第100回定時株主総会招集のご通知 証券コード : 7267

対処すべき課題

① 経営方針・経営戦略等

 当社グループは、「人間尊重」と「三つの喜び」(買う喜び、売る喜び、創る喜び)を基本理念としています。「人間尊重」とは、自立した個性を尊重しあい、平等な関係に立ち、信頼し、持てる力を尽くすことで、共に喜びをわかちあうという理念であり、「三つの喜び」とは、この「人間尊重」に基づき、お客様の喜びを源として、企業活動に関わりをもつすべての人々と、共に喜びを実現していくという信念であります。
 こうした基本理念に基づき、「わたしたちは、地球的視野に立ち、世界中の顧客の満足のために、質の高い商品を適正な価格で供給することに全力を尽くす」という社是を実践し、株主の皆様をはじめとするすべての人々と喜びを分かち合い、企業価値の向上に努めていきます。
 当社グループは、モビリティカンパニーとして、「環境負荷ゼロ」「絶対安全」という大きな課題に真摯に向き合い、我々のめざす未来のモビリティや魅力的なモビリティ社会を、「環境・安全」という社会的価値を携えて実現することで、企業としての新たな成長軌道を描いていきたいと考えています。
 こうした想いのもと、この大きな変革の時代を「第二の創業期」と位置付けてさまざまな取り組みを進めてきましたが、さらにスピードを上げ、Hondaで働くすべての仲間が共通の目的に向かって一丸となって取り組んでいくためには、「我々がめざすものは何か」、そして「提供価値」をより明確にしていく必要があると考え、グローバルブランドスローガンである「The Power of Dreams」の再定義を行いました。


<グローバルブランドスローガンの再定義>
 当社グループがこれからも提供し続けたい価値は、「時間や空間といったさまざまな制約からの解放」と、「人の能力と可能性の拡張」です。この2つの価値を徹底的に追求し続けた先に、当社グループが夢見るこれからのモビリティと、魅力的なモビリティ社会があると考え、2つの提供価値を「Transcend」と「Augment」としました。

「Transcend (解放)」
 モビリティを通じた「時間的制約」と「空間的制約」からの解放という大きな価値の創出をめざしていきます。

「Augment (拡張)」
 さまざまなモビリティによって、「これまでできなかったことができるようになる」という、「人の可能性を拡張する」ことをめざしていきます。

 そして、「これらの提供価値を生み出し、実現していくカギとなるのが一人ひとりの創造力」であり、全社一丸となって高い目標を掲げ、変化を恐れず、新しい価値を生み出していくための「Create(創造)」に取り組んでいきます。

 モビリティカンパニーとして「物理的にひとを動かす」「ひとの心を動かす」(How we move you.)ことで、「意志を持って動き出そうとしている世界中のすべての人を支えるパワー」となり、世の中から「存在を期待される企業」であり続けることをめざします。


② 経営環境

 当社グループを取り巻く経営環境は、大きな転換期を迎えています。価値観の多様化や、高齢化の進展、都市化の加速、気候変動の深刻化、さらに電動化、自動運転化、IoTといった技術の進化による産業構造の変化が、グローバルレベルで進んでいます。また、ウクライナ情勢、中東情勢の悪化など、世界の分断が加速し、地政学的リスクも顕在化しています。さらには、企業活動に関わるすべてのステークホルダーと、長期的な社会課題を解決するための、積極的な関係構築も求められています。将来の成長に向けては、提供価値の質の向上に取り組むことが不可欠です。
 四輪事業においては、EV(電気自動車)市場に多種多様な製品が投入され、これまでHondaが強みとしてきたエンジン等のデバイス性能による差別化が難しくなっています。今後は、電動化の加速により、バッテリーに用いられるニッケル、リチウム、コバルトの需要が急拡大するとともに、鉱物など原材料の供給不足によるバッテリー価格の高騰が懸念されます。バッテリーをはじめとする部品調達のあらゆるリスクに備え、リサイクルやリユースなどの再資源化やサステナブルマテリアルの活用を推進することで、リソースサーキュレーションの実現をめざしていきます。
 二輪事業は、若年人口が増加する新興国を中心に、今後も市場の拡大が見込まれます。また、先進国だけでなく新興国でも政府による電動化目標が設定されるなど、環境意識の高まりが顕在化しています。対応策としてモビリティの電動化が期待されていますが、その一方で、新興国の電動車需要は、政府のインセンティブによる影響が大きく、かつ電力の安定供給や充電ネットワークの整備など、インフラ面での課題が残ります。電動車へのシフトは、不透明な要素を踏まえ、ICE(内燃機関)車へのニーズが継続する市場、電動化が進む市場を見極めながらリソースを最適配分し、電動新興メーカーに対しては当社グループの強みを活かし差別化を図っていきます。
 パワープロダクツ事業及びその他の事業においては、環境規制の高まりを背景に、小型建機領域やガーデン領域で比較的「小型」で「短時間運転」の商品から電動化が進んでいます。その一方、ICE商品も「高出力・長時間運転」「お求めやすい価格」といった特徴が用途に見合うことから、需要が継続しています。そのため当社グループは電動化に主軸を置きながら、ICE領域についても環境対応を進化させることで、多様化する市場ニーズへ応える必要性を認識しています。


