社会の実現に貢献するため、優先課題を定め取り組みを進めています。国連のSDGsを含む様々な社会課題の中から、持続可能な社会実現のために重要度が高く、当社が特に貢献できる分野を「環境」「安心」「企業基盤」の3つの分野とし、各分野の優先取り組み課題を全社で共有しています。企業活動を通じてこれらの目標達成を図ることによって、社会課題解決に貢献していきます。

デンソーグループ2030年長期方針

地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい。

2030年の目指す姿

地球にやさしく、すべての人が安心と幸せを感じられるモビリティ社会の実現に向け、新たな価値を創造し続ける企業

環境 未来のために、もっと豊かな環境を。

安心 どこまでも安全に、いつまでも心地よく、すべての人へ。

共感 モビリティ社会に新たな価値を。人に笑顔を。

当社の優先取り組み課題とSDGs

TOPICS

社員への“サステナビリティ”の浸透
デンソーグループ17万人すべての社員が“サステナビリティ”を理解し、実践していくことが、企業及び社会の持続的成長のために不可欠です。
社員一人一人の行動を変革させていくために、まずは個々人の理解度向上が必要と考え、グローバルな浸透活動を推進しています。

グローバルリーダーを集めた日本でのワークショップ社員食堂でのサステナブルシーフード(※)の提供アジアでのSDGsイベントの開催

※サステナブルシーフード
水産資源や環境に配慮し適切に管理された漁業で獲られた水産物、あるいは環境と社会への影響を最小限に抑えて育てられた水産物のこと

創立70周年デンソーの原点~
創業の精神としての社是 ~

デンソーは創立70周年を迎えました。今のデンソーがあるのは従業員、顧客、仕入先、地域、先人(OB/OG)、株主の皆様の温かいご支援のおかげです。
現在、自動車業界は大きな変革期を迎えています。この70周年という節目に、改めて原点としての社是に立ち返り、未来に向けた取り組みを進め、社会やお客様に新しい価値を届けていきます。

デンソーの原点

1949年 創業

トヨタ自動車工業から電装工場を分離独立し、日本電装株式会社が誕生。世界水準の技術・品質・コストの実現を目指し、その革新と創造の歴史をスタートさせました。社名は、日本中の、多くの会社に安定した製品を提供していくという意思を込め「日本電装」を採用しました。

