第4号議案
【株主提案】株主資本コストの開⽰に係る定款変更の件

1.提案の内容
 現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
 第7章 株主資本コストの開示
 (株主資本コストの開示)
 第37条 当会社は、当会社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書において、当該報告書提出日から遡る1か月以内において当会社が把握する株主資本コストを、その算定根拠とともに開示するものとする。

2. 提案の理由
 当社はROE及びROICの数値目標を現行の中期経営計画において開示している。しかし、ROEは8%を必達目標、10%を目標とするのみであり、当社の認識する株主資本コストは明らかではない。
 また、ROICは当社における業績目標として不適切である。すなわち、当社は、ROICの分子である調整後営業利益を、税引後営業利益と持分法投資損益を合算して算出しており、調整後営業利益には非⽀配株主持分に帰属する利益が含まれている。他⽅で、分母である投下資本は、有利子負債と自己資本を合算して算出しており、投下資本に非⽀配株主持分は含まれていない。結果として、当社は合弁会社のROICを過剰に高く評価している。
 当社は、中期経営計画において「資本コストを意識した経営」を掲げており、これは、株主資本コスト以上のROEを実現する経営を意味するというべきであるから、その基準となる株主資本コストは当然開示されるべきである。

◆取締役会の意見
 当社取締役会としては、本株主提案に反対いたします。

◆反対の理由
 コーポレートガバナンス・コードの原則5-2は、「経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な⽅針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人的資本への投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行うべきである。」とするものであり、コーポレート・ガバナンス報告書における株主資本コスト及びその算定根拠の開示を求めているものではありません。当社といたしましては、コーポレートガバナンス・コードの原則5-2に従い、自社の資本コストを的確に把握したうえで経営戦略や経営計画の策定・公表を実施しているところであります。コーポレートガバナンス・コードとの関係においては、株主資本コストの数値の開示自体が重要なのではなく、株主資本コストの把握を通じた経営戦略や経営計画の策定が重要である旨、当社として認識しております。
 当社は現在、2021年5月27日付け「中期経営計画策定に関するお知らせ」(URL:https://www.tachi-s.co.jp/dcms_media/other/20210527_tachi-s.pdf)にて公表いたしましたとおり、当社の持続的成長のために、事業活動を通じて新たな価値を提供し、真の独立系企業として生き残っていくため、2021 年度から2024 年度の中期経営計画『Transformative Value Evolution(TVE)』(以下「本中期経営計画」といいます。)を策定し鋭意遂行中であります。本中期経営計画においては、財務・資本戦略として、2021年度から2024年度を「資本コストを意識した経営」を導入する期間として位置づけ、グループ内での浸透を図り、また、ROE達成のための重要経営指標としてROICを活用することを掲げ、戦略目標として、「24年度ROE必達8%/目標10%」「24年度ROIC8%以上」を設定しております。なお、2021年3月期に係る決算説明資料(URL:https://www.tachi-s.co.jp/dcms_media/other/IR202103.pdf)に記載のとおり、当社は必要に応じ、OEM毎/地域毎に最適なパートナーと業務提携により合弁会社を設立し、お互いの強みを活かし、生産拠点の協業や受注活動を行いながらグローバルで事業を展開するというパートナー戦略を実施しておりますが、このようなパートナー戦略においては、当社が各地域の合弁会社の持続的発展のために投下するノウハウや人財を含めた有形・無形の資本は、必ずしも当社の連結子会社とは限らない合弁会社等の持分法適用会社の経営にも活用されます。当社が投下した資本を活用して、いかにグループ利益を上げていくかということを測るROICの算定式として、当社では、分母は自己資本及び有利子負債、分子は、当社が連結損益として責任を持つ範囲である、税引後営業損益及び持分法投資損益とすることが適切であると考えており、グループ一体となってROICの向上、ひいては企業価値の向上に向け取組んでおります。
 このように、当社といたしましては、本中期経営計画の策定に当たっては、ROEとROICそれぞれの意味合いを踏まえ、いずれか一⽅を重視し又は軽視するということではなく、当社の現況や事業環境等を踏まえ、当社にとって適切と考えられる経営指標としてROE及びROICを掲げているものであり、コーポレートガバナンス・コードに従って、株主資本コストを含めた資本コストの把握を通じ、事業戦略、財務・資本戦略の基本的な⽅針を示したうえで、経営戦略や経営計画を策定しております。これらに加えて、株主資本コストを含む資本コストの開示については、様々な考え⽅を持たれる株主様や投資家との対話の内容なども参考にしつつ、その公表の要否、妥当性、時期や⽅法などを含め、取締役会において慎重に検討したうえで決定すべき事項であると考えており、したがって、本提案の内容は、会社の根本規範である定款に記載するにはなじまないと考えております。
 よって、当社取締役会は本株主提案に反対いたします。

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2022/06/24 12:00:00 +0900
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