③ 優先的に対処すべき課題

 経営環境を踏まえ、持続可能性の観点から網羅的に抽出した社会課題を、当社グループがめざす方向性に照らしあわせ、優先的に対処すべき課題を選定しています。従来より経営の重要テーマとして掲げてきた「環境」と「安全」に加え、当社グループの成長の原動力である「人」と「技術」、またすべての企業活動の総和ともいえる「ブランド」の5つの非財務領域を重要テーマとして選定し、財務戦略と連携させることで社会的価値・経済的価値の創出を実現していきます。


<5つの重要テーマ>

1 環境負荷ゼロ社会の実現

 当社グループは、2050年に製品だけでなく企業活動を含めたライフサイクルでの「環境負荷ゼロ」の実現をめざします。「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」、この3つを1つのコンセプトにまとめた「Triple Action to ZERO」を中心にして、取り組みます。

a.カーボンニュートラルの取り組み
 四輪事業は中長期目標として、2030年にはグローバルで年間200万台を超えるEV生産体制を構築し、2040年までにEV・FCV(燃料電池自動車)販売比率をグローバルで100%とすることをめざしています。
 この実現に向けて、当社グループは、EVラインナップの拡大、複数のバッテリー調達手法の確立、充電サービスの拡大、ソフトウェア開発の加速、グローバルHondaにおける電動車生産体制の構築に取り組んでいきます。

 EVラインナップの展開

 バッテリー戦略
 バッテリーについては、足元から将来まで複数のバッテリー調達手法を準備し、電動化の加速に対応していきます。新たなバリューチェーンを構築するため、北米ではLGエナジーソリューションとの合弁会社で2025年からバッテリーの量産を開始予定です。重要鉱物の調達については、阪和興業㈱やPOSCOホールディングスと、リサイクル観点ではアセンド・エレメンツやサーバ・ソリューションズとパートナーシップを締結しています。2020年代後半からは、液体リチウムイオン電池の進化に加え、半固体電池・全固体電池などの次世代電池を開発・投入していきます。液体リチウムイオン電池の性能進化に向けては、㈱GSユアサと高容量・高出力なEV用液体リチウムイオン電池の開発に着手し、日本国内における電動化の加速に貢献していきます。また、次世代電池の技術進化に向けて、半固体電池については、SES AIコーポレーションへの出資を通じて、安全で高い耐久性を持つ大容量バッテリーの実現をめざし、共同開発を推進していきます。全固体電池については、2024年に栃木県さくら市での実証ラインを立ち上げ、2020年代後半の市場投入をめざし、取り組みを加速させていきます。

 充電・インフラ戦略
 EVの拡充にあわせた充電サービスの拡大に取り組んでいます。公共充電については、北米でのEVの普及加速をめざし、Hondaの米国現地法人であるアメリカンホンダモーターカンパニー・インコーポレーテッドと、BMWグループ、ゼネラルモーターズ(GM)、ヒョンデ、キア、メルセデス・ベンツグループ、ステランティスN.V.の計7社が、米国とカナダでEV用高出力充電網を新たに構築する合弁会社の設立に合意しました。同社は、2024年夏に米国で初となる充電ステーションの開設を計画しており、大都市圏や主要幹線道路沿いから順次充電網を拡大していきます。家庭充電は、北米ですでに展開しているEV向け充電サービス「Honda Smart Charge」をベースとし、EVの電力供給能力を活用したスマートエネルギーサービスを順次、展開予定です。