1956年 社是制定
社是はデンソーの原点であり、常に心の中に置いておくもの。
行動や判断に迷った時は社是に立ち返り、未来に向けた取り組みを進めます。

信用は、安心・信頼の証。
本音の対話やぶつかり合いを通じて、先人たちが愚直に積み上げてきた。油断すると一瞬にして失われ、簡単には戻せない。

信用を尊び責任を重んず

信用を守る。積み重ねる。
そして、次の世代に受け継ぐ。
強い気持ちで行動し、やり遂げ、自分の役割を全うする。

創業当初からつくられているスターター。
この製品から信用を積み重ね、社会への責任を全う

自分の見栄えや肩書きよりも大切なものがある。
中身や本質を磨き続ける。
相手を敬い、日々の何気ない言動にも温もりと優しさを込める。

虚飾を排し和衷協力誠実事に當る

誠実さとは、思いやりの深さ。
本気で相手のことを想うとき、私たちは予想を超えた力を発揮できる。
いま自分にできることは何か問い続ける。

2011年、全社一丸となって協力し、震災からの早期復興に尽力

未来を見据え、夢を描く。
その夢を、いち早く実現して社会に価値を届ける。
道なき道を、私たちの手で切り拓く。

研究と創造に努め常に時流に先んず

社会に役立つ新しい価値を生み出したい。
そのために、世界に広く学び、挑戦し、技術やノウハウを磨き続ける。
諦めない心で、一歩ずつ先を目指す。

1968年、自動車の電子化対応のためにIC研究棟を設立。
車載品質のIC量産化への道を切り拓く

車に乗る人も、乗らない人も笑顔になり、幸せになる。
人々を喜ばせる価値を提供し続ける。

最善の品質とサービスを以て社会に奉仕す

お客様の期待を満たせているか?
変化し続けるお客様の課題に全力で向き合っているか?
私たちの価値は、お客様一人ひとりの満足だ。

1994年、QRコードを開発。
幅広い普及で社会に貢献

電動化

実現したい未来

当社は、地球にやさしく、より快適に移動できる電動車両システムを提供するために、長年、電動化技術の開発を行っています。その結果、ハイブリッド車に欠かせない主要製品の高性能化や小型化、省燃費を実現し、世界中で生産実績を積み上げてきました。今後は、当社の幅広い事業領域を活かし、車内のあらゆるシステムや製品をつなぎ、クルマの中のエネルギーを効率よくマネジメントすることで、さらなる燃費性能の向上や省電力化に貢献していきます。

具体的な取り組み

電動開発センターを開設

 当社は、将来のモビリティ社会の実現に向けた注力分野として、電動化領域の技術開発に取り組んでおり、電動化車両のキーコンポーネントの開発、生産を行ってきました。近年の電動化製品の世界的な需要の高まりを受け、今後さらなる開発、生産体制の強化を行います。
 その一環として、2020年5月にデンソー安城製作所内に「電動開発センター」を開設しました。開発センターでは、先行開発から試作、実証、量産ラインの立ち上げ・安定化までを一貫して行うことで、電動化領域の製品開発のスピードを加速します。

「デンソー広瀬製作所」始動

 2020年4月にトヨタ自動車の広瀬工場が当社に合流し、「デンソー広瀬製作所」としての活動を開始しました。今後、安城製作所とともに電動化領域のグローバルマザーとして、開発、生産工程を確立。競争力のある電動化製品を世界各地域へ幅広く普及させることで、持続可能な社会の実現に貢献します。

自動運転

実現したい未来

当社は、交通事故のない、誰もが安心・安全に移動できるモビリティ社会を目指し、品質と信頼性の高い安全技術の開発に取り組んできました。これまで培ってきたセンシング技術に加え、今後は、AI・情報技術に磨きをかけることで、自動運転技術の発展にさらに貢献していきます。
創業以来変わらない品質へのこだわりをつらぬき、モビリティ社会の未来に確かな安心を届けます。

具体的な取り組み

世界のモビリティに革新を与える半導体開発に向けた新会社始動

 トヨタ自動車と当社は、次世代の車載半導体の研究及び先行開発を行う合弁会社「MIRISE Technologies(ミライズテクノロジーズ)」を2020年4月に設立しました。トヨタ自動車の持つモビリティ視点、ならびに当社が培ってきた車載視点での知見を掛け合わせることで、クルマ軸と部品軸の両輪で、電動車両や自動運転車両の技術革新のカギとなる次世代の車載半導体を、より早期に開発し、豊かな環境、安全と心地よさを合わせ持つモビリティ社会の実現を目指します。

東京エリアでの共創による先進的なモビリティ領域の開発加速

 当社では東京エリアを、先進的なモビリティの先行開発の総本山として、自動運転などの研究開発を推進しています。車両メーカやパートナーとの共創により、企画・開発・実証を加速させ、早期の市場投入を目指します。
 また、2020年7月には、羽田空港跡地にテスト路を備えた試験車両の整備棟とオフィスを開設。実車による公道実証も含めた研究開発体制を構築し、一層の開発加速を実現します。

ガバナンスの強化

成長し続ける企業であるために

100年に一度といわれる大変革期を自ら切り開き、変化の速いグローバル市場での長期的な企業業績の維持向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの向上に取り組んでいます。
2019年度は、昨年より役員数を大幅に削減し、全社戦略議論を強化するとともに、経営の意思決定と執行のスピードアップに努めています。また、取締役会の実効性向上に向けて、多様性への対応が急務とされていることから、ジェンダー・国際性をより意識した役員の選任を実施しています。
他にも政策保有株式の縮減を大きく推進させるなど、健全性・効率性・透明性の高い経営を実践していきます。

役員数の変遷

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2020/06/19 11:00:00 +0900
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