 ソフトウェア戦略
 ソフトウェアがハードウェアやサービスの価値を定義する「ソフトウェアデファインドモビリティ」の発想に基づき、ソフトウェアの開発を加速させます。具体的には2025年に北米で投入する中大型EVからの採用をめざして、E&Eアーキテクチャーをさらに進化させるとともに、Honda独自のビークルOSの開発を進めています。このビークルOSを基盤として、車載ソフトウェアを常に進化させることで、車両販売後も機能やサービスを進化させていきます。また、EVと親和性の高いデジタルサービスを、安心・快適・信頼をベースとしつつ、一元管理で分かりやすい充電案内などUX起点の魅力的なサービスとしてスピーディーに提供していきます。

 EV生産体制
 世界的な電動化加速に伴い、グローバルHondaにおける電動車生産体制の構築を推進しています。北米では、米国オハイオ州内の3つの既存工場(四輪車を生産するメアリズビル工場とイーストリバティ工場、四輪車用パワートレインを生産するアンナ・エンジン工場)をEV生産のハブ拠点と位置づけ、既存工場を活用しながら、高効率かつフレキシビリティの高いEV生産ラインを構築しています。

 さらに、バッテリー戦略とEV生産体制においては、2024年4月に、北米での将来的なEV需要の増加に向けたEV供給体制の強化を図るため、EVの包括的バリューチェーンをカナダに構築することをめざし、本格的な検討を開始することを発表しました。このバリューチェーンの内容には、EV専用の完成車工場・EV用バッテリー工場の建設に加え、パートナー企業との合弁会社設立による、セパレーターや正極材といったバッテリーの主要部材のカナダ国内での生産体制の確立を含んでいます。

 二輪事業においては、当社グループの二輪車は世界中のお客様の “移動のニーズ” に対応し、多くの人々に利用されています。これまでICE車のプラットフォーム展開で培った競争力あるものづくりの技術とノウハウを活かし、各国のお客様のニーズに適応する電動二輪プラットフォームを順次開発していきます。高効率なものづくりにより、電動車においてもICE車同様に「移動の喜び」を適切な価格でお届けすることで、グローバルでの二輪車の電動化を牽引していきます。2026年には電動二輪車をグローバルで合計10モデル以上投入し、販売台数年間100万台をめざします。2030年にはラインナップをさらに拡充し、400万台の販売をめざします。

 この実現に向けては、当社グループの強みである、商品のフルラインナップ展開、開発・生産・調達能力、「走る・曲がる・止まる」の基本性能に加えたコネクティビティの進化、3万店の販売網を活用したオフライン・オンライン融合の顧客接点、を活かして取り組んでいきます。

 商品のフルラインナップ展開
 当社グループは、2030年までにスーパースポーツ、オフロード、Kids向けバイク、ATVなど合計30機種以上を積極的に投入し、電動二輪車のフルラインナップ化への取り組みを加速させていきます。またお客様がそれぞれの環境にあわせて選択できるよう、バッテリー交換式と固定バッテリーによるプラグイン充電の2つの方式を用意して幅広い需要に応えていきます。

 開発・生産・調達戦略
 電動二輪車の開発においては、モジュールプラットフォームという形で、バッテリー、パワーユニット、車体をそれぞれモジュール化し、これらを組み合わせることで、多様なバリエーション展開が可能になります。これによりグローバルのさまざまな顧客ニーズに対応できる商品を、スピーディーに、かつ、効率よく市場に投入していきます。生産については、まずは既存のICE用インフラを活用しますが、2030年の販売台数400万台の実現に向けた盤石な体制構築と一層の競争力を確保すべく、2027年以降をめどに、電動二輪車専用生産工場をグローバルで順次稼働させます。調達については、これまで完成部品で調達していたものを、材料、加工、組み立て、物流などの各工程を見直すことで、より競争力のある体制にしていきます。

 ソフトウェア戦略
 電動二輪車で大きく進化する装備の一つに、コネクティビティがあります。これにより購入後もOTAなどを通じてソフトウェアの機能追加などのアップデートを行うことが可能となります。将来的には、ICE搭載車と電動二輪車の双方から得られるデータを活用し、車両の利用状況から顧客のニーズを理解することで、新しい発見や安全性を高める機能など、当社グループならではの体験を提供していきます。

 オフライン・オンライン融合の顧客接点
 電動二輪事業では、店舗に行くことなく二輪車を購入できるオンライン販売を行い、お客様の利便性を向上させていくとともに、グローバルで3万店を超える当社グループの既存の販売網のサービスによる安心感も提供していきます。既存の販売店の強みに加え、オンラインサービスの強化で、これまで以上に、お客様により便利で安心感のあるオンオフ融合の顧客接点を提供していきます。
 また、電動化に限ることなくICE領域での燃費向上、バイオエタノール燃料の対応技術など、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを、地域特性に合わせながら一層加速させていきます。
 パワープロダクツ事業の電動商品の展開においては、小型建機領域とガーデン領域の電動化に注力し進めていきます。また、二輪事業で発売した交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」をパワープロダクツ事業へも拡大していきます。小型建機領域では、基幹事業で培ったBtoBの顧客基盤を活かした電動化を推進していきます。電動パワーユニット「eGX」の販売と搭載支援を通じ、完成機メーカーの電動化を後押しします。また、既存顧客のみならず、今後電動化が期待される領域での製品搭載の拡大を推進していきます。ガーデン領域では、歩行芝刈機の「きれいに刈れる」「耐久性」といった強みを武器に培った高いプレゼンスがあります。今後は、外部協業先とのパートナーシップも視野に、効率の良い開発・生産スキームで電動化を加速させていきます。マリン領域でも、今後、湖沼等でのICE製品の使用に関する規制が想定されるため、小型船舶用の電動推進機の実証実験を開始するなど、電動化に向けた取り組みを行っていきます。
 国や地域によって多様化するニーズに柔軟に対応しながら、ICE製品の投入市場を見極め、二輪事業とのシナジーを活かし、部品の共用化や生産・調達体制の最適化など開発・生産領域における効率的なオペレーションを追求していきます。これを通じて、生産領域においても、商品魅力を向上させて、電動化に向けた事業体質の強化を図ります。同時に燃費改善、カーボンニュートラル燃料対応技術といった環境性能を高めることで、さらなる競争力の高い商品・サービスの展開をめざしていきます。

b.クリーンエネルギーの取り組み
 「エネルギー問題」への対応として、企業活動および製品使用において使用されるエネルギーをすべてクリーンなエネルギーにすることをめざします。四輪車の主要生産拠点である埼玉製作所完成車工場では、CO2削減技術の構築と、再生可能エネルギー等を活用したクリーンエネルギー化を実施し、2025年度にカーボンニュートラル工場の実現をめざしています。またこれらをグローバルに展開するにあたり、事業所間、地域間での情報共有を促進する仕組みを構築しています。

c.リソースサーキュレーションの取り組み
 「資源の効率利用」への対応として、環境負荷のない持続可能な資源(サステナブルマテリアル)を使用した製品開発や仕組みづくりに挑戦します。企業活動領域においては、2050年Honda工場の工業用取水と工業系廃棄物 “ゼロ” をめざします。積極的にリサイクル資源を活用しながら、重要鉱物などを含む材料調達の安定化を図るとともに、先進リサイクル技術の研究や循環バリューチェーン構築の働きかけを通じて、CO2の削減とエネルギー消費の抑制にも貢献し、循環型経済につながるような取り組みを続けていきます。


2 交通事故ゼロ社会の実現

 当社グループは、2050年に全世界で、当社グループの二輪車、四輪車が関与する交通事故死者ゼロをめざしています。また、そのマイルストーンとして2030年に全世界で当社グループの二輪車、四輪車が関与する交通事故死者の半減をめざしています。

 当社グループは、人への能力(啓発活動)、モビリティの性能(技術開発)、交通エコシステム(他者との協働やシステム/サービス開発)の3つの要素を個別に進化させるとともにそれぞれを組み合わせることで、さまざまな要因により引き起こされる事故に対応します。
 今後、2030年に向けた大きな課題は、新興国で二輪車が関与する死亡事故です。当社グループは、幅広い方々を対象とした啓発活動とともに二輪車へ「ABS (注1)」「CBS (注2)」などの先進ブレーキ、視認性および被視認性の高い灯火器などの装備を搭載しています。また四輪車については、新興国、先進国での事故低減に有効な先進運転支援システム(ADAS)の機能進化と普及を積極的に推し進めています。

(注)
  1. ABS:アンチロックブレーキシステム
  2. CBS:コンバインドブレーキシステム

 そして、その先にある2050年に向けた大きな課題は、歩行者や自転車に乗る人、ライダーなどの交通弱者の死亡事故です。この課題対応にあたっては、すべての交通参加者である人とモビリティが通信でつながることで、事故が起きる手前でリスクを予兆・回避をサポートする「安全・安心ネットワーク技術」の研究開発などを推し進め、当社グループの二輪車、四輪車が関与する交通事故死者ゼロをめざします。


3 人的資本経営の進化

 当社グループの人的資本経営の取り組みとして、事業戦略と人材戦略の連動を図るため、人領域において集中的に取り組むべき課題を “人材マテリアリティ” として定義しています。人材マテリアリティの定義にあたっては、全社重要テーマである“人的資本経営の進化”において中長期的に取り組むべき観点と、事業戦略に資するための短中期的観点の両面で、集中的に取り組むべき方向性を全社での議論を経て定めています。
 そして、人材マテリアリティが達成された状態を測る指標として経営管理指標(KGI)とその目標値を定め、この目標値を達成するための人材戦略・施策・施策KPIを一連のストーリーとして定義しています。経営管理指標(KGI)および関連する施策KPIは経営管理の枠組みで定期的にモニタリングされ、必要に応じて指標・目標値の見直しや施策の修正・追加などを行い、PDCAサイクルを実行していきます。


4  独創的な技術の創出

 めざす提供価値として定めた「Transcend」・「Augment」の実現に向け、「コア技術の創出こそが将来にわたるサステナブルな事業基盤や競争力を生む源泉になる」という考え方に立脚し、イノベーションマネジメントの強化に取り組んでいます。研究子会社である㈱本田技術研究所は、2019年から2020年にかけて二輪・四輪・パワープロダクツ事業における商品開発機能を本田技研工業㈱へ移管し、より長期的な視点での価値創造に向けた基礎技術の研究に専念できる体制へと再編しました。モビリティの価値のさらなる拡張に向けて、先進技術研究、パワーユニット研究、材料研究などの領域への資源投入を強化するとともに、新たなモビリティやロボット、水素活用をはじめとする次世代エネルギー、バッテリー、知能化/AI、サステナブルマテリアルなどのさまざまな技術ドメインを定め、各領域のエキスパートが新価値の創出に向けた技術開発をリードしています。また国内だけでなく、世界中のさまざまな研究機関と共同研究を行うことで、グローバルでの知の探究と結集を図っています。
 このような体制のもと、それぞれの技術ドメインにおいて生み出された新たな技術を応用し、空、海洋、宇宙など、さまざまなフィールドにおいて新しい価値をお届けできる魅力的な次世代モビリティの開発を進めています。具体的には「eVTOL」、「アバターロボット」、さらには宇宙領域へのチャレンジといった幅広い領域で新価値の創出に取り組んでおり、燃焼・電動・制御・ロボティクス技術などの当社グループが培ってきたコア技術を活用することで、「人々の生活の可能性を拡げる喜び」の実現をめざしています。


5  ブランド価値の向上

 Hondaのブランドは、創業時から現在に至るまで、お客様とともに歩み続けたあらゆる企業活動の積み重ねによって形作られてきました。75年の歴史によって紡がれたHondaブランドをさらに輝かせ、将来に亘ってその価値を高めていくことは、当社グループにとって極めて重要な課題の一つであると認識しています。
 この大きな変革期において、当社グループが創造する価値を世界中のお客様に明確に示すとともに、全ての従業員が共通の目的に向かって一丸となって取り組むことをめざし、グローバルブランドスローガンである「The Power of Dreams」の再定義を行いました。これを単なる「言葉」に留めることなく、商品・サービスを含めた全ての企業活動へ反映し、一貫性のある「実践」へと繋げていくことが、さらに進化したHondaブランドを創り上げていくと考えています。このような考え方を踏まえ、再定義したグローバルブランドスローガンを当社グループのブランドマネジメントの起点と位置づけ、その根底に流れる信念をさまざまなブランドアセットへと投影することで、一貫したブランディングの支柱を形成していきます。社内外において、揺らぐことのない共通の基軸に基づくブランディングを展開することで、当社グループで働くすべての仲間の「夢」を原動力とした創造性の発揮を後押しするとともに、ステークホルダーの皆様から共感いただける魅力的なブランドの確立をめざしてまいります。


<財務戦略>

6  経済的価値の向上

 当社グループを取り巻く環境が大きく変化するとともに、地政学的リスクをはじめとした事業リスクが多様化する中、企業価値の向上に向けては、財務・非財務資本を活用し、キャッシュ・フローの持続的な成長と資本効率の向上を実現する必要があります。この実現に向けては、「事業変革のフェーズごとにめざす目標を明確に定め、戦略的な資源配分を実行すること」「資本コストを意識した経営の強化などガバナンスの強化とリスクマネジメントを適切に行うこと」「ステークホルダーと積極的な対話を行いながら、経営の質と透明性を高めること」が重要なミッションであると考えています。

a.事業変革フェーズに応じた戦略的な資源配分
 ~2025年: “ICE製品事業の体質強化とEV事業への資源投入” フェーズ
 事業ポートフォリオの変革に必要なEV事業への資源投入を行うとともに、ICE製品事業の体質強化とEV事業への資源投入に注力し全社ROS(売上高営業利益率)7%以上をめざします。また、これまで取り組んできた四輪事業体質の強化により強固な財務基盤を築いた上で、EV事業への資源投入を着実に実行していきます。

 ~2030年: “ICE製品からEVへの事業転換” フェーズ
 EV事業の成長につながる戦略的な投資を加速させるとともに、EVのラインナップを二輪と四輪を中心に拡充し、市場での競争力を強化していきます。一時的な先行投資の影響はありますが、さらにICE事業のキャッシュ創出力を高め、変革に向けた資源投入を支えると同時に、資本コストを上回るROIC(投下資本利益率)(注1) を維持し、2030年度には、全社ROICは10%以上をめざします。

(注)
  1. (親会社の所有者に帰属する当期利益+支払利息(金融事業を除く事業会社))÷投下資本(注2)
  2. 親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債(金融事業を除く事業会社)、期首期末平均により算出しています。

 なお、市場動向を見極めながら投資タイミングは柔軟に変更するものの、2030年にEV200万台生産体制の構築に向けて、2021年度からの10年間で設備投資と研究開発費で合わせて10兆円の資源投入を計画しています。

 2030年代: “EV事業の成長と新たな価値の創造” フェーズ
 2040年にEV・FCVの販売比率100%をめざし、キャッシュ・フローの持続的な成長を実現します。新たな価値創造の実現に向けては、カーボンニュートラル技術を中心とした基礎研究領域に、年間1,000億円レベルの研究予算を今後も安定的に資源配分していきます。
 なお、成果の配分については、株主の皆様に対する利益還元を、経営の最重要課題の一つとして位置付けており、長期的な視点に立ち将来成長に向けた内部留保資金や連結業績などを考慮しながら決定していきます。配当は、連結配当性向30%を目安に、変革に向けた資源投入を加速させながらも、当社グループの強みを活かしたキャッシュ創出力を原資に安定的・継続的な配当に努めます。また、資本効率の向上および機動的な資本政策の実施などを目的として、自己株式の取得も適宜実施していきます。

b.ガバナンスの強化とリスクマネジメント
 大きな変革の時代において、環境変化に柔軟かつ適切に対応し企業価値の向上を実現するために、資本コストを意識した経営の浸透を図りガバナンスを強化していきます。具体的にはROICツリーを活用し、現場のアクションと全社目標を有機的に結び付け、ROICの分子である利益を最大化するとともに、保有する資産の効率的な活用や必要投資の見極めを通じて分母の投下資本を最適化することで資本効率を向上させます。金融サービス事業については、負債による資金調達を基本とするため、ROE(自己資本利益率)を活用することで収益性と健全性のバランスを図りながら、資本効率を最大化し、変革を支えていきます。

c.ステークホルダーと積極的な対話
 企業価値の向上には、キャッシュ・フローの持続的成長と資本効率の向上に向けたロードマップを発信するとともに、当社グループの将来性が資本市場に浸透することが重要と考えています。そのためには、株主や投資家をはじめとしたステークホルダーに、経営の方向性が正しく理解され評価いただけるよう、経営陣が主体となり、イベントや個別面談等を通じて、これまで以上に対話を積極的に行っていきます。また、対話を通じて資本市場が求めていることや関心のあることを経営陣が直接把握し、これをステークホルダーからの貴重なフィードバックとして経営に活かしながら、さらなる企業価値の向上へつなげていきます。


 以上のような企業活動全体を通した取り組みを行い、株主、投資家、お客様をはじめ、広く社会から「存在を期待される企業」となることをめざしていく所存でございます。


「ネットで招集」には、事業報告の要旨を掲載しております。
事業報告・計算書類等の全文につきましては、「招集通知」からご参照ください。

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2024/06/19 12:00:00 +0900
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